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教えて!川合ファンドマネージャー「2025年日本株の展望、ディープシークはグロース株の救世主⁉」

「ディープシークはグロース株の救世主⁉」
世界に激震を与えたディープシークの登場によって世の中は何が変わる?

今回のnoteでは、投資家の間で最も関心高いこのトピックについて「2025年の展望」や「グロース株の見通し」も交え、実際のポートフォリオをもとに
fundnoteIPOクロスオーバーファンド(愛称:匠のファンド あけぼの)の運用担当者である川合直也にインタビューをしました。

さらに、「2025年注目!AIの次なるテーマは○○⁉」という個人投資家の方が気になる質問まで突っ込んでお話を聞きましたので、ぜひ最後まで目を通していただければ幸いです。

※2025年1月末に行ったインタビューをもとに本noteを作成しています。


プロフィール詳細

川合の運用する匠のファンド あけぼのはこちら⇩




Q1 2025年日本株の展望を教えてください

川合:本当に刻一刻と状況が変わっていますが、年初の段階だとアメリカの景気が良すぎるためインフレが止まらず、FRBの利下げもなかなかできないだろう、あるいは金利が上がっていく可能性もあるというのが年初のコンセンサスでした。

そこから今(1月末)、米大統領に就任されたトランプさんの影響で若干警戒が緩くなっています。トランプさんの政策が、僕にはインフレをとにかく抑えたいように見えています。例えば、原油価格を下げようとしているあたりです。関税に対してもアグレッシブと言うよりは状況を見てやりたいといった雰囲気に見えているため、懸念していたほどは金利が上がらなそうです。従って株にはポジティブだと捉えています。


Q2 グロース株の見通しはどうでしょうか?

川合:特にグロース株にとってポジティブな状況だと思っているのが足元の考え方です。もう一点、グロース株と半導体株は逆相関のような動きをします。「半導体が強い時は、IPO株は弱め」「半導体が弱い時は、IPO株が強め」といった風にです。その状況で、半導体の市況が強くあるかどうかがIPO株にとっては非常に重要になってきます。

その点で言うと「ディープシークショック」があり、これまでAIを作るための半導体が市場全体を牽引してきたところから少し緩くなっています。
それにより、半導体よりも小型に資金が流入しつつあると、少なくとも1月の今は思っています。なので、年初に思っていたよりはIPOに対してかなり強気で見れていますね。

―「半導体主導の相場」から「グロース株有利の相場」に移っていくきっかけをディープシークショックが作ったということですか!?

川合:結構そういう風に思っています。できれば、「FRBが引き続き利下げしたい」であったり、「日銀がそんなに利上げしません」という方向に進めむことがグロース株にとってベストだと思いますが、それがなかなか期待できない中で、ディープシークショックが1つ良いカタリストになったように思っています。

逆に、ディープシークショックが起きていなかった場合、まだ大型株の方が有利な相場であっただろうな思います。


Q3 川合さんはディープシークをどのように捉えていますか?

川合:ディスラプティブ・イノベーション(破壊的イノベーション)ってやつですねこれは。これまでは、とにかく演算能力の高いAIを作るために、データセンターを建設し、エヌビディアの高性能GPUを大量に購入することが正義とされてきましたが、ディープシークによってそこまで高性能なGPUを使わなくても、十分なAIの処理が可能だという方向性が示されました。そして、それがおそらくAIを使いやすくすると捉えています。

AIを利用したビジネスをしたい会社にとってはポジティブですし、そのコンサルをする会社にとってもポジティブだと思います。ですが、データセンターなど設備投資をどんどんやっていこうという世の風潮は緩むと思います。

AIをガツガツと積極的に使っていきたい会社以外は、効率的な演算をするAIを好むと思いますので、世界の方向感としてはやはり少し効率派よりになっていくのではないかと思っています。
ですが、AIの需要自体は今後も増えていっておかしくないとみています。


Q4 ディープシークショックが与えた市場の変化
  「今のポートフォリオの中身とは?」

川合:去年まではやはり、データセンターを作る会社が凄かったです。AIのための設備投資の会社の株が上がる相場だったわけですが、そこからAIを使うための会社や使ってサービスを提供する会社、あるいはAIを使いたい会社に対してコンサルをする会社の株が上がる相場に移ってきています。

