1970年の4月を辿って
「50年前の書物は読めない。」
と祖父がよく言っていたらしい。
(50年前はおおげさだけど、100年前、150年前になると)
環境も変わるし
その時を詳しく分かる人がいなくなるからだ。
父方の祖父は
私が3、4歳の頃に癌で他界したので
祖父の記憶はない。
父が他界した
7年前のちょうど今くらいに
祖父の書いた1970年の日記を持ち
日記を元に当時を歩いた。
何冊か日記があり
たまたま
開いたその日記が4月に書かれていて
その日が4月だったので
歩いてみたくなった。
1970年から
2016年となると
ほとんどの場所は
新しく道ができ、民家が並び
当時の面影もない。
当時の地図に道はあるが
新しく道ができると
かつての道は誰も通ることもなく
そこにはもう道はなく
人も入れないくらいの草や木が生い茂っていた。
祖父の書いた地図に
沼之峯とあるが
そんな地名は
もうどこにもなかった。
当時はそう呼ばれていた、のだろう。
くらいしか分からない。
人も入ることがなく
獣道もない。
知っている人がいないと
本当、何も分からないものだな
と思ったのを
ふと、思い出した。
2070年後から今を振り返ると
どう見えるのだろう。