044 おだんごだんご
小腹が空いて冷蔵庫を開けたら、お茶と水と調味料しかありませんでした。
そんなばかな、トマトくらいあるでしょ、と思い一度冷蔵庫を閉めて再び開けたら、やっぱり麦茶と水とマヨネーズ一族(私が持っている調味料たちの総称)しかありませんでした。
とぼとぼと粉物を閉まっているボックスを開けてみると、なんと白玉粉がありました。満場一致で白玉だんごを作ることにしました。
さらさらで繊細な粉に少しずつ水を入れてこねていきます。
最初はぽろぽろだった生地たちも、まとまるともちもちに。これは良い感じです。
お湯をわかしながら丸めていき、中心部をすこしへこましたら、なんとも愛らしいおだんごたちが並びました。
ふつふつのお湯におだんごを落として見守ります。
お湯の下からぽこぽこと出てくるあわがとてもきれい。
やがて、おだんごたちがつやつやになって、浮きあがってきます。
冷水に入れて、冷めるのを待つ間にお醤油やらお砂糖やらでみたらしのたれを作ります。
「どんぐりの生き甲斐は」
私はなにかを作るときに、覚えている文章を声に出すくせがあります。
歌を歌うときもありますが、歌へたという種目があったら都道府県代表になれるほどの音痴なので、たまにしか歌いません。歌うのは好きなのになぁ。
この時声に出したのは『人間らしさの構造』に出てくる文章。
どんぐりの生き甲斐はー
豊饒な地面に落ちて、亭々たる樫の木になること。
どんぐりを割っていくら顕微鏡で調べてみても、その中に樫の原型は見えない。
しかるべき条件に置かれれば、やがて芽が出て、何十年後には樫の木になる。
どんぐりの中には樫の木になる性質が存在している。
おだんごを盛りつけながら、白玉粉もきちんとおだんごになったね、と思いました。
そこでふと思い出して、冷蔵庫をもう一度開けました。
やっぱりありました。冷蔵庫のぽっけに小袋入りのきなこが。
これで、みたらしだんごときなこだんごができます。
ほくほくした気持ちで、二種類のおだんごを食べます。
素朴でしっかり甘くてもっちりやわらか。
やさしい気持ちでたいらげました。
ところで、あの小袋に入ったきなこは何に付いていたものかしら。
袋に賞味期限が書いてなくて、いつ買ったものについていたのかさっぱり思い出せませんので、期限切れの可能性はじゅうぶんにあるけれど、まだお腹は痛くなっていないし、きちんときなこ味がしたから大丈夫よね。
今回も最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
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おまけ
そういえば、お月見だんごを食べたことがありません。どんな味なんでしょう?
そしてお抹茶をたっぷり入れすぎました。
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