人間椅子「踊る一寸法師」再発記念ワンマンツアーレポ:2022/4/3青森公演
期間:2022.4.3(日)〜4/18(月) 全7公演
場所:青森quarter(4/3)ー札幌PennyLane24(4/5)ー仙台ClubJunkBox(4/8)ー大阪umedaTRAD(4/11)ー博多DrumBe-1(4/13)ー名古屋ElectricLadyLand(4/15)ー東京ZeppDiverCity(4/18)
各公演のセットリストとMC備忘録、感想、レポらくがきなど。
※音楽の専門的なことは知らん一ファンの個人的な所感なのでご留意されたし。
青森公演(4/3)
18:00開場。18:30開演。天気は晴れ。
立ち位置テープあるもののキャパは150人ほど(前回2021.8〜9の「苦楽」ツアーでは100人あるやなしやくらい)。最前列は10人ほど。
オールスタンディング(前ツアーは椅子あり、本編終了付近まで最後列以外は着座でのライブだった)。
ドリンクはアルコールなしでペットボトル類を先渡し。
当日会場での来場者登録は特になし。
青森公演セットリスト
本編
SE新青年まえがき
モスラ
ギリギリ・ハイウェイ
夜明け前
神々の行進
どだればち
時間を止めた男
踊る一寸法師
暗い日曜日
泥の雨
月夜の鬼踊り
無情のスキャット
至上の唇
幸福のねじ
ダイナマイト
アンコール1
羽根物人生
なまはげ
アンコール2
針の山
青森公演感想
・鈴木さんのテンションが今まで観た中で一番高かった(当社比)。
・終始ベースアンプの調子が悪かった→アンコールで詫びふんどしが飛び出た。
・サステイナブルを宣言する和嶋さん。
ツアー初日ということもあってか、メンバーお三方とも大変高めのテンション、演奏だった。
SEは"新青年まえがき"。「新青年」用のSEかと思っていたのでまた使われてたぎる。"此岸御詠歌"ももちろん高まるけど、"新青年まえがき"の鈴木さんの声の張り方めちゃ好きなのでどっちでも嬉しお。
「踊る一寸法師」より"モスラ""ギリギリ・ハイウェイ"で幕開け。今ツアーの1〜3曲目は固定。
本編
#1 モスラ
生の人間椅子は去年10月の車山高原でのフェス以来だったので、ライブの感覚というものが少しばかり鈍くなっていた。そこへノブさんのドラムが鋭く響きイントロが駆け出す。ハッとした。これが人間椅子の生のライブだ。重い。泣きたくなるほどに重い。モスラの大きな翅が空を攪拌して飛び立とうとする、初めのはばたきのように重い。
そして硬い。後のMCで言うように、難しい楽曲のようで非常に緊張感のある演奏だったしツアー全体に渡ってどこかぎこちない(弾く作業に注力するあまり客席への働きかけがほとんどない。特に和嶋さんのギターソロ。)動きだった。三十年選手のお三方でも難しいものがあるんだ。良いものを見せていただいた。
#2 ギリギリ・ハイウェイ
初聴き。和嶋さんの声もなかなかギリギリ。ちゃんと認識していなかったけど、終末的な世界観の歌詞だったのか。
MC
鈴「こんばんは、人間椅子です。青森にも春が、ようやく春がやってきましたね。あの積まれた、汚い雪を見ると春が来たなという感じがします。東京から来て青森着いたら寒いですね」
和「おばんですよ、青森の皆さん!人間椅子、踊る一寸法師再発記念ワンマンツアー青森編!ようこそいらっしゃいました!」
鈴「モスラ、一曲目に演った曲ですが、これ難しいわ。難しい」
和「難しいね」
鈴「これ難しいから演らなくなったんだわ、思い出した」
鈴「二曲目のギリギリ・ハイウェイ。ミラー越しMt.富士ってのは富士山の辺りで合宿したからこの歌詞になったんですか?」
和「いや、どうかな。山中湖の辺りで合宿して録音したんですよ。あの頃合宿って流行ってましたよね。まだバブルの名残があった。フフ、我々バブル世代ですからね」
鈴「いや?山中湖でねっきゃ、あれだよ、忍野八海の辺りだよ」
和「山中湖でねかったっけ?あれ?河口湖?」
鈴「違 い ま す。忍野八海です。ギリギリ・ハイウェイなんて曲入れたから…土屋くんがスピード違反で切符切られたんだよ」
和「土屋くん、当時のドラマーだった方です」
鈴「買い物行くつって忍野八海からどっかまで行ったら、スピード違反で切符切られて帰ってきたんですよ」
