New Fortress Energy(NFE)
Fun.Do.Mental分析とは「応援者として楽しみつつ、投資活動を継続していくための、精神的安定をもたらす企業」分析という定義である。その内容は高校の教科書やSDGsなど独自の観点も含めた定性分析から始まり、独自の9マスの企業分析マトリクスによる定量分析を行う。この2つの観点から企業を分析し、企業の成長をより安心を持って楽しみながらリターンを獲得できる投資を目指す。
2019年1月上場の銘柄一覧と現在の状況まとめ
これらの中で2023年4月28日現在も上場し続けているのはSXTC.MTC.MDJH.NFEの4つである。今回はその内、New Fortress Energy(NFE)に注目する。
定性分析
会社の概要
ニュー・フォートレス・エナジーは米国の天然液化ガス(LNG)供給会社。陸上及び海上ターミナル、パイプライン、発電所などのエネルギーソリューションを統合的に提供。フロリダ州マイアミでLNGターミナルを運営するほか、ジャマイカのモンテゴ湾においてもLNG貯蔵施設及びターミナルを建設、運営し、ジャマイカ国内に供給。本社所在地はニューヨーク。
どんな商品・サービスで、どんな課題を解決している?
以下はSECの記載を簡潔に編集したものである。
当社は、ガスから電力までを一貫して供給する企業であり、「座礁した」天然ガスを利用して世界の増大する電力需要を満たすことを目指している。私たちの使命は、世界中にプラスの経済効果を生み出しながら、クリーンで信頼性の高いエネルギーを生み出すための最新のインフラストラクチャー ソリューションを提供することです。当社は、ターゲットを絞ったエネルギー ソリューションを世界中の顧客に提供し、それによってエネルギー コストを削減し、エネルギー資源を多様化すると同時に、汚染を削減し、魅力的な利益を生み出すことを目指しています。
当社は、4 つの部分からなる統合された LNG 生産および配送モデルを採用することで、目標を絞ったエネルギー ソリューションを提供することを目指しています。
①液化:当社のアプローチは、フィードガスについて長期の大部分が固定価格の契約を結び、抽出現場またはその近くでそのガスを液化し、フィードガス生産者の輸送コストとパイプラインコストを最小限に抑えることです。当社は現在、ペンシルバニア州マーセラス地域で2基の液化装置を開発中であり、それぞれ1日あたり約300万ガロンから400万ガロンのLNGを生産する能力があると予想されており、今後も開発を進めていく予定です。今後 5 年間で液化装置を 5 台以上追加する予定です。
②物流:当社は、「物流パイプライン」を通じてお客様に LNG を配送するために必要な物流資産を所有または管理することを期待しています。タンカートラックは、当社の液化装置から、マーセラス由来の LNG の場合はデラウェア川の港、中部大陸由来の LNG の場合はメキシコ湾の港に LNG を輸送し、その時点で LNG は大型船舶に直接積み替えられます。
③輸送:当社は、大規模な FSU および FSRU、および小規模な LNGC の両方に対して長期用船契約を行っています。これらの資産は、LNG を港から下流のターミナルまで輸送し、最終的にお客様に届けます。港からカリブ海の下流ターミナルまでの航行時間は約 5 日間です。
④ターミナル:現在および計画されている下流ターミナルのネットワークを通じて、当社は、ADO や HFO などの環境に負荷の高い留出燃料からの移行、または現在の燃料ニーズを満たすために天然ガスの購入を求めるお客様にガスおよび電力ソリューションを提供できる立場にあります。 。私たちの目標は、今後 5 年間で 10 ~ 20 か所の下流ターミナルを建設することです。
またNFEは水素にも着手している。以下はHPに載っている文章の一部である。
当社は、初のゼロエミッション水素プロジェクトにより、より環境に優しい世界に電力を供給できることを誇りに思っています。私たちのゼロ除算、当社はロングリッジ・エネルギー・ターミナルおよびGEガスパワーと提携し、オハイオ州ハンニバルにあるロングリッジの485MWコンバインドサイクル発電所をカーボンフリー水素で稼働するように移行するのを支援しました。現在、私たちはロングリッジの工場に燃料を供給する天然ガスに水素を混合しています。今後 10 年間にわたり、当社は GE と協力して プラントを 100% 水素で稼働するように移行していきます。私たちのゼロ除算は、低コストでゼロエミッション水素を製造できる新しい技術をスケールアップすることで、移行をさらに支援します。
⭐︎要はこの会社は、天然ガスの液化から輸送完了までを1セットで提供する会社。世界の中で手頃な価格でかつ信頼できるクリーンエネルギーが不足している場所を特定している。その後、その場所に液化天然ガス輸入施設を建設・運営し、天然ガスを地元に供給し、より良いエネルギー源へのアクセスを提供している。またガス火力発電の施設などに液化天然ガスへの転換のための融資・設計・建設を行なっている。実際にNFEは米国の液化天然ガスの供給会社であるが、売り上げ構成の9割はアメリカ以外で挙げており、HPの記載に沿った売り上げ構成になっていると言える。そして天然ガスにとどまらず、水素にも同時に着手しており、よりクリーンなエネルギーを模索・実行している。
高校の教科書とのつながり
地理の教科書にて需要が高まっていることが記載されている。その理由としては、石油や石炭よりも熱量が大きく、燃焼時排出される汚染物質も比較的少ないため、環境負荷が少ない化石燃料として重要視されていることが挙げられている。
どんな市場・セクターか+時価総額
エネルギーセクターで産業としては石油・ガス生産者になる。NFEは時価総額が63億$ほど。同業他社としてはウォーレンバフェットも投資しているXOM(エクソン・モービル)や配当利回りの高いCVX(シェブロン)などが挙げられる。両者とも時価総額は3000~4000億$ほどである。