僕のポートフォリオも、昨年まではAI設備投資の関連銘柄や先端的な半導体への投資でメリットを受ける会社を結構組み入れていましたが、今は減らし気味です。ディープシークショックによって、色々な影響が起きたと先ほど述べた通りで、過去2年間、世界の設備投資や半導体投資を牽引してきたのはAIでした。これに支えられ、全体の景気が壊滅的な状況ではなかったと言えるでしょう。
特に、中国の景気は非常に弱かったです。世界の工場である中国では大規模な投資がほとんど行われていません。その一方で唯一活況だったのが半導体関連だったというわけです。

【ディープシークショックによって】
データセンターの需要減、半導体関連への投資が鈍化

アメリカの強すぎる景気が和らぐ

インフレ圧力が低下

この影響で、年初時点で想定していたほど金利は上昇しない可能性が出てきました。従って、「円安メリットの銘柄」「半導体関連の銘柄」をポートフォリオからだいぶ外しましたね。
そして改めて、より「小型グロース株」に寄せているのが、今のポートフォリオになります。


Q5 伸びるグロース株・伸びないグロース株の決定的な違いとは

川合:結論「本当に優れた会社かどうか」 ということが、最も重要な違いだと思います。IPOしたからといって、その会社が優れた企業とは限りません。年間約100銘柄のIPOがある中で、本当に優れた会社はその一部です。そして、その優れた会社だけがしっかりと株価を伸ばしている状況だと思います。何が、優れた会社とそうでない会社とを分けるかと言うと、やはり「経営戦略」でしょうね。

―経営戦略とは具体的にどういった部分ですか?

川合:「いかに市場を取っていくかの戦略」が定まっているかどうかです。しっかりと市場を分析して「どういう商品やサービスを投入すれば伸びるかを突き詰められているかどうか」。また、「それが正しいということを検証しながら、投資し続けれているかどうか」といった経営戦略で明暗が分かれているような気がします。


Q6 グロース株投資の意志決定
  「割安/割高はどの指標で判断する?」

川合:割安/割高はPEGレシオを使って9割ぐらい判断しています。
一番原始的なPEGレシオの指標は「今期のPER÷今期の利益成長率」ですが、僕はちょっとずらして使っていて「来期のPER÷今期の売上成長率」でPEGレシオを見ています。それが割安かどうかで投資の意思決定をしていますね。

1倍が基準で、1倍以下は確実に割安。だいたいの銘柄が0.5倍~1.5倍ぐらいのレンジに収まります。良いと思っている会社であれば1.5倍ぐらいまで行きうるのでそこまでお付き合いしたいという感じです。ですので1倍が基準ではあるけれども、基準もその会社の良さやクオリティーによって変わってくると思っています。


Q7 個人投資家におくる「グロース株投資の魅力とは?」

川合:グロース株は若い会社が多いので、その会社がどんな実力なのか見極める楽しさがあります。バリュー株投資は「この割安さが解消されるかどうか」が重要で、解消されたら売るしかありません。一方、グロース株はより長い付き合いになる可能性があり「良い会社が良い会社であり続けるかどうか」を会社と一緒に歩む楽しさがありますね。

―良いと思う会社と伴走する楽しさって応援みたいですね
川合:応援ですね。


Q8 2025年注目!AIの次なるテーマとは?

川合:宇宙ですね。簡単に言うと、日本の宇宙の予算が大幅に増加します。
昨年の4月に「宇宙戦略基金」の基本方針が発表され、JAXAのこの基金を通じて今後10年間で総額1兆円規模の支援がなされることになりました。これまで、日本の宇宙関連の予算は年間約3,000億円でしたが、この基金により、年間約1,000億円(1兆/10年)が追加され、単純計算で年間予算が約4,000億円に約30%も増加する見込みです。この資金投下が始まるのが今年からで去年との明確な違いになります。

野村證券による「QPS研究所」「Syns」、みずほ証券による「アストロスケール」など今年に入って証券会社による日本の宇宙株のカバレッジが続々と始まっていて、これまでの過去3年は「AI」が一大テーマでしたが、次のテーマは「宇宙」ではないかと思っている人が増え始めた感じがします。

―注目の次なるテーマ「宇宙」については、次回以降のnoteで特集していきます。


川合の運用する匠のファンド あけぼのはこちら⇩


会社概要

会社名:     fundnote株式会社
設立:      2021年8月
代表取締役社長: 渡辺克真
資本金:     140百万円
事業内容:    ・投資運用業・第二種金融商品取引業
         ・適格機関投資家等特例業務
         ・関東財務局(金商)第3413号
         ・一般社団法人 投資信託協会 加入
金商法に基づく表示等はこちらhttps://www.fundnote.co.jp/risk/


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