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教えて!川合ファンドマネージャー「AIの次は宇宙⁉いま知っておきたい宇宙ビジネス最前線」

「AIの次なるテーマは宇宙⁉ 」
人類最後のフロンティアとも呼ばれる宇宙。
気になる最新の宇宙ビジネス、その秘めたる可能性の全貌を解き明かす。

今回のnoteでは、「いま知っておきたい宇宙ビジネス最前線」と題し、その注目分野や資金の出し手はいったい誰なのかといったトピックについて
fundnoteIPOクロスオーバーファンド(愛称:匠のファンド あけぼの)の運用担当者である川合直也にインタビューをしました。

最後には運用者不要論】AIは投資判断を担えるか?」という個人投資家の方が気になる質問まで突っ込んでお話を聞きましたので、ぜひ最後まで目を通していただければ幸いです。


プロフィール詳細

川合の運用する匠のファンド あけぼのはこちら⇩




Q1 今最も注目しているスタートアップ領域は?

川合:やはり宇宙です。以前お話しした通り、JAXAが総額1兆円を投じて支援する計画がありますし、アメリカでもスペースXのCEOであるイーロン・マスク氏が政治的にも影響力を持っていると思われます。さらに、トランプ大統領も就任初日から「火星に星条旗を立てる」と発言するなど、宇宙開発への関心が高まっていることに違いはないでしょう。今後のグローバルテーマとして「宇宙」が大きく浮上してきていると思います。

【前回のnoteより抜粋】
Q8 2025年注目!AIの次なるテーマとは?
川合:宇宙ですね。簡単に言うと、日本の宇宙の予算が大幅に増加します。
昨年の4月に「宇宙戦略基金」の基本方針が発表され、JAXAのこの基金を通じて今後10年間で総額1兆円規模の支援がなされることになりました。これまで、日本の宇宙関連の予算は年間約3,000億円でしたが、この基金により、年間約1,000億円(1兆/10年)が追加され、単純計算で年間予算が約4,000億円に約30%も増加する見込みです。この資金投下が始まるのが今年からで去年との明確な違いになります。

野村證券による「QPS研究所」「Syns」、みずほ証券による「アストロスケール」など今年に入って証券会社による日本の宇宙株のカバレッジが続々と始まっていて、これまでの過去3年は「AI」が一大テーマでしたが、次のテーマは「宇宙」ではないかと思っている人が増え始めた感じがします。

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Q2 「宇宙がアツい」と気づいたきっかけはなに?

川合:一昨年からIPOしてくる宇宙株が一気に増え始めたことですね。23年4月「ispace」にはじまり、同年12月に「QPS研究所」、24年6月に「アストロスケール」、その6か月後には「Syns」と立て続けに4社IPOがありました。
特定の業界のスタートアップが続々と上場をし始めるということは、その業界が成長期を迎え、社会情勢と株式市場のニーズが一致してきている証拠です。そこから気づき始めました。

―「New Space(ニュースペース)」と呼ばれる時代に突入し、宇宙ビジネスが公共から民間に降りてきたことが要因としては大きいのでしょうか?

川合:そうですね。とはいえ、民間の資金流入はまだ少ないのが現状です。大部分は国やJAXAの支援が占めていますね。
民間からの資金を得られるようになるためには、やはり一定以上の衛星の数やそこから得られるデータ量が必要になります。そこで、今はまず国やJAXAが資金を投入し、将来的に日本のスタートアップが民間からの需要に応えられる段階へと押し上げようとしている訳です。


Q3 宇宙ビジネスのお客さんってどこの誰?

川合:将来的には民間企業がメイン顧客へと移り変わっていくと思いますが、現状は国からの補助金的な予算が中心になっています。次に多いのが防衛関係での衛星の打ち上げになります。

3番目ぐらいで、今既に収益性のあるビジネスとして行われている「スターリンク」ような通信分野での利用です。あとは、昔からやられているものだと、衛星放送もありますね。

そこから今まさに裾野が広がっていき、需要が増していくだろうというフェーズにあると思います。

―国防や国家安全保障とも関わりの深い宇宙ビジネスですが、海外から資金取得をする企業もでてきていますよね。それはなぜですか?