和「我々自分でやってたので買い出しとかも自分達で行かなきゃならなくて…あと自分の番終わったらヒマになっちゃうんですよね。だから息抜きもあって」
和「今日は踊る一寸法師からふんだんにやっていきたいと思いますけど踊る一寸法師からだけだとライブが1時間で終わってしまう…同じ曲をもう一度最初から2回やってもいいですけど、それではなんなので他のアルバムからもやろうと思います。何せ我々曲たくさんありますからね!」
和「では次に演ります曲は、最新作『苦楽』から数曲演ってみたいと思います。こんな世の中ですが明けない夜はない。そんな気持ちを込めて作ってみました。"夜明け前"」
#3 夜明け前
前ツアーおよび最近のフェスなどでの一曲目として置かれていた"夜明け前"。
4月の段階でもまだまだ先の見えない状況が続いていた中でのこの選曲。泣くでしょ。
#4 神々の行進
銅鑼ソロのあるこの曲。アガりますわね。そしてコール&レスポンスの「えいえいおう」。声出しは禁止なので、腕のみ。声出してよくなったら銅鑼ソロとか雄叫びポイントですのに。
#5 どだればち
曲前MC
鈴「どうも『踊る一寸法師』を聴かないで来た方がいるようですねえ…今日辛いよォ?この次に演る曲もどんだば?!ってなる。どんだんずこの曲?ってならないでくださいね。どんだばって…」
鈴「この曲はァ、和嶋くんの長ーいギターソロが見所ですよ。あのソロはジョニーウィンターと○○○○(失念。寺内タケシさんかな。)を合わせて2で割ったみたいな感じですね」
和「○○先生とまで!そうですね、ちょっと入ってます、はい」
鈴「それでは聴いていただきましょう、どんだばで始まる"どだればち"」
青森で聴く"どだればち"の沁みること。自分の故郷ではないのに、帰って来たような気にさせてくれるこの響き。全編津軽弁で構成された歌詞を、ハードロックに乗せこれほどまでに朗々と歌い上げられる人がいるだろうか。
鈴木さんに背中を預けてギターソロを奏でる和嶋さんの姿がとても印象的であった。というのも、ディスタンスを気にしてなのか前ツアーにおいてはステージ上でも体の接触があまりないようにしているように見受けられた(ノブさん曲で行われていた下手側でのシェアマイクは今回もなかったけど)。それが少しずつ次に進んでいるのか、たまに勢い余ってぶつかるほどに鈴木さんと背中合わせになる場面がたくさんあった。この景色を観ていたなあ、と思い出してくる。まだ戻ってきたとは言えないけれども。
ツアー初日の熱気は客席側にも溢れており、待っていたぞ!という強い気持ちがステージまで押し寄せ和嶋さんのギターソロが冴えに冴える。
曲後MC
和「いやー!お客さんの反応良くって自分が考えてたソロよりも良くできました!予定の2倍くらいしたよ!」
鈴「ギターソロ思ったより長くなかったですよ。もっと長くなると思った」
青森公演で一つだけ残念な点が…。
上手側に大きめの野次を飛ばす方がおり、MC中に何度か気の散るような声かけがあった。以前にもそういったヒヤッとする空気を感じたことはあったけれど、今それをやられてしまうと参るなというのが正直な感想。しばらくするとやんだ。注意が入ったのかなど、自分の位置からでは分からず。
MC
和「最近さ、よくサステイナブルって言葉聞くようになったじゃん?」
鈴「ああ、持続可能なってやつですね」
和「あれさ、何なんだろうね。分かるようで分からない…というかよく分かってないよ。企業もそれに乗っかっちゃってるし…」
鈴「和嶋くんは時代と逆行してるよね。バイクさ乗って一生懸命CO2出してる」
和「フフ、そうですね」
鈴「和嶋くんは絶対電気バイクとか乗らないでしょ?」
和「いや…それしかないってなったら乗りますよ。でもガソリンで走るのがいいんですよ…それしかないってんなら本当乗りますけど…。いやまあこれから使っていこうと思いますよ、サスティナブル」
#6 時間を止めた男
曲前MC
和「とあるところに、ジョンレノンの歌だけ聴いて世の中との繋がりを一切絶っているという男がいると話に聞いたことがありまして…。時間が止まってるんですね。時間が止まってると言えば、皆さん鈴木くんのこと研ちゃん研ちゃんって呼ぶでしょ。僕の中ではさ、スズケンなんだよね。第四中学校生徒会長だったスズケン…中学の時で印象が止まってる。今も遊び行くとずっと70年代ハードロックかかってますよね。あの部屋の中70年代で止まってんの」
