商社・卸売業からデジタル先進企業が生まれる!と断言できる理由 顧客との深いエンゲージメントを構築し、高いLTVを実現するためのデジタル経営戦略 ~セミナー特選講演録~
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◆開催日時:2021年8月30日
◆講師:船井総合研究所 大山 広倫
◆セミナー詳細:商社・卸売業のデジタル経営セミナー
はじめに
本日は、商社・卸売業のデジタル経営セミナーにご参加いただきまして誠にありがとうございます。本日の第一講座を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。第一講座のタイトルですが、「商社・卸売業からデジタル先進企業が生まれる!と断言できる理由」についてお話をさせていただきます。少しインパクトの強いタイトルをご用意させていただいています。ただ、こちらについてはきちんと皆さんに根拠をもってお話ができまして、皆さんに確認していただきたいのは副題にもありますが、二つのキーワードがあります。一つ目がお客様とのエンゲージメント、二つ目がお客様におけるライフタイムバリュー、この二つのキーワードです。
一つ目のエンゲージメントは、あまり聞きなじみのないキーワードかもしれませんが、日本語ではご縁という言葉が付いていまして、信頼関係というふうに考えると分かりやすいかもしれません。皆さんの業界の商社・卸売業にとってはお客様との信頼関係を構築して、その中でご商売を継続する、これは当たり前のことだと思います。そのため、デジタル経営において重要だとされているお客様とのエンゲージメントについては、皆さんは当たり前のことを当たり前に実践していただければ結果的にデジタル経営に向いている体質ができると考えています。
二つ目はライフタイムバリューです。これは、デジタル経営を進めるうえで、お客様や従業員の方を真ん中に置くということがありますが、すなわち人が中心という考え方になりますが、その場合にお客様であれば年間にお買い上げいただける金額が法人のほうが個人に比べて当然大きくなるということになりますから、そのような意味で申し上げますと、1人の顧客、お客様から1社の顧客、お客様からの取引金額が当然大きくなるBtoBのマーケットのほうがでデジタル経営に向いているということになります。したがって、今日お話をさせていただく商社・卸売業の皆様にとっては、デジタル経営というものが非常に向いている業界だというところを第一に押さえていただきたいです。
では、このデジタル経営が商社・卸売業の皆様にこれまで浸透してこなかった理由は何なのかということについて考えてみたいと思います。私の見解としましては、日本特有の考え方だと思いますが、いわゆる商品の差別化戦略、つまりお客様に合わせた商品をご提案することや差別化を商品によって実現することによって、結果的には個々の会社に応じた商品や価格というものをご提示されている、そのようなビジネスが商社・卸売業では当たり前だったと思います。一言でいいますと、個別対応ということですが、これに対応するためには高いコストをデジタル技術に払わなければいけないということがあるため、これまでは浸透しなかったと考えます。
しかし、今後については、デジタル技術が非常に安価で構築することができるようになってきた背景があり、このタイミングでデジタル経営を始めるには最適な時期だということをお伝えしたいです。先月もセミナーを開催させていただきましたが、非常に多くのお客様にご参加をいただきました。そのような意味では、今回もこの企画をさせていただいたのはこのタイミングがベストだと考えており、多くの皆様にご参加いただきたいと考えています。
ぜひ、本日の第一、第二、第三講座を通じて、私からのご提案を聞いていただき、皆様の経営戦略のお役に立てればと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。
DX(Digital transformation)時代の商社マーケティング
それでは、内容に入らせていただきたいと思います。まずは、DX(デジタルトランスフォーメーション)時代の商社マーケティングについてです。
イノベーションを起こすには、「制約」が必要である
まず、私どものお話で重要なキーワードがあります。それはこちらの「イノベーションを起こすには、『制約』が必要である」です。『イノベーションは日々の仕事の中に』というパディ・ミラーさんという方が書かれた本の一文です。
今回のコロナショックでは、皆様の会社や業界においても少なからず影響があったものとご推察します。そこで、コロナ禍を企業にとっていかにプラスに変えていくかというところが最も重要な課題になってくると思います。そのような意味では、コロナ禍にはデジタル経営というものが非常に大きなインパクトを残していると思います。つまり、イノベーションというものを何かしら考えなければいけない、しかし、イノベーションを起こすためには今までの環境ではなかなか起こすことができなかった、でもこのようなコロナショックが起きたことによって、行われざるを得ないと考えます。つまり、これだけ世の中のデジタル化が進んでいきますと、業界、会社としてデジタルを進めないわけにはいかないという状況になってきます。コロナショックによって起こった急速なデジタルトランスフォーメーション化が皆さんたちの業界の商社・卸売業の業界に大きな影響が及んできていると考えるならば、これもある種の制約であり、それをチャンスに変えていただきたいと思っています。逆の言い方でいいますと、このタイミングでデジタル経営にチャレンジできないとするならば、いつ、デジタルトランスフォーメーションに取り組むべきなのか、明確な時期が見えないぐらい大きな変化が起こっているとお考えいただきたいです。