川合:各国に良い会社や技術があれば、自国の会社でやると思いますが、実際のところ限られたプレイヤーしかいないのが現状です。例えば、アストロスケールのような「宇宙デブリの除去」や「既存の衛星に燃料を補給する」といったことができる技術を有している会社は、グローバルで見ても他に数社しかありません。それは、QPSやSynsが展開している衛星からのSAR画像データを提供するサービスも同様で、世界に数社しかありません。そのうちの2社が日本の会社ということになります。

なので、自国に需要を満たす技術を持った先進的な企業があるかないかだと思います。敵国でもない限りは、需要を満たす最適な技術が日本企業にあればその会社を選ぶだろうと思います。

―各国の宇宙開発競争で日本はかなり進んでいるということでしょうか!

川合:残念ながらそうではありません。アメリカが年間100回以上ロケットを飛ばすのに対し、日本はたったの5回前後です。日本政府は2030年代前半に年30回を目標としていますが、大きく差が開いています。

スプートニクに始まった宇宙開発競争の初期段階では、ロシアが最も進んでいた国でした。ですがその後、NASAに抜かれ現在は、次のようなランキングになっています。
 1位 アメリカ
 2位 中国
 3位 ロシア
 4位 日本 or インド or 欧州宇宙機関(ESA)
もちろん、どのデータを用いるかによっても多少の入れ替わりはあると思いますが、米国と中国が他国を圧倒していることに異論のある人はいないでしょう。


Q4 宇宙ビジネスの中でも一番注目している分野は?

川合:おもしろい調査がありまして「一般人に注目の宇宙はビジネスなんですかって聞いた時、40%の人はロケットの打ち上げだ」と答えるそうです。しかし実際には、宇宙ビジネス全体でのロケット関係の産業は1%〜2%しかありません。一般のイメージとだいぶ異なりますが、実は地球上で「衛星からの電波を受け取るサービス」「そのデータ処理を行うサービス」が宇宙ビジネス全体の3割〜4割を占めています。

そこに凄くギャップを感じていて、中でも注目している分野になります。この分野は、巨額の赤字を掘って衛星開発やロケット開発をしなくてもできるので、宇宙をテーマとした地上のサービス市場は今後活況になってきうるだろうなと思っています。


Q5 テクノロジーの最新情報はどこでチェックしているの?

川合:Xで色々な人をフォローしてチェックしています。新しく調べ事をしたいことがあった場合、その分野の著名な人や詳しい人をXで探してきてリスト化し、ポスト内容を片っ端から読んでいくみたいなことを必ずしています。尚且つ、日本語だけではなく、英語・中国語・韓国語と多言語でチェックしていますね。

最近は、宇宙関連のカンファレンスにも顔を出しているので、そこで情報を得ることもあります。
ただ基本的には、パソコンでのリサーチで知れないことはないと思っているので、一番は「日々ググる」ことにあると思います。


Q6 あったらいいなと思う未来のテクノロジーは?

川合:まずは「ほんやくこんにゃく」を早く実現してほしいです。AI同時通訳機みたいなものってできない理由が無いと思ってます。ポケトークとかがありますけど、より安くて高い精度のものを絶対に早く出すべきです切実に!欲を言えば四次元ポケットが欲しいです(笑)。


Q7 【運用者不要論】AIは投資判断を担えるか?

川合:もちろん将来の可能性はゼロではありません。弊社もトライアルベースですが、アメリカのAIベンチャーが提供している自然言語処理のサービスを利用したことがあり、開示資料を読みこませるといったことを試したことがあります。

ただ、最終的な投資判断までAIに任せるには、僕自身の投資のロジックを厳密に言語化して、それを定式化することが必要だと思うので、それはやはり自分であってもなかなかできていない部分になります。投資にはアート的な部分があると思っています。アートな部分まで正確に模倣できるのであれば、AIも投資判断ができるようになると思いますが、自分でできていないことを他の人ができるとは思わないので、今のところはまだ実現できないのだと思います。一方で、作業の効率化ツールとしては既に取り入れていますし、投資判断に至るまでの補助的な役割という意味であれば、先進的な投資家であれば皆さん使われていると思います。

投資ってアートなんですよ。


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【教えて!川合ファンドマネージャー企画】

第1弾「2025年日本株の展望、ディープシークはグロース株の救世主⁉」


会社概要

会社名:     fundnote株式会社
設立:      2021年8月
代表取締役社長: 渡辺克真
資本金:     140百万円
事業内容:    ・投資運用業・第二種金融商品取引業
         ・適格機関投資家等特例業務
         ・関東財務局(金商)第3413号
         ・一般社団法人 投資信託協会 加入
金商法に基づく表示等はこちらhttps://www.fundnote.co.jp/risk/



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