鈴「僕も和嶋くんは中学の時のイメージで止まってます。和嶋よ、昔からだけどいつも小走りしてるのよな。中学の時後ろから『一緒に帰るべしー!』って小走りで駆けてくる。ツアーの移動とかでもパーキングエリア止まったりして飲み物買って戻ってくる時ゆっくり歩きゃいいのに必ず小走りで来る」
和「そう、僕は常に走っている。そういう人生なんですよ」
アウトロのアルペジオが大変美しかった。夕暮れの陽が差し込んで埃がダイアモンドダストのように光を反射している部屋の情景が浮かんだ。逢魔時の、あの昼と夜の合間のゆっくりした空気って一生そのままなんじゃないかという気にさせますよね。させないか。逢魔時繋がりで次の曲へ。
#7 踊る一寸法師
突然自分の話をするが、このツアーが開催されるという報を受けた時にアッ仕事を辞めよう、そして"踊る一寸法師"を全て見届けようと決意したんですね。つまり、ライブで演られる曲としての"踊る一寸法師"を観る為に仕事を辞めたといっても過言ではない。
感無量だった。詳しくは、筆舌に尽くし難く私の力量ではその雰囲気をひとつも伝えられないが、その時だけquarterはこの世ではなかった。では、どこなのか。どこなんだろう。分からない。
とにかく鈴木研一氏というアーティストが、その出立ち歌声笑い声ベースの音、持てる全てを使って世界を作り上げている。そこには、和嶋さんのギターやノブさんのドラムはもちろんのこと、ハコ側のPAさん、ライティングの技術などたくさんの力が合わさっている。そうなんだけど、どうしても鈴木さんがいないことにはこの世界ができあがらない。カバーされたことがあるのかは不明だが、誰がやってもああはならない。そこにしかない世界がある。もちろんどの楽曲どのライブもそうなんだけど殊更強く感じさせるのが、自分にとっては"踊る一寸法師"なのだね。
最前かぶりつきで観るのが夢だった。この日運良くそれが叶ったわけなのだが正直…狂い…ましたね…。緑と赤のライティングで気持ち悪く淫猥に照らされる鈴木さんから飛び出す狂気笑い、笑い、笑い。ステージングの凄まじさに圧倒されて、途中から夢かなと錯覚するほどだった。ああ、実はまだライブの前夜でワクワクしながら寝床に入ってウトウトしてるんだって。でも、覚めない。夢ではなかったから。怖いね。何が怖いって、曲が終わった瞬間に入ってた世界から瞬時に抜け出してにこやかに話し出す鈴木さんと和嶋さんが怖い。切り替えスイッチ、どこにあるんだろう。
#8 暗い日曜日
日曜日に"暗い日曜日"を聴く。こうなったら"素晴らしき日曜日"も聴きたいし、月曜日に"審判の日"も拝みたい。
"帰らなきゃ…帰らなきゃ…"でノブさんのバックコーラスが入るのが好きなのだが、和嶋さんだけで焦燥感に駆られていくバージョンも好き。
#9 泥の雨
曲前MC
和「世の中色々と大変なことになってますね。こんな世界になったら嫌だなあというのを曲にしてみました。聴いてください"泥の雨"」
イントロが始まった瞬間に音圧が強すぎてグラリときた。音も重いし、選曲も重い。こんな情勢だしもしかしたら演るかな、と始まる前に少し頭をよぎったことがあるけど実際に聴くと澱んでいる。本当にそういう世界にならないことを願う。
#10 月夜の鬼踊り
ねぷたの休みの囃子の曲を持ってくるとは!
この曲は、サビ前の"懲らしめでやれ"の"やれ"が音源では"やれ→(音の高低なく真っ直ぐ伸ばされる)"のところライブだと"や↑れ→ェ↓(YAで上がってREの音を引っ張りながら下がっていく)"になる傾向があり、それが大ッッッ好きなので聴けてにっこり、寿命が1000年伸びまし
た。
#11 無情のスキャット
ここで大曲。人間椅子の代表曲という扱いになるのだろうか。三十年目の記念アルバムからそういった曲が生まれる時の運というか、実力というか、改めて考えてみてもちょっと他に見ないというか、続けることの先にあるものを見せていただけているようで聴くたびに感慨深い。8分を越す長尺曲であるのに、飽きさせず展開していくので全く長さを感じないのがすごい。聴くと人生の時間が8分経っているのに体感は3分くらいなので、5分ほどおトクに…?
