ふたりのじかん vol.1
この企画は、パートナー、ふうふの方々の歩みを伺い、「ふうふの在り方」や「自分の、自分たちの幸せ」「結婚の在り方」を考えるきっかけにしてほしいと思っています。
第1回目は、結婚31年目になる御ふうふ。
お子様との関係や仕事の関係も含めた、ふうふでの在り方をお伺いすることができました。一緒にさまざまなことを乗り越え、共に人生を歩んでいる関係性が素敵でした。
結婚年数:31年目
家族構成:夫婦 子ども5人
御職業
夫さん:教員
妻さん:専業主婦→パートタイマー
運命的だと感じた出会い
ー 出会いのきっかけを教えてください。
夫:共通の友人からの紹介によって出会いました。
ー この人と結婚しようと思ったきっかけや経緯はありますか。
夫:今まで結婚を考えた人もいましたが、さまざまな問題があって結婚まで進みませんでした。
そんな中、妻と出会って、「この人だ!」と思いました。だからプロポーズまでも早かったですね。出会ってから2週間ほどで。それまでとは違う感覚があり、「もうこの人なんだ」と思いました。自分が受けたインスピレーション。ビビッときた感じです。
妻:私も同じような感じですね。出会ったときから「この人と結婚する」と思いました。結婚に向けて色んな努力していましたが、いい出会いがなくて。そんなときに紹介されたのが夫でした。なので、モチベーション的にはとても高く、幸せな気持ちを感じていました。
ー 二人とも運命の出会いだったと感じているんですね。
夫:振り返ってみたときにそれまでの経験がここ(結婚)に至るまでの準備だったんだなと感じています。
ー 「ビビッ」ときた一方で、「本当にこの人でもいいのかな」という不安はなかったんですか?
夫:私はありませんでした。
妻:遠距離恋愛だったということもあり、プロポーズのときのデートの連絡の際、誘われた時点で、プロポーズされるかもなという思いと不安がありました。ここで断ったらどうしようと。今までの経験とは違うパターンだったから不安に思ってたんですね。
ただプロポーズを受けてから、自分、二人で考え、不安な気持ちがなくなりました。
ー この(運命と感じた)出会い方が二人のモチベーショングラフの高さに表れているなと思います。
妻:そうですね。
子どもと仕事と夫婦関係
ー モチベーショングラフに話を移していこうと思いますが、互いに下がってる2点、上がっている2点ありますが、これまでの夫婦生活でのターニングポイントを3つあげるとしたら、どんな出来事ですか?
夫さんが書いてくださった夫婦のモチベーショングラフ
夫:まず子どもたちの誕生ですね。どの子の誕生もとても嬉しく、自分も頑張りたい、伴侶も頑張ってる、新しい家族が増えて頑張れると感じました。
そして、自分の職場の関係。どうしても仕事が優先されるような時期があり、仕事を優先する選択をしました。時間もエネルギーも取られ、今でも家族にあまり関われなかったなという後悔の念を抱いてます。
また子どもの自立も大きな影響を持っています。子どもたちが自分の選びで歩み出してるなと感じたときです。こんな父親でも子どもが、親の価値観を大事にしてくれているなと感じて祝福されてるなと感じました。
ー 子どもの誕生と、仕事、そして子供の自立ですね。
夫:(モチベーションの)波の上下は、今もこれからも続きますよね。父親としては子ども達がいくら大きくなっても、父親なので、子どもの存在は大きく関係してくると思っています。
大変なときに一緒にいてくれる大切さとありがたさ
妻さんが書いてくださった夫婦のモチベーショングラフ
妻:私は、子育て期が一つのポイントですね。授乳で睡眠時間がなかったり、体質の関係で体調が良くない状況が続きました。
そんな中、夫は本当に助けてくれました。夜中の子守や授乳で私が起きるときは必ず起きていてくれたし、心療内科にかかり私自身が大変なときも、仕事を休んでくれました。
そのことに申し訳なさを感じていた私に、「仕事の代わりは誰でもいるんだよ。でも父親の仕事は自分しかいないんだよ」と声をかけてくれました。仕事が本当に大変なときにも休んでくれたり、嫌な顔をしたり、イライラしたりせずに面倒を見てくれました。
そんな中、夫の仕事が忙しくなっていきました。これが下がったポイントです。(夫の仕事が)行政に異動して、その段階で子どものことも忙しくなりました。PTAや部活等で個人で動くことが必要になり、もう少し手伝って欲しいという思いが出てきたときに、夫も仕事で忙しくなって。
さらに、それと同時に経済的な問題も出てきて、自分も働くことになりました。
