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〔米国〕PCEデフレータ 事前考察&ドル見通し

9/18FOMCに向けて、重要なデータとなります。予想値はややインフレ復調となるようですが、どうなるでしょう?



❏ 今夜の予想

『9/18FOMCで利下げを考慮している』とパウエルFRB議長は発言しました。これを前回のFOMCで言い、ジャクソンホール・シンポジウムで復唱しています。
すでにFRBは9月利下げを既定路線としていますが、今回はそれに変わりがないかを確認する場になるでしょう。大概のことではシナリオが崩れることはありません。しかしマーケットが不安になるデータがでてくる場合、相場観は乱れることが想定されます。


❏ ファンダメンタル分析

▶時系列データ

2024年に入りPCEデフレータは2%台になりました。FRBがインフレターゲットとしているPCEコアデフレータは、直近(前回)で2.6%まで下がっています。インフレターゲットはほぼ満たされていて、政策金利(FF金利)が高過ぎるという意見が強まっています。

この意味で、FRBが利下げに動くことには正当性があるでしょう。マーケットはそれを理解したため、ドル/円が20円も調整されたのです。
あとは、インフレが想定外の再燃をしないか?その確認作業が残るのみとなっています。FRBはこの点について極めて慎重になっています。


▶米消費者の変化

これまでアメリカ国民は、猛烈なインフレを前に「給料を手にしたら、即座に(価格が上がる前に)品物に変える」という消費行動をとっていました。そのため、価格が上がるから消費が旺盛になり、消費旺盛になるから価格が上がるという循環が続いたわけです。

しかし、この流れに変化が起こりました。初夏にウォルグリーン(小売り大手)が業績の下方修正と店舗の大量閉店を打ち出して株価急落していました。ウォルマートやターゲットといったディスカウントストアも、数千アイテムの値下げを実施しています。これによって「価格が下がるまで、購入を控える心理」へと変化します。

ただし、直近に限れば値下げの恩恵を受けようと、消費者の購買が盛んになっています。値下げに客が群がり、一過性の消費増大になっているとされ、直近の個人消費データは強くなっています。


▶雇用の変化も見られる

パウエルFRB議長は、ジャクソンホール・シンポジウムで「これ以上の雇用悪化は望まない」と述べました。
このことは、FRBがインフレ退治中心から雇用の維持中心へと舵を切ったことになります。

失業率は明瞭な上昇カーブ(悪化)を示していて、サームルールが発動したという報道も流れました。サームルールが発動すると、過去のアメリカ経済は必ず悪化しているというデータがあります。
しかも失業率は、実際の景気より遅効性があるため、実際に景気悪化が始まったのは2024年春ころになるかも知れません。

リセッション(景気後退)は既に始まっている可能性があります。


❏ ドル見通し(主にドル/円)


ご存じの通り、ドル/円は大暴落しました。
しかし、141.68を付けた後はおおむね145.00-147.50のレンジに収まりつつあります。ここからはFRBの判断によって変わってくるでしょう。PCEデフレータはFRBの判断を変え得るデータという認識で観るべきです。

確かに2年ほど続いたキャリー取引は終わりましたが、すでにキャリー取引の解消は終わっていて、相場観は次の展開をまっています。

▶ 予想より強かったケース(タカ派)

売られ過ぎたドル/円へ押し目買いが入りやすくなります。投資家達は、暴落した後の相場を見ると買いたくなる心理があります。ここらでドル買いの理由が提供されれば、一斉にドル買いになる展開はあります。

もしFRBが利下げを渋る、あるいは9月利下げ後に追加利下げを渋ると判断できるデータがでた場合、ドル買いが強まる可能性があります。今回の予想値を超えるデータがでると荒れるでしょう。円買い勢のポジション解消もおこりそうです。


▶ 予想より弱かったケース(ハト派)

もし、9月を含めて年内に2回の利下げがあると判断できるデータなら、ドルは売られやすいでしょう。あとはデータの程度によります。これはジャクソンホール・シンポジウムでのパウエルFRB議長が肯定されたケースになります。

7月以降の暴落でドル売りを仕掛けた投資家が、いったん利益確定を考える時期でもあり、PCEデフレータのデータを見て手仕舞いに動くことが考えられます。
ゆえに、弱いデータであっても一時的に(決済の)ドル買いになりやすいため、発表後に乱高下するシナリオも考えておきましょう。弱いデータなのにドル高になることがあります。


記事は以上です
次の記事でまた次の記事でお会いしましょう
Fundalia financial philosophy(FFP)


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