ライブに行く度に目が合った目が合ったと妄言を吐く自分だが、今回もバッチリ合いましたね…寿命がもう1000年伸び肌も整うともっぱらの噂です。
#12 至上の唇
ノブさんのターン。常ならば「オレのことをアニキって呼んでくれーッ!」の煽りの元アニキコールの応酬になる場面だが、今回も声出しなしのため「デッカい拍手と心の中で」アニキコールを。ノブさんのMC中、鈴木さんはその場に正座してベースの調整。正座をしておられる…。
うーーーーん早く思うままに\アニキーーーッ!/と叫びたいところ。ちなみに前回の「苦楽」ツアーの際は初日の長野公演だけハミングでアニキコールをしたりしました。
さてさて、アニキのパワフルボイスを浴びながらフロントお二方のフリーダムな演奏スタイルを観ました。和嶋さんの背弾き!鈴木さんも背弾き!和嶋さんがしゃがみ込んで後方に反りながらギターソロをするところ喰らわんばかりにベースを突き立てる鈴木さん、吼えるアニキ。ワアもう好き。
あと、ベースのヘッドで最前列の方々の額をタッチしていく場面もありました。落ち着いて書かないと興奮でしっちゃかめっちゃかになってしまうので、5分かけて一つ前の文章書きました。ふう。
#13 幸福のねじ
“至上の唇”から間髪入れずに始まったイントロが何の曲だったかすぐ思い出せず、何だっけこれ何だっけこれ知ってるこれ何だっけ!?となりながら鈴木さんのオイオイ煽りに合わせて体が勝手に動く現象が起きる。“幸福のねじ”じゃん!!と気付いた瞬間にイントロからAメロに入ったため、脳をシェイクする作業で忙しくなりねじ屋の親爺さんが出てくるまではずっと頭のねじ回しをしていました。
#14 ダイナマイト
何だこれ?????というのがグルグル回る視界の中で感じたこと。
“幸福のねじ“から”ダイナマイト“はパワーが炸裂しすぎており、もはやキャパオーバーだった。体感30秒。だのに、鈴木さんは上手側のステージ端まで走って煽りに行っていて何が何だか分からないまま本編終了。ちなみに、この2曲の連チャンは青森公演のみ。聴いてる方が訳わからなくなるほどだったので、演奏する方は殊更力がいっただろうな。すさまじいものをありがとうございました。
アンコール1
#15 羽根物人生
曲前MC
和「これはパチンコ曲ですけど、羽根物ってのがまたすごいですね」
鈴「羽根物はいい…羽根物はいいですよ」
和「ほら、もうその言い方が羽根物ずっとやってきたから言える言い方ですもん」
ダブルネックギターにハーモニカを装備し「もうお分かりですよね?」と和嶋さん。バンドサイズで”羽根物人生“を聴ける日がくるとは。
大変泥臭〜い感じの演奏で良いものでした。哀愁のコーラスが特によい。声がとても伸び良く出ていてにっこり。
曲後MC
鈴「うーん、うまくいかなかった。もう一回やり直したいね。難しい…切り替えが難しい。何って、さっき”ダイナマイト“やって次これでしょ。あんなバーンッて曲の後に…」
#16 なまはげ
曲前MC
和「冬の寒ーい東北地方で行われる祭りの歌…なまげものはいねが…泣いでる童はいねが…異世界からやってきた客人(マレビト)の歌、“なまはげ”」
和嶋さんの前口上に合わせて口パクする鈴木さん。
アンコールなので僧衣をキャストオフし白襦袢でステージ中央に躍り出て雄叫びを上げる鈴木さん、あまりに巨大で頭がビックリする。大きくていらっしゃる。
アンコール1後の挨拶があっさりしていたので、もしや2回目のアンコールがある!?とドキがムネムネ。本当の歓喜はここからだった。
アンコール2
#17 針の山
前述の通り、ベースアンプの調子が思わしくなく時たま待ちの時間(といっても煩わしく感じるほどのものでもなく、素人耳にはそこまで壊滅的な音でもなかった)があったりした。したが…。
ダブルアンコールでノブさんが飛び出してくる、和嶋さんが続く、物販のツアーTの紹介をする、鈴木さんが遅れて登場する。久しぶりに観るダブルアンコールの流れ。ここまでは普通だった。だったが…。
鈴「今日はベースの調子が悪く皆様には迷惑をおかけして大変申し訳ありませんでした。お詫びに…僕の晒し姿を見せます」
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どうぞと言わんばかりに帯をするりと脱ぎ前を躊躇なくガバリと開く。現れ出づる鈴木さんのサラシふんどし姿。
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まとめ
えらいもんを観てしまった。どんな姿よ?と想像のつかない方は公式のTwitterやInstagramの5月7日あたりの投稿を観てみるとよいと思います。
余談
自分の記録用にライブ日記をつけているのだが、青森公演分は興奮しすぎてえらい長くなってしまい画面スクショしたらこんなことに。