そうすると一緒に過ごす時間がなくなり、気持ち的にも(夫と)同じような気持ちを持てなくなっていきました。
そこから子ども達が自立していくと、気持ち的にモチベーションは上がりましたね。夫婦で一緒に過ごすことも増え、もっと夫を助けようという気持ちが(自然と)増えていきました。行動で現れなかったかもしれませんが(笑)
単身赴任が始まり離れ離れの生活が始まったのが、次(のポイント)。
子ども達の場所と夫の場所を行き来するようになり、久しぶりに一緒にじっくりと何かができる時間と離れてる時間があって不思議な感じでした。いい時間と離れてる時間と。それはどちらかというとストレスを感じたポイントでしたね。
また、私にとって体調はとても大きな影響を与えるものでした。(体調が悪いと)希望が見えなくなってしまい、精神的に負のスパイラルに入ってしまうんですね。
そのときに、そばに夫がいてくれると雰囲気でわかってくれるんですが、離れていると理解してくれない、助けられない。
リモートでも繋がれるけれど、声だけでは(二人の時間の感覚が)違いました。互いの様子を話すときも「元気だよ」の一つをとっても、リモートと一緒にいるのでは感じ方が違いましたね。
離れているとどんどん気持ちが離れていってしまうことがありました。それは今でも気をつけていることです。顔色をみたときに違和感を感じることができますよね。
振り返ると、女性にとって一番大変なのは、子どもが産まれたタイミングなので、そのときに助けてくれた思いは今でも忘れていません。
ー 子どもの産まれたタイミング、自分の体調、夫婦で一緒にいること。その3つが大きいのかなと感じました。
「相手の幸せを考える」とは「捧げること」
ー さまざまなことをパートナーと一緒に過ごすと思いますが、パートナーとの関係を築く上で、自分が気をつけていたことは何かありますか?
夫:結婚したら相手の幸せを一番に考えることが大切だと思って、そう努めようとしていたのですが、それが段々、パートナー、相手の家族、子ども、自分の両親、親戚、仕事の責任と(幸せを決める要因が)広がっていきました。これらの優先順位をつける際、相手の幸せを一番と考えることがなかなか叶わないことが増えていきました。
グラフの(2番目に)凹んだ部分で、子どもと一緒に(子どものことを)考えて子育てをしていたつもりでしたが、子どもが本当に自分が自分で考えた「これは頑張ろう」と決めた道ではない道を歩んでいることを見ると申し訳なさを感じ、(気持ち的に)落ち込むことがありました。
そこで「相手のことを思う」「愛する」とは、本当に相手のことを思って、下心なく、こうしたらこうしてくれるだろうとか、見返りを求めるのではなく、捧げられること。その訓練、人生の大学院コースを受けている気持ちになりました。
伴侶が幸せでいることが一番ですが、色んな条件の中で自分が思っている伴侶の幸せが、相手にとっての幸せではないなと思うことがありますね。単純にはいかないなと感じています。(笑)
妻:(私は)幸せの期待度が高いからね(笑)
ー パートナーの幸せには、さまざまな要因がありますよね
妻:小さなことに幸せを感じる人が伴侶だとありがたい、幸せだと思います。
ー なるほど
共に時間を過ごし、本音で話す
妻:私はそんな中でも「本音で語る瞬間」があると元気になりました。
忙しいと「めんどくさい」が優先されてしまい、本当のことを言わないことが多くなります。そんなときしんどさを感じました。特に離れているとき。
気持ちが解消されないまま、4,5日とその気持ちが積み重なり、大きくなり、でもそれをフラットに戻すのもしんどい。そして、だんだん気持ちが凝り固まってしまう。
そのとき素直な気持ちになり、話したり、分かち合ったり、そのときの気持ちや状況を話せるとフラットに戻せると感じています。
よく考えたり、祈ったり、素直になったり、自分のため、相手のために話す時間を取る思いやりは大切だなと思いました。
ー 本音で話す場を作るために、色んな努力が必要だと。
妻:一番は時間を共に過ごすことだと思います。バラバラだと難しいですね。(ときには)電話でもいいし、LINEでもいいし。
(互いの思いを)ダーっと書き殴ったこともありました。
そういう風にしないと、素直な本当の部分が見えなくなってしまいますね。
ー「本音で話す」ということが大切なキーワドですね
妻:ぜひ取り入れて欲しいです(笑
ー大変勉強になります(笑
ーそんな試行錯誤してきた中で、本音で話す、伝える場で、大切にしていること気をつけていること、また気をつけたいことはありますか?
