038 じんわりだし巻きたまご □ イラスト通信
秋になると食べたくなるのがだし巻きたまご。
私の大好物です。
初めて火を使って作った料理がたまご焼きでした。
母に教えてもらって、たまごの割り方から練習しました。
ひとまきひとまき、やさしく巻くのよ、と母に言われて全集中力を菜ばしに込めて作りました。
できあがったたまごは、思った以上にきれいだったので兄にもほめてもらいました。
すっかりたまご焼きを作るのが好きになってしまい、おやつに作ることもありました。
(朝はなぜかあまり作りませんでした)
高校生になると自分でお弁当を作るようになり、そこには必ずたまご焼きを入れていました。すると、友人から
「いつもきれいなたまご焼きだけど、何か入れたりはしないの?」
と言われました。私はプレーンとチーズしか知らない、と言うとほかの友人たちも加わって、おいしいたまご焼きアレンジを教えてくれました。
ねぎ、ツナ、かにかま、たらこ、ひじき、マヨネーズ、なめたけ(!)、ゆかり、しらす…
とりとめもなく出てきて、わいわいしました。
「えぇっそれ合うの?」
とか
「私たまご焼きは甘いのがすきなのよね」
とか。笑ったり共感しながらの楽しいお昼時間でした。
お昼の後に廊下の掃除をしていたら、国語の先生がいらして、私に声をかけてくださいました。主に図書委員の話で、来年もやってほしい、といったお話でした。
私は快諾したあと、ふと思いついて
「先生、全く関係のないお話なんですけど…、先生はたまご焼きになにを入れるのがお好きですか」
と訊いてみました。今思うと唐突ですし、掃除の時間なのに不真面目だと思うのですが、その日のたまご焼きの話題が頭に残っていたのと、大人の先生は違った食べ方をするかもしれないという好奇心が勝りました。
先生はにこっと笑って
「そりゃあだし巻きたまごがいちばんね」
とおっしゃいました。
なんと。食べたことはありませんが、名前からしておいしそうです。
私は早速家で母に話しました。
すると、
「じゃあ、夕飯用にとった出汁を少しあげるから作ってごらんなさい」
と言ってくれました。
私はうきうきで作りました。たまごに出汁とお醤油をすこし。お塩をぽっちり。
少しゆるいかも…かたまるかな、と心配になりましたが、火にかけたらきちんとたまご焼きになりました。
兄を呼んで実食です。
食べると、意外とうす味でしたが、かつおの風味が口に広がりました。
ゆるめのたまご液だったので、いつもよりもふわふわの食感。
なんともやさしいきもちになりました。
兄となんだかじんわりするね、と話しながら食べました。
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その頃教えてもらったたまご焼きを今でも作っています。
しらすやねぎ、チーズもおいしくて大好物ですが、やっぱりだし巻きが好きです。
この秋もしみじみおいしいたまご焼きをたくさん食べようと企んでいます。
今回も最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
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今回のイラスト
周りのたまごを大きく描きすぎて、今回の主役であるだし巻きたまごがちっちゃくなりました(笑)イラストを描くのがとにかく楽しいのでるんるんと描くのですが、計画性皆無でびっくりしました。おいしいたまご焼きアレンジがあれば、ぜひ教えてくださいね。
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