リレーエッセィ 第32回:二階堂 亜樹
2024年4月17日更新
第32回:二階堂 亜樹 2009年2月24日
今回リレーエッセィを書かせて頂く二階堂亜樹と申します。
皆様、どうぞよろしくお願いします。
・・・なんて堅苦しい文章は苦手(無理)なんで、普通に書きます。
プロになって、はや10年。
突っ走ってきた感があるので、少し振り返ってみようかと思う。
まずは麻雀との出会い。
今から22年程前に家庭用ファミリーコンピューター、いわゆるファミコン
の麻雀ゲームが、今の二階堂亜樹を作りだしたのである。
点数どころか、役も知らない。
始まったと思ったら、知らないうちに終わってる訳で。
何をどうすればクリアになるのか全然わからないけど、クリアしたい。
そんな気持ちでせっせとゲームに励んでいた、アホな私。
ただ、アホなりに何十回もやってれば、突然開かれる敵の手を見て、
数字揃えて『リーチ』の攻撃コマンドを入れれば敵を倒してクリアできると
学習していく訳で。
そこから10年くらいは、ただひたすら棒テン即リーのみを繰り返してた
と思う。
というか、それしか知らない。
これが、私と瑠美ちゃんの決定的な違いとなった。
私は手役を知らないでテンパイを目指す打ち方から入ったので、手役を作る
という意識というか概念が無いので、スピード重視の打ち方になった。
逆に瑠美ちゃんは、手役と点数計算をしっかり覚えてから麻雀に入ったの
で、麻雀とは役を付けてアガるという打ち方。
姉妹でも打ち方・考え方の違いは、始まりから分かれてたのですね。
・・・そして10年後、タンヤオと国士無双しか知らない状態でフリー
デビューを果たす。
いやー、周りの人は迷惑だったでしょうね。
申し訳無いです。
『麻雀プロになった理由は?』
多分、プロになってから一番多い質問が、これ。
答えは簡単。
強くなりたかったから。
普通は逆かもしれない。
強いから、自分に自信があるからプロになるのかもしれないけど、
自分に自信なんて無くて、プロになれば他のプロと麻雀が打てるし、
麻雀が強くなれると思い込んでいた。
しかし、プロになってすぐに麻雀が強くなるかと言えば、
そんなことはなくて・・・。
でも、プロになった事によって、自覚や意識が自分の麻雀を変えていったと
思う。
では、具体的にどう変わっていったのか・・・。
プロになった当初は、スピード重視攻撃型。
見えないモノが多く、勘に頼った打ち方をしていたと思う。
それから4~5年、一転して守備型に。
何故なら、そのまま打ち続けても強くなれないと思ったから。
対応する事を覚え、麻雀の幅が広くなったと思う。
唯一の失敗は、徹底的な守備を意識するあまり、自分なりに自信のあった『勘』を、我慢し無視し続けることで殺してしまったこと。
これ以降、てんでアテにならないので、自分なりに理論的に説明できる
打牌か、流れを感じられる時にしか勝負できなくなってしまった。
そんな麻雀を打ってる自分を客観的に見たとき、
『なんてつまらない麻雀を打ってるんだろう』
と思った。
自分の麻雀には華が無い。
なら、どうすれば良いのか?
そう、また麻雀を変えて行くしかないのです。
一生懸命さが少しでも伝わるように。
観ている人に少しでも応援してもらえるような麻雀を打とうと。
そこから変化したのが今の麻雀。
はっきり言って守備力は下がったし、攻撃力も中途半端だ。
でも、自分の麻雀に欠けていた美学や美意識は、磨けてきていると思う。
まだまだテーマはたくさんあるけど、それは今後一つずつクリアしていけた
らなぁと。
プロになって最初の方はタイトル戦にはほとんど出ず、新設されたC2リー
グからのリーグ戦のみの活動。
メンバー業でいっぱいいっぱいで、休みも無いとはいえ、今考えると非常に
勿体ない事をしたと思う。
新人王戦はもとより、今は無くなってしまったタイトル戦もある。
今しか経験できない事もあるかもしれないし、チャンスも早く来るかもしれ
ない。
もしこれを読んでる同じような新人プロが居たら、タイトル戦には積極的に
出るよう薦めます。
しばらくタイトルとは無縁だったが、
プロ4年目を迎えた頃、連盟初の女流戦・プロクイーンが新設。
第一期はベスト8で敗退したが、第二期に決勝進出、第三期には優勝し、
自身初のタイトル獲得となった。
翌年には、苦渋を舐め続けたモンドシリーズで初の優勝。
同年から新設された女流桜花では、あと一歩のところで決勝に残れなかった
ものの、第二期に優勝、第三期女流桜花防衛に成功。
最初の頃は、あまりの自分の弱さに、
『一生タイトル取れないんじゃないか』と思ってたけど、この10年やって
きた事が少しずつ実を結んでくれてるようで、素直に嬉しい。
まだまだ結果が出せてるとは言えないが、この先も、自分が麻雀を打てなく
なるその日まで突っ走って行こうと思う。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。