⭐︎この二つの巨大企業とは時価総額が50倍ほど離れているので、もう少し成長余地があるのではないかと考えた。また近年、自然エネルギーから化石燃料への揺り戻しが起きているが、おそらくまた自然エネルギーへの流れが起きるだろう。その時に現在の石炭・石油などの化石燃料には厳しい目が向けられると考えられる。それに対して天然ガスは石油や石炭よりは地球への環境負荷が小さいことが言われており、かつ不安定な自然エネルギーを補完するための補助エネルギーとしての天然ガスはどんどん重要になってくると考えられる。よってXOMやCVXとは違って天然ガスを事業の中核にしているNFEは、現在のエネルギーの中心である石油という市場の代替・補完役として潜在価値があると考えた。
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)など
ミッション:「エネルギーへのアクセスを、環境に配慮した方法で作成する」「電気がもはや贅沢品でない世界(を作る)」
以下はHPに書かれた記述を簡単に翻訳したものである。
「エネルギーへの普遍的なアクセスは、教育から貧困削減、男女平等に至るまで、世界の主要な問題に影響を与える可能性がある。そのエネルギーへの普遍的アクセスを、環境に配慮した方法で作成することが、私たちの基本的な使命です。 」
ビジョン:石油ベースの燃料からLNGに変換することを支援し、カーボンフリー電力の世界有数のプロバイダーになること。
創業者について
創業者はWes Edensで2014年にNFEを創業。NFEの現在の筆頭株主でもある。現在はNFEの会長兼最高経営責任者。同様にゴルフ関連のレジャー施設の所有・運営企業であるDrive Shack Inc.の会長兼最高経営責任者でもある。
SDGsで考えると
⭐︎特に該当すると考えられる目標は「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」である。そしてその目標の中のターゲットのうち、以下のターゲットに該当すると考える。
7.1 2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。
7.2 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。
7.3 2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
7.a 2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。
7.b 2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発発展途上国及び小島嶼開発途上国、内陸開発途上国の全ての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。
定量分析
⭐︎かなり打ちそうなバッターだ。成長はしっかりしており、PERは55.53ということなので、こののち業績などとは関係のない一時期の株価下落があった場合、自分としては買いを検討していきたい。
55.53=28.32$(株価)÷0.51$(EPS)である。
狙う価格帯検討
直近最安値はは17.583$ 現在のEPSで考えるとPERは34.47倍
直近最高値は58.167$ 現在のEPSで考えるとPERは114.05倍。
NFEは純利益が2021.22年と100%成長している。ただし四半期で見ると23年の1Qは純利益が30%ほど下落しており、成長の振れ幅が大きい。天然ガス価格が下落していることによって利益が圧縮されているのだが、ここから天然ガス価格が反転し、ある程度の利益を見込んで計算する。
厳しく見積もって23年の利益成長を20%と考えると、EPSは0.612$(0.51$×1.2)となる。このEPSと現在の株価でPERを算出すると
28.32$÷0.612=46.274となる。直近最安値である17.583を使うと、28.73となる。10$台の時がいかに安かったのかがよくわかる。
⭐︎チャートを見ると、なんとなく26$付近に価格の転換点が集中しているように感じる。よって資金とも相談しながら、27$付近から徐々に買い集めていこうと考える。また利益成長が想定よりも高かった場合、PERはより低くなる。逆に利益成長が低かった場合はPERがより高くなるが、この企業がやっている事業は個人的に応援したいと思えるものであるため、時間を分散しつつ中長期投資を行なっていく。
自分なりの結論
2019年1月の銘柄を4つ見てきたが、やっと一つ魅力的だと考えられる銘柄に出会うことができた。安価で持続可能なエネルギーの行き届いていない場所に、天然ガスという答えを届けるNFE。またそれだけでなく、水素という他の選択肢も模索し続けておりすごく応援したくなる企業であった。また投資家目線で見ても、売り上げや利益は成長しており、最近は配当も出し始めていて株主還元も始まった。そういった意味でFDMな企業であると感じた。しばらくこの銘柄の価格や決算を注視しつつ、タイミングを見計らってエントリーしていきたい。
次回からの変更点
・現在も上場し続けている企業を全て細かく分析するのではなく、とりあえずその1ヶ月に上場し今も残っている企業を簡単に総浚いする。その後、惹かれたものを以下の変更点も踏まえてより深く分析し、記事にする。
・高校教科書とのつながりとSDGsはセットで、簡潔に記述する。
・その企業のビジネスモデルや経営戦略に着目、その企業がスマイルカーブのどの部分に位置するかなども考える。
・定量分析の項目をブラッシュアップ。
※当記事執筆者は、掲載内容によって生じた損害に対する一切の責任を負いません。
できる限り正確な情報提供を心がけておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。
最終的な投資判断・決定は、ご自身の判断で。