見出し画像

2章:投資信託の立ち上げの苦悩~独立系として14年ぶりの直販参入へ~


2つのライセンスが必要だった運用会社の立ち上げ

運用会社を立ち上げするにあたって、苦労は沢山ありました。
まず、ライセンスの取得です。 我々は、公募の投資信託を直販で販売しているのですが、そのために必要なライセンスは2つ。
一つは、投資運用業の投信委託業という運用のライセンス。そしてもう一つは第二種金融商品取引業という販売のライセンスです。 それらのライセンスの取得のためには、主に人的要件資本要件を整える必要がありました。

  • 人的要件は、金融商品取引業務に関する十分な知識や経験を有した役員や運用担当者がいること。

  • 資本要件は、資本金が5,000万円以上あること、そして純資産が5,000万円を維持することなどがそのための条件です。

その他にも多々条件があり、申請には多くの書類が必要で、事業計画書や内部規程、役員の経歴書など提出し、業務内容や運営に問題がないか厳密な審査をうけました。 登録には1年ほどかかると言われておりましたが、想定よりもスムースにライセンスの取得ができました。
ただし、必要なメンバーや社内体制の構築、資本要件を整えるための準備等を含めると、それよりもはるかに多くの日数を要したと思います。

金融商品取引業者登録票

SNS無しでは不可能だったメンバー集め

特に苦労したのはメンバー集めです。
運用会社に必要な人材は、運用担当者だけではありません。 コンプライアンス担当者、ミドルバックメンバーにも、専門知識と業務経験を持つ人材を集めることが重要です。 しかし、優秀な専門人材は、転職市場にあまりいないという考えがありました。
とにかく身近な知り合いに声をかけたり、紹介をしてもらったりと地道に活動していた記憶があります。SNS(とくにX)を活用して、しきりに必要人材をアナウンスしていた時期もありました。 (今もしていますが)投資信託を運営していくにあたり必要不可欠なニッチな業務もあり、とりわけ投信計理の経験者を探すのはとても大変でした。
私たちが将来やりたいビジネスや考えを発信し続けていると、SNSを経由して、手伝えることがあったら言って下さいと言っていただくことが増えました。そして多くの方のサポートやアドバイスをいただきながら、体制を構築していきました。

現在、社員も10名を超えており、もうすぐ20名にも近づこうとしておりますが、ここまでの人員体制構築にあたり、転職エージェントは使っていません。 それでも運用会社を運営していくのに十分過ぎる優秀なメンバーに集まってもらえたのは紛れもなくSNSのお陰で、地道に継続しているといいことがあるなと実感しています。
特に平野や杉原は業界での経験も豊富なメンバーですが、お二人とのめぐり合わせも、実は杉原がX(旧Twitter)でDMをしてくれたことがきっかけでした。平野は、ご退職された後、何もされずに引退したいということでしたが、一緒にお食事にいかせていただき、参画を会社メンバーみんなでお願いした記憶があります。結果として何とか入社を決めていただきましたが、その後のライセンス取得含め、平野、杉原がいなければ今のfundnoteはないと思うことが多々あります。採用はマネジメントが転職エージェントやヘッドハンターと同じくらい頑張れば成果がでるということも分かり、どれだけ頑張るかという点でいえば、営業と採用はほぼ同じだなと思ったりもしています。

拘り抜いた直販型運用会社

そして特に拘ったのは直販型の会社とすることです。上述の第二種金融商品取引業の免許はそのために取得しました。 国内の大半の運用会社は、直接、投資信託を販売しておらず、証券会社や銀行に卸して販売しています。
支店を全国に展開しているそういった金融機関の営業マンを活用した方が効率良く販売が可能だからです。
しかし私は直販型の会社を目指すことに拘りがありました。
直販型にすることで、より運用者の顔や人柄、投資哲学などが伝わりやすくなるのではないかと思っているのが一番の理由です。
「ファンドマネージャーにお金を託す」というイメージをより具現化したかったのです。 販売会社である証券や銀行を通すと、どうしても販売会社のセールスを介して購入するという顧客体験が強く、ファンドマネージャーに預けるという実感が乏しくなる気がするのです。 当然、運用会社からしても販売会社に取り扱ってもらうことで、残高が集まりやすいなどのメリットもあると思いますが、それよりも、自分たちも想いが伝わる直販型にしたい拘りがありました。 少しでも運用者の声が投資家に届くようなサービスに仕立て上げたいです。

自社のウェブサイトでもファンドマネージャーの名前と顔を開示する

自社ウェブサイトにても運用者の名前や顔を開示することはもちろん、その他の情報についても開示することで、これまでベールに包まれていたファンドマネージャーが身近に感じられるようにしたいと思います。 金融庁のプログレスレポート(下記リンク)でも取り上げられましたが、我が国の投資信託の運用者の名前の開示はわずかに2%にとどまっているというのは問題点だと思います。

このような状況では、アクティブ運用の大事な強みの1つを失っていると思います。 運用者の名前や顔も分からない投資信託は、インデックスの投資信託とさして変わりません。 それこそが、インデックスと画一的に手数料比較されてしまう理由の一つだと私は考えます。
投資信託を販売している証券会社や銀行のセールスマンでさえ、どこのだれが運用しているのか分からない投信をそのまま販売しています。
結果として、増えた減っただけのゲームで味気なく、ロボやAI運用にとってかわられてしまいます。アクティブ運用からしか得られない栄養素があると私は思いますし、そういった栄養素を投資家とシェアできる仕組みづくりはこれから展開していきます。

独自の仕組み化を徹底するセールスチーム

では、どうやって直販で顧客を獲得しているのかというのはよく聞かれる質問です。 弊社には対面のセールスチームがいます。特定投資家やそれに準ずる適格投資家のような顧客が主な対象です。 新規開拓の方法はユニーク、かつ多岐にわたります。この点については、企業秘密にさせてください。大手がやらないこと、俗人的にしかできていないことをなるべく仕組化してやります。

金融営業は、属人的でかつ、その属人性が富裕層の方には評価されるということもよくわかります。しかし金融営業、とくに顧客新規開拓の部分については、もっと平準化できるのではないかと思っており金融営業の仕組化にも挑戦しています。 事業を続けていると、お客様や関係者の方からご紹介をしていただくこともありますが、大変ありがたいことだと捉えております。採用もそうですが、そういったご紹介をしていだだける方々には感謝しかありません。


会社概要

会社名:     fundnote株式会社
設立:      2021年8月
代表取締役社長: 渡辺克真
資本金:     140百万円
事業内容:    ・投資運用業・第二種金融商品取引業
         ・適格機関投資家等特例業務
         ・関東財務局(金商)第3413号
         ・一般社団法人 投資信託協会 加入

金商法に基づく表示等はこちらhttps://www.fundnote.co.jp/risk/


いいなと思ったら応援しよう!