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〔米国〕雇用統計 事前考察&ドル見通し
雇用統計です。FXトレードをするとき、個人投資家が最も注目する経済指標と言って差し支えありません。大きな変動の可能性もあるため、よく確認して臨みましょう。
❏ 今夜の予想
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今回、『9月利下げが、既成事実になっている』という事情がベースで雇用統計が発表されます。9/18FOMCを控え、最終チェックとなる経済データとして判断されます(※9/11米CPIと併せて判断が必要)。
パウエルFRB議長は、ジャクソンホール・シンポジウムで9月利下げを事実上明言しました。つまり、何もなければ利下げがおこなわれます。今夜のデータにより3択が生じるでしょう。
▶ データから3つのシナリオが読み取れる
強いデータにより9月利下げに疑義を投げつける
順調に雇用がダウンして0.25%の利下げが肯定される
雇用鈍化が加速して、0.50%の利下げが説得力を持つ
さて、どれに近いデータになるでしょう?
雇用悪化が経常化しているかが、判断ポイントになります。
❏ ファンダメンタル分析
時系列データをお見せしつつ、見解を述べます。
▶ 失業率&非農業部門雇用者数
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まず、ファンダメンタル分析において非農業部門雇用者数(NFP)より失業率の方が重要です。たしかに、発表後のチャート反応はNFPを見て動くでしょう。NFPが注目度で随一だからです。しかし、経済データのしての価値は失業率が上です。
NFPは4週間移動平均を見ると分かりやすいです(データがブレやすいため)。明らかに弱まっていることが読み取れるでしょう。この鈍化が継続すれば米雇用はさらに悪化したと評価できます。
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9月に入ってから発表されたADP雇用者数やJOLTS(求人数)も急速に悪化しています。アメリカが通常の経済成長のために、毎月15-20万人の雇用が必要とされていますが、この数字を維持できなくなりつつあるようです。
さらに雇用の質も重要で、最近では正社員を減らしてパート採用を増やす等、日本でも見られる現象がでています。
今のところ個人消費が好調であるものの、販売現場、製造現場では雇用意欲が減っていると考えられます。新規失業保険申請件数も、今年1月頃と比べて、週に失業申請する人が10%増えました。
アメリカ雇用の悪化は間違いありません。
見所は、それがどれだけ緩やかで済むのか(激しくなるのか)?です。データからこれを確認しなければなりません。
▶ 平均時給および実質賃金
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インフレ率が下がらなければ、FRBの利下げはありません。そして賃金が下がらなければ、インフレ率は下がりません。つまり、とても重要なデータという事です。
その時給(賃金)の伸びは下がり続けています。ただ一方、まだ高水準ではあります。FRBはインフレ率を2%にする目標と同時に、平均時給を2.5%程度に落ち着かせたいと考えていると思われます。
高水準ではあるものの、下落トレンドが続くならFRBは利下げを認めるでしょう。ゆえに平均時給が弱含みであることも重要なポイントになります。
グラフにある実質賃金も重要です。これが下向きになるほど、消費者の購買力が下がります。消費が悪化すれば、雇用悪化は次月以降に悪化するでしょう。※実質賃金はFundaliaが算出したデータです。
❏ ドル見通し
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雇用統計は、発表後に大きな値動きをすることが多くあります。特に今回は、利下げが現実味を帯びたことで、利下げに影響を当てる雇用統計データは注目されるでしょう。雇用が悪化すれば利下げ要件に近づきます。
▶ 予想より強かったケース(タカ派)
マーケットの総意は雇用悪化でしょう。雇用が悪くFRB利下げばドル売りと考えています。ゆえにドル/円はこれほど下がっているのです。
しかし、一過性で雇用が強くなるタイミングが9月でもあります。1つはアメリカは年度末で人の往来が活発になる時期であること。そしてもう1つはクリスマス商戦を控えた一時的な増員。雇用統計をデータ的に彩る可能性もあります。
確率は低いものの想定外はあり得ます。
そこまで強くないものの、もしマーケットに9/18利下げの可能性や追加利下げの可能性を弱めるイメージを与え、現在の「142.50は売られ過ぎでは?」と思われれば、結果ドル高になります。
現在のドル/円は直近で最安値近傍ですから、ドル売りした投資家が手仕舞う形でドル買いとなることはあり得るでしょう。アメリカは年度末ですから、利益確定しやすい動機があります。
日本の3月はどういう相場になりますでしょう?
思い出してみて下さい。
▶ 予想より弱かったケース(ハト派)
マーケットは雇用が弱くなるのが妥当と考えています。ゆえに多少弱くとも、0.25%利下げが確実になったとしか考えません。やや弱いだけなら、すでにドル売りしている投資家が利益確定して、むしろドル/円が上昇する可能性があります。
もし、非常に悪いデータになったとすればドルは総崩れになるでしょう。
8月は雇用統計後にドルや米国株が崩れて、翌週月曜がブラックマンデーでした(日経平均4000円安)。
あれほど激しい相場は予想できませんが、また値崩れすることは想定されます。※前月、発表後のドル暴落を指摘しています
そして0.50%利下げが妥当とマーケットが考えれば、ドルは140円割れも可能性がでてきます。
記事は以上です
次の記事でまた次の記事でお会いしましょう
Fundalia financial philosophy(FFP)