夫:妻からはいつも「解決方法が欲しいわけじゃない。して欲しいのは気持ちを聞いてほしいんだ。」と言われます(笑)答えを貰いたいわけではない。頭の中では「こう(解決方法を伝えず、気持ちを受け止める)しないといけないなー」と思ってるんですけどね。
それがなかなか難しいです。
ついつい「こうすればいいじゃん」と思ってしまいますね。
職場でしているようなコミュニケーションをしてしまいます。結論や根拠、問題を求めてしまう。
(妻が)求めてるのはそこではない。ここはまだまだですね。
ー 解決策を伝えずに、傾聴する、受容するということですか?
夫:気持ちを聞いてあげることですかね。(極論)解決方法はどうでもいい。
ー 絶対的な正解はないですもんね。
自立した関係が高い基準をもたらす
ー 妻さんは、どうですか?
妻:(夫が)歳をとってくると、考えが凝り固まってきていると感じ、(意見や解決方法が)跳ね返ってくることが多くなりました。
そこで相手を思いやることが大切だなと。
解決策を提示されたときに、「男の人は答えを提示したくなる」と考えるようになりました。
それ以前は、夫のポリシーのひとつに「愚痴をいうと悪い方向に向かってしまう」というものがあり、そうすると「私のこの気持ちはどこに向ければいいの⁉︎」と(笑)そこでいつも食い違いを感じていました。
最近の助けになっているのは、自分の考え方、思考の癖に気づけるように本を読み始めたことです。
(さまざまな考えを得ることで)思考のくせや自己肯定感の低さ、自分の特徴を冷静に見れるようになりました。
もちろん、それだけでは乗り越えられませんが、自分で自分の問題を解決しないといけないと学ぶことができています。
結局自立ができてなかったんだなと。相手に頼ることは大切ですが、自分が相手に甘えていたと感じ、自立した考え方を持たないといけないと思っています。
ー 本音を伝えるとき、思いやりを持って伝え、自分自身は自立していかないとということでしょうか。
妻:自分が変えられることはないかなという振り返りも大切かな。
ー 本音を言う間柄とは、決して依存している関係ではなく、互いが自立している中ですり合わせをしているイメージなんですね
妻:そうだといいですよね。そうなると本音の基準が高くなります。自立していたら「文句ばかり」な本音から「もっとこうありたいね」「じゃあ、こうしようか」と高い基準になります。
ー やはり自立していることがキーなんですね
妻:そうですね、大事ですよね。今でも訓練をしています。
「私は私」という考え方は弱い部分を含め、必要かなと感じてます。「これでも私は精一杯頑張っているから、これでもよし」とすると肩の力を抜けますね。
「夫は優しくて柔和だし、なんでも聞いてくれるのに、なんで自分はこうなんだろう」と思う時期もありました。でもそこを「自分も頑張ってきたんだよね」と認めること。これは鬱の経験を通して学んだことです。
また次の段階でも変えれるところを変えていこうと思います。
原則に従い、自分を治める
ー 今のお話を聞いてて、妻さんは本音を伝え、夫さんは受け取る側なのかなと感じましたが、夫さんが妻さんに本音を伝えるとき、または関係性を築く上で気をつけてることはありますか?