コロナ禍でも成長を続けた企業の共通点
そのなかで、コロナショックにおいて業績を伸ばしている会社さんのルールを二つご紹介します。そのルールの共通項とは、商品と顧客接点を常時最適化している企業と考えます。常時最適化というものは何かといいますと、常にお客様にふさわしい商品がどのようなものなのかを最適化し、お客さんが求めている顧客接点、例えば従前の話であれば、実店舗ということになりますが、最近ではZoomやメール等のオンライン技術によってお客さんとのコミュニケーションを進めるということが当たり前になってきました。これまでは、訪問して、ご挨拶をして、名刺交換をして、そして取引関係が始まるということが当たり前になっていましたが、最近では、名刺交換すらしていないお客様が多くいらっしゃるかもしれません。そのため、お客様側もリアルの対面よりもオンラインでの対面を望んでいらっしゃるということもあり、デジタル接点といった機会を提供されている会社さんが業績を伸ばしているというふうに考えられます。したがって、商品と顧客接点のお客様とのコミュニケーションができる接点というものはいつも見直しをしていただきたいと考えています。
では、その見直しをどのような視点でするべきなのかということですが、それはお客様が判断軸だということです。お客様が望んでいる商品は一体何なのか、お客様が望まれている顧客接点は一体どんなものなのか、このようなことをきちんと考えることが、商品と顧客接点を常時最適化するのにふさわしい考え方だと思います。まずは、お客様がどのようなことを希望されているのかといったことを真ん中におき、デジタルを活用したビジネストランスフォーメーションを起こしていきたいと考えています。
“お客様と従業員のHappy”がど真ん中なのがDXの本質!!
それを、一つの図に表してみました。こちらの左側がお客様、右側が従業員というふうになっています。お客様に提供させていただきたい体験というものがカスタマーエクスペリエンスとして表示され、従業員の方に体験していただきたいことについてはエンプロイエクスペリエンスということです。この顧客体験にしても従業員体験にしても、お客様や従業員の方に体験していただきたいものがあるということには変わりがないですが、お客様と従業員の周りにある、これが顧客接点ということになってきまして、顧客接点が従前のアナログからデジタルに変わりつつあるということです。顧客接点がデジタルに変わることによって、それには利用履歴というものが蓄積され、これがデータマネジメントプラットフォームに蓄積されると、蓄積されたデータを加工することによって、商品やサービスに生かすことができるそのサービスの一つとして考えられます。それがのちほどご説明をしますペースマネージメントということになるわけですが、お客様の購買履歴をマネージメントすることによって、売り上げを上げていくという考え方が成立します。
つまり、今まででしたら営業マンの方がお客様のもとにご訪問をされて、そこで商談をまとめて、売り上げを立てるというのが従来のビジネスモデルでしたが、これからはデジタルを通じて、お客様が次にどのような購買取引をすれば法人様の業績が上がるのか、そのようなところを示していくことも新たなビジネスモデルだと考えています。今はお客様と従業員の方の接点というのがデジタル化しています。業務の効率化だけで終わってしまってはもったいないです。これらのデジタル接点の利用履歴等をデータプラットフォームに蓄積して、お客様とのお付き合いをデジタルでも円滑にすることができれば、新たなビジネスモデルを生んでいるということにつながると思います。そうしたビジネスモデルは、データを顧客接点に戻すということにもなりまして、このデータが流れているサイクルのことを、デジタルトランスフォーメーションと呼び、新しいビジネスモデルをデジタルによって生み出していると考えています。
ただ、そのときに最も重要な考え方として皆さんに押さえていただきたいことがあります。あくまでもDX(デジタルトランスフォーメーション)というものは、お客様や従業員の方がハッピーになるということが大前提です。お客様と従業員にどのようにすればハッピーなっていただけるかといったことを実現するためにデジタルを活用するという考え方が重要になってきます。ともすれば、従業員の方の中には「デジタルトランスフォーメーションを進めれば進めるほど自分の仕事がなくなるのではないか」というふうに考え、DXの抵抗勢力みたいな格好になってしまうことが多々あります。それを防ぐ意味でも、皆さんには会社の成長と従業員のハッピーを両立させるようなデジタルトランスフォーメンションのコンセプトをわれわれと一緒に考えていただければと思っています。
今、お話しさせていただいた概念を三つの内容に沿って整理をします・・・
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