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環世界を覗く時〜Poem Umweltに寄せて〜

こういう経緯で、本の序文を掲載します。

はじめに
 
 毎年いつも適当な振り返りをしているつもりだ。昨年は修士論文の執筆でそれどころでもなく、今年は多めに時間を取りたい。少なくとも家の片付け、掃除よりも心と人生そのものをケアすべきだと考えた。
 しばらく動かしているnoteでも書くかと、アカウントをログインし記事作成を押す、しかし全く書けない。思えばここ一年noteだけでなく、SNSそのものを更新していない。投稿自体はするが、投稿の必要性があるものや当たり障りのないものであった。ということで何も書けない。もちろん、日記のように公開を前提とせず、書き溜めても良いのだが、すると新年の挨拶すらしなくなりそうだ。例年はとりあえずあったことをそれっぽく書いて、来年もよろしくお願い致しますと公開する。それなりにいいねがつくがどのくらいの方が読んでくださっているのであろうか。
 2、3日悩んだ挙句、思い浮かんだのは詩的に書こうかということであった。それは、今年Poetry Factoryという事業を立ち上げた影響が大きい。今年は現代詩をよく読んだ。特に印象深いのは「詩は言いにくい本音をうまく隠して書くものだ」というものだ。事業の1つである、「戦後スタンダード詩を読む」という講座内で、講師を務めていただいている東京外国語大学教授の西原大輔先生の説である。書きにくい一年の振り返りに最適だ。
 そんな私は高校の時に「ポエマー」と呼ばれていたことも今年思い出した。それはおそらく高校2年生の終わりから3年生の初め頃だったかと思う。部活の部長として、部員に送るメッセージや励ましの言葉は、確かにポエムだったかもしれない。ちなみにその前は「演説するオカメ」というあだ名もあった。
 話を元に戻して、言葉に万感の思いを込めて生きていた時代もあった。今ならその時期を懐かしく思うことができる。決して「詩」とは認められないかもしれない。優れた作品ではないかもしれない。それでも、自ら表現することの意味を見出せそうだ。私から見た超個人的なこの一年をポエムに載せて。

著作より

だいぶ気が病んでいる事がわかります。そしてなんで理系だった私が詩?ということを企業HPには書けても、なかなか自分として発信できずにいたのでこれ見よがしに書いている。

 話を元に戻して、言葉に万感の思いを込めて生きていた時代もあった。今ならその時期を懐かしく思うことができる。決して「詩」とは認められないかもしれない。優れた作品ではないかもしれない。それでも、自ら表現することの意味を見出せそうだ。私から見た超個人的なこの一年をポエムに載せて。
 Umweltという単語は「環世界」を意味する。ユクスキュルが生物学で提唱した概念だそうだ。他の生物には人間と異なった「意味」から構成された全く異なる体感の世界を生きており、その世界のことを「環世界」と呼ぶと理解している。生物によって寿命からの体感時間も異なれば、体長によっての空気抵抗の感じ方も異なる。視覚や聴覚、行動範囲、他の個体や生物との関わりも違えば、その体験する世界も全く異なると想像することは容易であろう。そしてこの「環世界」は人間にも当てはまるのではないだろうか。生物と比較した時ほどの違いはないであろうが、人間も各々異なる体験や状態にあり、全く同一の「環世界」を生きていると言い切る方が難しいだろう。話は変わるが、中央線沿線生まれの私にとっては「渋谷」という街は乗り換えが必要で少し心理的な距離を感じていた。しかし大学院と青山学院高等部で教育に関わるにつれて2023年で「渋谷」に親近感を感じるようになった。2023年には2023年の私の体験した世界、日常が確かにあったはずだ。それは他者と比較して、絶対的な優劣はない私固有の世界である。そんな私の環世界をポエムで表現しよう。

著作より

環世界はむかーし大学院を休学していたこと、別のコースの授業にお邪魔させていただいた時に「人間環境論」的な講義で聞いて感動した概念である。「原風景」などの概念とセットで紹介されていた。ユクスキュルの全文までは読めていないのでいつかチャレンジしたいと思う(と同時に詩集のタイトルにしてしまって大丈夫なのかという一抹の不安を拭い去りたい)。理系的な説明をすると、ハエの体調はレイノルズ数の値が小さくなるので粘性項を受けやすく、人間よりずっと粘り気のある空気を飛んでいるはずだというアレです。
あとは詩のexcuseですね。。。

ポエムについて

 今年あった出来事を振り返り、生まれた言葉を書きました。したがって実際に体験した出来事からインスピレーションを受けています。しかしポエム自体の表現は事実や本音と乖離した虚構のものです。そのためポエムの後に簡単な振り返りの文章や資料をつけました。ただし、全てを網羅的に説明することを目的としないので、情報を完全に補うものではありません。また執筆期間が短いため、特定可能な他者への言及や著作権に絡む内容は極力避けました。個人的な手記として読んでいただければ幸いです。
 詩こそ縦書きだろと思っていましたが、執筆にはOneNoteを使用した関係で横書きの体裁を取りました。前著『土払い』は縦書きですがその際に体裁の編集が難しかったことも一因です。また来年(出せればですが)は縦書きに取り組みたいと思います。

著作より

ということで明日より毎日具体的に書いた作品を1作ずつ、紹介していきます。よければお読みください。


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