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136 秋の小さなお散歩
雨が降ったりやんだり。
雨の雫を感じたら「あれ?きょう雨が降る予報だったっけ」とびっくりして、雨がおわったらそのひんやりとした冷たい空気にまた驚いて。
今は秋に向かう途中。ときどき、夏が顔を出す瞬間もあり、なんとなく不安定。
どこか、気持ちもゆらゆらします。
私は、こういうとき、外に出ます。
ゆらゆらした気持ちをかかえて、お財布とハンカチと傘だけ持って身軽な旅に出ます。
旅というと、なんだか大げさな気がしますね。
でも、広辞苑によると、「古くは必ずしも遠い土地に行くことに限らず、住居を離れることをすべて「たび」と言った」とのことなので、歩いて川を見にいくのもきっと旅なのでしょう。
ゆらゆらしているときは、なんとなく頭が重たいものです。
しかし、一歩踏み出す度に、または新しい空気を吸う度に、少しだけその重さが軽減される気がします。
川の横、大きな木が並ぶ並木道。
何度も通ったことのあるその道を歩きます。
まるで幾重にも重なった時間の中を歩いているようです。
風が吹いて葉をゆらします。
ゆらゆらゆらゆら。
季節柄、ときどきかさかさという秋の音も混ざります。
小さな虫の気配もそこかしこに。
あぁ、そうだ。いつかもこんなふうに歩いていたな。
重たい頭をかかえて、毎日が沈んでいるように感じながら。
川を渡る風を肺にいっぱい吸い込みながら。
水の香りを運ぶ風はときに甘く、ときにみずみずしく、体を満たしていきました。
今年は同じような毎日でありながら、同じではない毎日でした。
とても単純な理由で、さまざまなことが変化しました。
ゆらゆらゆらゆら。
それでも毎日歩を進めました。
早足のときも、よぼよぼのときも、足を出すことはやめませんでした。
川を渡る風は、そんな淡い記憶も運んできました。
それは、いつも通りあっという間に消えてしまうものです。
でも、この風に包まれている間だけは、記憶の粒に囲まれて永遠のように感じました。
重たくなった頭を軽くする、小さな秋の旅でした。
本日も最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
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おまけ
いつも、noteのイラストは心を込めて楽しく描いていますが、今回はひときわ思い入れのある一枚になりました。
9月初め、右腕にできた赤い皮膚炎が左腕に両足に腰にと広がっていき、先日ついに首と顎あたりに広がってしまいました。
皮膚科の医師も原因がわからず、一か月薬を幾度か変えて治療を重ねてきましたが実らず、日々痛みとかゆみに襲われて睡眠時間も満足にとれませんでした。
首が真っ赤になって出勤した朝、上司に「休みなさい」と言われ、一週間の休暇をいただき、その間に組織検査と療養を行うこととなりました。
今はその療養期間中で、組織検査結果を待っているところです。毎日通院して、光治療と投薬治療をおこなっていますが、未だに首と手首が痛がゆく、保冷剤が手放せない状態です。
そんな中、毎日皮膚科に行く前に20分ほど散歩をしていました。
木々を渡る風はひんやりと冷たく、炎症をやさしく鎮静してくれていたように思います。
そこで見た葉っぱたちは一枚として同じ色はありませんでした。
それがとてもきれいだったので、今回の文章のイメージイラストにしました。
植物たちは、あえて全て茶色系の色でまとめてみました。
一枚一枚、少しずつ色味を変えています。
手首を冷やしながら描いたので、いつもの二倍以上の時間がかかったでしょうか。
それでも、一枚ずつ、全体のバランスを見ながら色味を調整していく作業はとても楽しいものでした。
どんなときでも、誰にも頼まれていなくても、つい描いてしまうイラスト。
これがなければ、相当つらい療養期間になっていただろうと思います。
好きなことに救われることってやっぱりあるな、と再認識させてくれたイラストです。
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