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押し寄せるサッカースタジアムの波
ここ1年で国内の3か所に、夢のサッカースタジアムが開業しました。広島のエディオンピースウイング広島(広島スタジアム)、長崎のピーススタジアム、金沢の金沢ゴーゴーカレースタジアム(金沢スタジアム)と、いずれも西日本です。J1クラブが多く、すでに高規格サッカースタジアムだらけの関西(近畿地方)に続き、その周辺にもどんどん広がっており、近隣のJクラブで高規格サッカースタジアムを使用していないところは、山口以外では岡山、愛媛、大分を残すのみとなりました。
晴れてJ1に昇格したファジアーノ岡山は、シーズンチケットが売り切れるほどの盛況で、高規格サッカースタジアムが間違いなく遠くないうちに実現されると思います。流れてくる情報は意外にもアリーナ建設に先行されているようで、やや不思議に感じていますが、それでもJ1昇格を成し遂げた優秀なクラブ経営で早々に解決していくのでしょう。(新体制発表会見の26:00前後)
昨年J2に返り咲いた愛媛FCについては、攻撃的なサッカーと、FC今治との県内ダービー「伊予決戦」で、ますます盛り上がりを高めていくでしょう。「愛媛県にサッカー専用スタジアムをつくる挑戦が始まりました‼️」という動画に始まり、続々と情報発信していますから、新しく立ち上がった協議会の議論を公開しながら、世論を醸成していくところという感じでしょうか。
大分トリニータでは、ユニフォームスポンサーを務めるTKPの河野社長が、さまざまな情報発信をされています。昨シーズンに繰り返された力強い檄も印象的でしたが、シーズンオフに入ってからは、街中サッカースタジアムの実現について発言され、報道されています。数十億円規模の支出も厭わないようで、広島におけるエディオンやマツダの役割を担おうとされているものと思われます。
少し遠方になりますが、新スタジアムを実現した金沢と入れ替わるかのようにJ2復帰を果たした富山では、富山県サッカー協会が驚くほど意欲的です。以前から協会長がワールドカップ級のスタジアム建設について表明していましたが、いよいよ街中スタジアム実現への署名活動が始まっています。ぜひとも参考にしていきたいと思います。
では、山口ではどうなのか。なのですが、ありがたいことに山口商工会議所が推進するレノファ山口応援促進協議会、通称レノファ山口FC応援プロジェクトが多方面にわたり積極的に応援してくださっています。その結果、山口市の伊藤市長からは「1万人入るようなら」と、村岡県知事からも「地元の機運が高まれば」というお言葉をいただいています。すべては需要と供給ですから、レノファとしては山口にサッカー文化をいっそう根付かせて、応援者来場者を増やすことが高規格サッカースタジアム実現に直結すると理解しています。
また競技運営の部分で重要になるパートナー、山口県サッカー協会についても、協会長にクラブの取締役になっていただき、またクラブからも理事を出させていただいており、双方向の連携に問題はありません。これらにより、来たるべき時に一気に話は進んでいくだろうと認識しています。
レノファ山口FC応援プロジェクトについては、今週末に山口市中心商店街で応援パレードを開催します。2年連続2回目です。優勝してもないのにパレードと笑われてもいますが、サッカーで地域を盛り上げるためにできることは、どんなことでも検討していきたいと考えています。
実際にJ2リーグの上位クラブは1万人以上の集客を達成しています。昨年実績では、平均入場者数1万人以上が5クラブ、9,000人以上が2クラブなので、競技でトップ6に入ろうかという水準は、入場者数1万人以上を目指そうということと、ほぼ同義だと言えると思います。レノファの入場者数はJ2で13番目、競技成績よりも下回っているのが現状で、天候に泣かされた部分もあるものの、しっかり取り組んでいかなければなりません。
高規格サッカースタジアムの実現に向けては、地域への貢献やサッカー文化の醸成が第一だと思っていますが、天皇杯で優勝しACLに出場し大健闘した山梨県でもいまだになかなか難しいようですし、バスケットボールではB1中地区で首位を走る三遠ネオフェニックスでも、市長の交代によりアリーナ建設が不透明となっている事態が発生しています。
ちなみに三遠ネオフェニックスのポイントガードで、日本代表にも選出されている佐々木 隆成(ささき りゅうせい)選手は、山口県下関市の出身です。いつか地元に帰ってくることがあるのかどうか、とても気になります。地元出身の実力派選手が帰ってきて、もしチームを引っ張ってくれたら、一段と盛り上がるでしょうね。
話を戻すと、重要なのはレノファが地元に愛されるクラブになることと、山口にとってサッカーが重要なスポーツになることだと思います。さて、J2リーグ開幕まであと1か月。気持ちを高めて、まわりを巻き込んで、サッカーを楽しめる山口県をみんなで実現していきましょう。