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【マッチレビュー】FIBAワールドカップ 2023 1次ラウンド 8/25 ドイツ vs 日本

スターター

・ドイツ
 7. C ヨハネス・フォウクトマン
 9. G フランツ・バグナー
10.PF ダニエル・タイス
17.PG デニス・シュルーダー
42.SG アンドレアス・オブスト

・日本

試合展開とポイント

1Q

立ち上がりは両チーム共にハーフコートマンツーマン。ドイツのオフェンスは、ペイント付近にポストアップしたビッグマンへボールを経由しながら展開。インサイドを中心に得点を積み上げる。

一方の日本は、馬場のインターセプトからのファストブレークで初得点を決めると、ハーフコートにおいては5outからスタートし、ホーキンソンがペイント付近に入る形で右のコーナー、トップオブザキーから渡邊が連続で3ptを決めていく。

初戦ということもあり、ディフェンス強度は両チーム共に高く保つも、インサイドからモリッツ・バグナー、ティーマンが確実に2ptを決めていくドイツに対し、頼みの3ptの精度を欠いた日本とのオフェンスの差が表れることに。

残り2分からは3-2ゾーンを敷いた日本に対し、モリッツ・バグナーの3pt、シュルーダーのフローターなど個人技で打開したドイツ。23-11とドイツが12点のリードを奪い1Qを終える。

2Q

1Qに引き続きインサイドアタックから攻めていくドイツが先制。一方、日本のオフェンスでは、馬場がペネトレイトからボスハンドダンクを叩き込むと、ファストブレークから再び馬場がリバースレイアップを決める。

日本はオールコートでの2-2-1のゾーンでディフェンスを仕掛けにいく。流れを一気に引き寄せたい日本ではあったが、プレスに対してドイツは3線の形を崩さずセオリー通りに対処。モリッツ・バグナーの3pt、ボンガのゴール下シュートで日本を突き放しにかかる。

日本は馬場が気を吐き、ペネトレイトから再び技ありのリバースレイアップを決めると、ディフェンスではハーフコートでの3-2ゾーンに切り替え、ウイングの位置からプレスをかける。

だがドイツのオフェンスは日本の上をいく。フランツ・バグナーのダブルクラッチやオブストの3ptを初め、個々の高い能力とハイスピードなチームオフェンスで次々と追加点を決めていくことに。

ブザー寸前には西田が自分で持ち込んで決めるなど日本が意地を見せるも、スコアは53-31。22点差とドイツが大きくリードして前半を折り返す。

3Q

前半で格上相手に22点のビハインドを背負い、後がなくなった日本。ホーキンソンのゴール下、渡邊のファストブレークから連続でゴールすると、ディフェンスでは2-3ゾーンに切り替えドイツのリズムを狂わせていく。

さらに日本は渡邊のジャンパーが決まり、3Q開始は0-6のランに成功。53-37と、点差を16点差までつめることに。

一方、前半に比べてオフェンスの勢いが落ちたドイツではあったが、シュルーダー、タイス、フランツ・バグナーの1on1を中心に、個人技で打開しながら粘りのオフェンスを見せる。

日本は馬場、渡邊、ホーキンソンがそれぞれ3ptやリムアタックで応戦し、20点前後の差が変わらないまま、試合は進むことになる。結局3Qのスコアは16-16と互角の内容となり、総スコアは69-47。点差は22点差のまま最終クォーターへ。

4Q

点差が広がり、試合展開としては苦しくなった日本。1次ラウンドではグループ総当たりということもあり、得失点差を少しでも縮めるため、必死の戦いは続く。

インサイドではホーキンソンが気を吐き、オフェンスリバウンドとリムアタックによるフリースローで得点すると、ディフェンスでは一段と強度上げる日本。ドイツをショットクロックぎりぎりまで追い込みリバウンドをもぎ取るなど、集中を一層高めていく。

4Qは特に渡邊と馬場がコンビプレーが冴え、渡邊のアシストから馬場が切れ込んでダンクを決めると、ファストブレークでは今度は馬場のアシストから渡邊のアリウープが決まるなど、追い上げを見せる日本。馬場のキックアウトから河村も3ptを沈め、ドイツ相手にもひかない姿勢を貫くことに。

だが大きくリードを保ったドイツは慌てずオフェンスを立て直しながら、ワグナー兄弟とオブストを中心に着実に得点を積み上げ反撃する。

終盤は主力をベンチに下げ、セカンドユニットの選手たちに試合を託した日本。オブストらの徹底マークに苦しんだ富永がようやくこの試合初めての3ptを決めるなど、点差をなんとか10点差台へと乗せ、最後の粘りを見せる。

最終スコアは81-63。18点差でドイツに軍配が上がった。

ボックススコア

総評・雑感

前半の22点という点差がそのまま決定打となってしまった試合。後半のみのスコアで見れば、

ドイツ28-32日本

と、後半にはしっかり攻守を立て直して戦うことが出来た日本。それだけに、前半でドイツのような格上の強豪チームに先制パンチを与えてしまったことが、致命傷となってしまった印象だ。

3ptの確率が17.1%(6/35)と、日本の生命線とも言える長距離砲がこの試合では不発。オブストを初めとするドイツのウイング陣たちの徹底マークにより、日本の稼ぎ頭である富永が抑えられてしまったことも、その一因として挙げられるかもしれない。

勝負の世界に"もしも"はありえないのだが、理論上、3ptのアテンプトがそのままだとして、チーム目標としている3ptFGが40%だった場合、成功数は14本。つまり+8本の成功で+24点。勝敗をひっくり返せる数字ではある。

勿論、そんな試合展開になったとしたら、ドイツはあらゆる手を駆使して抑えにくるはずであるし、そもそも強化試合のアンゴラ戦、フランス戦で20得点を叩き出した富永の対策を徹底してきた辺り、戦術的にもドイツに完全な軍配が上がっていたことは明らか。スラムダンクの流川楓の言葉を借りれば「バスケットは算数じゃねぇ」と言ったところか。

ではあるものの、ホーバスジャパンが目指すバスケットボールの方向性として、強豪国に勝ちに行く手法としては今の戦い方は理に適っていると言える。この試合で取り組み続けた高いディフェンス強度の徹底と、3ptアテンプトを増やすという点では、世界屈指の強豪国であるドイツ相手に一定の通用を見せたのも事実だろう。

厳しいグループリーグはまだまだ続く。

「ドイツ相手に敗戦。しかし得失点差18点。」

苦しみながらも日本一丸となって耐え切った点差である。この結果を生かすも殺すも、これから先の日本代表の戦い次第であると言えるのではないだろうか。

1次ラウンドはまだ始まったばかり。次の試合へ向け、しっかりと切り替えていって欲しいところである。

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