恋と伝授
こないだジイジ達からコストコのおみやげを貰っていたら
「あ、そうだ！ちょっと見て！」
と言って駐車場へ誘われた。
私は「何でしょう〜？」とか言ってワクワクと付いて行った。面白い虫でもいたかな？と思って。
でもそうじゃなかった。
車にみっちり、工芸っていうか北欧風味っていうか素朴な木の低椅子が何脚かと、赤い漆塗りの結構大きな中国風の引き出し机が、絡まり合って入っていたのだ。。。！
ジイジは降ろした椅子を眺めながら
「これ。かわいいよね！！」
と言ってニッコニコしている。コストコ帰りにリサイクルショップの前を通りかかって見つけたそうだ。
バアバもうれしそ〜うに、
「置き場所は無いんだけど、一目惚れして買ってきちゃったの。」
と目を細めた。
私はそのムードにじわわんとなりながら
「とてもかわいい！ああ机もすごくすごくかわいい！！よく見つけましたねっ！」
って言って新入り家具達を見て回り、降ろすのを手伝った。
たった今咲いたばかりのプルメリアの花々がいっぱい、そよ風に揺れてる木の下に居るみたいな空気が体に充満していく。
本当に置き場所はないってよく知ってるし（笑）どうするんだろう〜っ？という気持ちももちろんあるのだが、でも。ドキドキワクワクが自分にまで湧いて、うわあ、恋ってこうだったわ〜っと、マジカルなこの空気の事を思い出した。
「いくらでしょうか〜！」とジイジにクイズを出され、つまり安かったのね、とは思ったが、クッキーみたいな値段で息を呑む。たぶん使い込まれているからだろう。。家具達を見つめる。しっかりした素材をたっぷり使っている安心感。なによりも暮らしの夢にあふれたムードがじいじ達とよく似合う。
（私も一目で大好きになったよ。）
と家具達をそっと撫でる。
私なら連れ帰れただろうか？
どうかな。。！
さてどこに置く？皆であれこれ議論してたら、なかなか帰ってこないママを振り向かせるためチビコが2階で渾身の遠吠えを始めたので慌てて帰る。
どうなるんだろうなあ～。
『おまけ、ちょっと見て。パート2』
ヒンポンが鳴ってモニターを見たらジイジだった。嬉しくて跳ね降りていく。
「チビちゃんいる？ちょっと見て。」
と、遠慮がちに差し出された手には麦わらトンボ…！寄って来たからパッて手で捕れたそう。
羽根に指の油をつけないようにチョキで挟んで。そしてお腹を持って。じいじから私に。トンボを持つ指先が静かに静かにドキドキ。私からチビコに。
「どうすればいい？」ってチビが言ったから「指の力を抜く。」って言う。トンボはなんとなくタケコプターみたいに上がって青空へ飛んでいった。