保育の一番の魅力は「うまくいかないところ」なのでは?
保育という仕事は面白い。
奥が深い。
やりがいがある。
だが、その魅力を一言で表すなら、「うまくいかないところ」なのではないかと思う。
保育のことをよく知らない人からは
「子どもと遊んでいるだけでお金もらえていいよね」
などと言われることもある。
そう言われたらこう答える。
「どうぞ、やってみて下さい。この業界人手不足なので」
とかく、甘く見られがちなこの仕事。
やってみたら全然甘くないことが分かる。
保育ほどPDCAをフル回転させる仕事はない。
計画し(Plan)、実行し(Do)、評価し(Check)、改善する(Action)。
計画の前には、観察(Observation)も徹底的に行う。
実際の保育の前には教材準備(Preparation)も行う。
その後には環境設定(Configuration)もある。
PDCAどころではない。OPPCDCAだ。
その間にある休憩(Rest)は園によってあったりなかったりだが。
「この子は今こんなことに夢中になっている」
「こういうものを用意すればもっと興味の幅が広がるかも」
「この素材を用意すれば遊びのイメージも広がるはず」
「きっとこの子とあの子が一緒に取り組むだろう」
考えに考え抜いた結果、全く見向きもしない。
全然違う子同士で遊ぶ。
昨日までの姿は何だったのか。
そんなことは当たり前のようにある。
そして自覚する。
子どもをコントロールできるなんておこがましいことだ、と。
そう、子どもは一枚も二枚も上手なのだ。
簡単にコントロールできるものではないのだ。
こうすればこうなる、という方程式が当てはまらないことも多い。
こんな面白い仕事があるだろうか。
言うことを聞かないから怒鳴りつけるとか、
給食を食べないから4時間食べさせ続けるとか。
子どもをコントロールできると勘違いしている人がいる。
保育の本質を何も分かっていない。
全力で考え、全力で準備する。
それがガッチリと子どもにハマった時の、爽快感。
その瞬間を味わえる喜び。
保育は簡単ではない。
うまくいかない。
だから面白い。
実習生にありがちなのが、「うまくやろう」としすぎること。
そんな時、私はこう伝えている。
「うまくいくかどうかは評価の対象にはなりませんよ」と。
うまくいかなくていい。
うまくいかないほうがいい。
うまくいかないから楽しいのだから。
とはいえ、ある程度早い段階で、一度くらいうまくいく経験も必要だ。
それを味わう前に離職してしまう可能性がある。
最近は結果が出ないとすぐに諦めてしまう子も多いとか。
保育という仕事を長く続けるには、根気強さも求められるのだ。
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