夫:自分ができているわけではないですが、「人と過去は変えられない、変えられるのは自分だけ」ということがずっと頭にあって。そうすると(相手は変えられないので)本当に問題となっていることはなんだろうと考えてしまいます。
でも、それは妻が望んでいることではないんですよね。それをやっと頭で理解できるようになりました。態度、行動はまだまだですが。
いつも自分が関われることはなんだろうと考えていましたが、妻はそんなのはどうでもいい、今こうなんだよねと言う気持ちを聞いて欲しい。
妻:(夫に向けて)夫が仕事などで面接や相談を受けるときはそんな態度ではないんじゃないかな。そのときは話を聞いてると思うよ。
(生活の)忙しさがそうできなくしていると思います。夫がしてくれることが、自分がして欲しいことと少しずれることがあって。その時はなんだかなと思うことはあります。ただそれはそのときの感情であって、全部夫が不満だと言うわけではないですよ。(バタバタが)終わったときにはいい気持ちを感じることがあります。
夫:自分の知識や経験に頼っているといつも限界がありました。
職場ではよく根拠は何かを問います。行動の根拠。例えば法律。根拠は基準を作る大切なものなので、そこは大切にしようと思っています。
生きている中で原則に沿って、自分で自分を治めていくこと。そのときに標準となるもの、神様を信じているので神様の言葉、これが大切だと思っています。それをもとに、神様の導きをいただきながら自らの治め方を今学び続けているように感じています。
夫婦の夢、目標
ー これからの夫婦の夢、目標はありますか?
夫:まずは妻がやりたいこと、行きたい場所など条件・制約を設けずにこれをしたいということをまずは叶えたいと思ってます。
そして、社会的な役割を終えた後は、人生で大切なことに対してもう少し貢献できることをやりたいと思っていますね。
ー 具体的に人生で大事なこととは?
夫:神様を信じているので、神様に会う備えをするために、残された期間自分にできることとはを考えたとき、人に仕えることです。
(子育てや仕事などを通して)今までしてなかったわけではないが、やることには適切なときがあると思っていて。なので、仕事、子育てが落ち着くタイミングで今度は夫婦で人生で自分たちが受けてきたものを何かお返しできることがあれば、いいなと思っています。人生は素晴らしいとか家族って素晴らしいとか、必要な助けをすることができればと思っています。
ー 妻さんは?
妻:旅行に行きたいです。(子育てや仕事をしていて)いつ行けるのかなと思っていたので。自然が綺麗な場所に行きたいですね。後は、福音を知っているので、(夫婦で)一緒に奉仕などを通して同じ喜びを感じれたらいいと思っています。
ー 結構夫婦でこれからやりたいことは共通しているなと感じました。
妻:あとは可愛い孫達と過ごしたいですね。
人生が集約され、人としてなるための関係性
ー 最後になりますが、自分にとって夫婦とは?
妻:よりどころ、耐えるところ、戦う場、悩み、平安など、色んな役割のまとまったところ、色んな関係が全部一緒になっているところかな。
(一言で表すと)夫婦とは集約した関係。
ー 集約ですか。
妻:この世の中にある全ての喜びも悲しみも苦しみも楽しみも平安も全て含んでいる学べる環境ですかね。
ー 夫さんはどうですか?
夫:人が人としてなるために与えられた大切な関係だと思います。
人生の中でたくさんのことを経験しますが、本当に人として大切なことを学び、成長し合える場所なのかなと。そこに人生の大事なものが集約されているような気がします。そこから始まって家族ができて。
一言で言うと難しいですが、人が人となるために与えていただいた大事な関係。本当にかけがえのない関係だと思います。
ー 人となるための関係。人生が集約されているもの。
そこに二人同じような答えに辿り着いているのが印象的でした
夫:まだまだ続くからね
妻:まだまだ成長が必要です。
夫:まだまだ途中、道半ばです。
ー 30年くらい経ってもそう感じるんですね。
妻:まだまだ小学生ぐらいだと思います
ー道のりは長いですね。本日は貴重なお時間とお話しありがとうございました!
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