「東雲色」のはなし
朝まで寝ずに起き続け、カーテンから光が差し込んで明るくなる部屋を見ると、必ず思い出すことがある。
高校時代、ネットで仲良くなった人とスカイプ通話するのにハマっていた。
話が盛り上がって、朝まで通話し続けることも稀ではなかった。
その日も学校があるにも関わらず、気付けば空が白んでいるほどに会話が盛り上がっていた。
朝になれば学校に行って、7時間も授業を聞いて、部活に行って、塾で勉強しなければならない。朝焼けを見ると、今から始まる1日のことを考えて憂鬱になっていた。
「私、この夜から朝になる瞬間が一番嫌いだよ」
学校に行きたくない私は、通話相手にそう言った。
すると相手は、
「自分はこの時間が好き。この空の色が好きなんだ。東雲色、って言うんだよ」
と教えてくれた。
なんとなく、素敵な色の名前だなと思った。
ほどなくして通話を切り、2時間ほど仮眠をしてから学校へ向かった。
東雲色、という不思議な名前が脳裏から離れず、その日はなんとなく、大嫌いな勉強も頑張れた気がした。
当時ネットの友達と通話で話していた内容はほとんど覚えていないが、この東雲色の話だけは鮮明に覚えている。
今でも朝焼けを見ると、彼が教えてくれた「東雲色」という名前を思い出す。
あたたかくて、どこか懐かしさのある色。
私の高校時代を彩ってくれた色のひとつだ。
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