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【ふなログ738】三田紀房『ボクは漫画家もどき』を読んで共感した「在り方」について
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今年の3月に会社員生活に終止符を打ち、
4月から、法人向けIT講師として独立を果たしました。
大きく感じていることとして、
「会社という存在と枠組みから抜けて、頼りに出来るのは自分だけ」
ということです。
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いや、こんなことは当たり前なんですよね。
会社を辞める前から、考えていたことです。
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しかし、実際辞めて外に出ると
「頼りに出来るのは自分だけ」という事実に向き合うことに、
段違いの重さを感じています。
「火は熱い」ということを体験せずに
他人から聞いているだけなのと、
実際に触って火傷したり、火傷しそうになるのとでは
「熱い」に対する感覚が雲泥の差であるかのように。
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プロとしての独立。
「頼りに出来るのは自分だけ」というのは、
つまり、個人として「何者であるか?」が
常に世の中、市場から問われ続けるということなんですよね。
そうなると、冒頭で
「法人向けIT講師として独立」と書いたのは、
私が「法人向けIT講師である」と世の中に宣言し、
実際、その役割で実績を上げてお客様から対価を頂戴する立場だからです。
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そこで、自分は
「法人向けIT講師として相応しいか?ホンモノであるか?」
を常に問い続けています。
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ただしです。
世の中に出ると、自分よりも成果を上げている人に多く出会います。
そして、比較しても仕方がないとは言いながらも、
相対的に、自分の至らなさに気付く場面が多々あるわけです。
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しかし、これはプロである以上は
永遠に逃れられないことではないか?と考えるに至りました。
つまり、
「比較しても意味がない=比較してしまうことはずっと続く」
ということです。
両者は一見矛盾しているようですが、実は同じ事実を示しています。
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そんな矛盾のわだかまりを、
自分の中で解決するに至った背景として、
『ドラゴン桜』『アルキメデスの大戦』で有名な
漫画家の三田紀房先生の最近の著書
『ボクは漫画家もどき』を読んで、
強く共感したことがキッカケとなります。
ボクは漫画家もどき イケてない男の人生大逆転劇
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冒頭から
ご自分を「漫画家のようなもの」と断じています。
そして、
「才能とは情熱の発露です。好きなことに熱中して没頭し、圧倒的な熱量から発揮される力が才能です。」と書かれています。
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私は、ITエンジニアとして勤務していた頃から、
多くを勉強して業務に向き合いながらも
どうしても勝てない存在が居ることに苦しんでいました。
どうしても勝てない存在とは、
「まさに情熱から才能が発露している!」
という、まさしく没頭没入、
「野球狂」のように狂っている存在です。
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嬉々として仕事に勤しんでいる姿。
それに対して私は、就職氷河期で卒業まで内定獲得できない、
留年した経歴の自分を拾ってくれた、父のコネで入った会社が、ITエンジニア業だったという顛末。
だから、ニートになりたくないから、
幸運にも飛び込めた仕事がたまたまITエンジニア業。
情熱を込めて始めた人、
厳しい就職活動を経て携わることになった人対して、
振り返れば、とても失礼な動機でした。
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そして、今独立しているのも、
会社員として上がらない給料の中で不満を抱えながら
「10数年定年を待つ」という人生を送りたくなく、
「青天井の収入を得たい」という不純な動機でもあります。
『ボクは漫画家もどき』の三田紀房先生も、
家業の借金苦から逃れるために、漫画家を始めた
と書かれていて、
「金目当て」で漫画家になったと書かれています。
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不遜にも、
今の自分の境遇に照らし合わせてしまったんですよね。
ITエンジニアの仕事も講師の仕事も
決して嫌いではないが、溢れんばかりの情熱と才能を自身から
感じることはできず、仕事がない日は別のことがしたい。
仕事で嫌なことがあれば現実逃避してしまう。
ラクしたいし、遊びたいし、富士山にも登りたい(笑)
それでいて、お金が欲しいという。
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しかし、ホンモノ、超一流と呼ばれている人達は、
四六時中、仕事のことを考え続けている。
それでいて、しのぎを削り合っている。
自分は、そんな人達と同じ境地に達していないから、
「独立したのは失敗だったのでは?」
という思いに、まあ潰されそうにもなってましたね。
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しかし、
部分的には仕事に好きな要素が多少ある。
そして、自分の欲求を殺さずにいつつ、
まずは
「食い繋ぐために仕事を続ける」でもいいじゃないのか?
と、『ボクは漫画家もどき』から勇気を頂いたんです。
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もちろん、ホンモノ、超一流として
溢れる情熱で没頭できる仕事ができれば一番。
しかし、そこに近付くには長い時間を要するか、
下手すれば一生近付けないかもしれない。
では、だからと言って
「自分がやってみたい仕事やお金儲けを諦めてよいのか?」
と自問自答すると、「違う」というのが自分の本心。
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たとえ、部分的に違和感があっても
食い繋ぐのを最優先にする。
次に、
クライアントの期待に応えることを目標にして、
日々勤しむ在り方で、まずはいいんだ
と自分を肯定できるようにもなりました。
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自分の情熱や才能について完璧主義で推し計り、
他人を凌駕する程の実績がなければチャレンジしない、
(もちろん、独立することが単純に素晴らしい、というつもりはありません)
というのは、勿体無い話だと感じます。
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三田先生も、生活のために漫画家になる
という選択をなされ、そこから色々な人との出会って
チャンスを掴まれたり、
暇な時にそれとなく観ていたドラマから、構成を学んでいたり、
家業の商売から学んでいたことが、漫画家という在り方に結びついていたそうです。
(全ては、狙っていたのではなく「事後的に知らされた」というのが、驚きです)
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よって、人との出会いやこれまでの経験が
パッチワークのように結びついて、
ヒット作品を生み出す漫画家のキャリアを歩まれることになった。
キャリア、人生というものは
そういうものでは?と深く納得させられました。
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私も、ITエンジニア、講師としては
超一流ではないと知りつつも、生活のために営んでいます。
しかし、
クライアントからの期待だけは越えようとすることで、
そのポジションは築けています。
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教科書通りでなくても良く、
自分のこれまでの人生、価値観を大切にしつつ、
そこに繋がる人と何かを作り出していく。
時間をかけてでも。
同じITエンジニア、IT講師でも
中身は自分独自の「これまでにない仕事」を生み出す在り方。
ここに、価値の源泉を感じて頂けたら幸いです。
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自分のことばかり書きましたが
『ボクは漫画家もどき』に共感して、自身のキャリアの「在り方」について語ってみました。
まあ、独立は始まったばかりですが。
振り返るにはまだ早く、まだこれからという話です(笑)
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それでは、
今日も素敵な1日をお過ごしください。
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