〔米国〕雇用統計 事前考察&ドル見通し
雇用統計です。FXトレードをするとき、個人投資家が最も注目する経済指標と言って差し支えありません。大きな変動の可能性もあるため、よく確認して臨みましょう。
❏ 今夜の予想
今回、雇用統計には明瞭な判断基準があります。
7/31FOMCでパウエルFRB議長は『9月利下げを検討した』と述べていました。雇用統計は、その発言が正しいものなのか?それとも阻害させるデータになるのか?を確認する場となります。
9月利下げを肯定するかどうかが問題であって、経済指標が強いか弱いかで判断すべきではありません。仮に指標が弱くとも利下げはないと判断されるケースは時々あり、その場合はドル買いになりますので。
もし、非農業部門雇用者数が弱くて、平均時給が強かったら判断は難しくなるでしょう。
❏ ファンダメンタル分析
時系列データをお見せしつつ、見解を述べます。
▶ 失業率&非農業部門雇用者数
まず、ファンダメンタル分析において非農業部門雇用者数(NFP)より失業率の方が重要です。たしかに、発表後のチャート反応はNFPを見て動くでしょう。NFPが注目度で随一だからです。
NFPは4週間移動平均を見ると分かりやすいです(データがブレやすいため)。明らかに弱まっていることが読み取れるでしょう。この鈍化が継続すれば米雇用はさらに悪化したと評価できます。
また、パウエルFRB議長は「急激な雇用の悪化に注意」と何度も警鐘を鳴らしていて、いつショッキングなデータがでてくるか分かりません。この点にも注意です。
失業率は注目されにくい経済指標ですが、景気に対して素直に動く分かりやすいデータです。さらに上昇するなら、リセッションの可能性が高まったと判断できるでしょう。
▶ 平均時給
インフレ率が下がらなければ、FRBの利下げはありません。そして賃金が下がらなければ、インフレ率は下がりません。つまり、とても重要なデータという事です。
失業率や非農業部門雇用者数が悪化すれば、賃金の上昇は止まるでしょう。かつて1000万件超だったJOLTS(求人数)も800万件前後まで悪化していますから、数的な雇用は弱まっています。
FRBが利下げを示唆した大きな理由となっています。
そして隠れた重要データは実質賃金です。
インフレ率より賃金増が多ければプラスとなり、現状では強いプラスです。つまり消費できるお金が増えていることを意味し、景気を下支えします。このデータをFRB要人が見ると「まだ利下げはできない」と思うでしょうし、実際にそう言っています。
ファンダメンタル分析(金融政策の見通し)をするにあたり、実質金利が失速することが重要となります。ゆえに重要なのです。平均賃金が下がれば、実質賃金も当然下がります。
❏ ドル見通し
雇用統計は、発表後に大きな値動きをすることが多くあります。特に今回は、利下げが現実味を帯びたことで、利下げに影響を当てる雇用統計データは注目されるでしょう。雇用が悪化すれば利下げ要件に近づきます。
▶ 予想より強かったケース(タカ派)
弱い予測に対して強いデータが出てくればサプライズになるでしょう。非農業部門雇用者数や平均時給が強ければドル急騰の可能性もあるでしょう。強い結果の場合、次のことを検討します。
9月利下げの可能性が下がる&遠のく
売られ過ぎたドルの巻き戻し&いったん利益確定
予想通り&やや強い程度なら、構わずドル売り続行の可能性
今回に関してタカ派の結果はあまり考えられません。しかし、タカ派だった場合は、短期的に強い売りに晒されたドル相場にカウンターが入ります。これは本格的に戻すのではなく、一過性の値動きです。
9月利下げ論を打ち消すようなデータが出てきた時は、強めにドルが上昇するでしょう。NFPが+40.0万人のようなサプライズデータがでた場合です。
▶ 予想より弱かったケース(ハト派)
合理的に考えればここ2ヵ月ほどのデータや経済ニュースは、雇用悪化を示唆しています。単月データに必ず反映するとは保証できませんが、一般的にアメリカの雇用は下り坂と想定できます。弱いデータの場合、次のことを検討します。
9月利下げを肯定したドル売り
9月以降の追加利下げを意識させるデータなら、ドル暴落
キャリー(円売りポジション)解消のによるドル売り
アメリカ経済の悪化を意識した、リスク回避のドル売り
あとは、どのくらい悪いデータか?ということに尽きます。
踏ん張ったという印象を受ければ、やや弱くてもドル買いのケースもあります。
雇用は明らかに悪化しています。そこに経済へ楽観的な選挙公約をしていたトランプ支持率の減衰で、雇用主は雇用に慎重にならざるを得ません。そのへんが反映されれば、非常に悪い雇用統計となりドル暴落に拍車がかかるシナリオもあるでしょう。
金利がどうなるのか?に焦点を当てると読み取りやすくなります。
記事は以上です
次の記事でまた次の記事でお会いしましょう
Fundalia financial philosophy(FFP)