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日日と魂に:子育てや疾患についての走り書き_14

2022年の夏ごろ

二十山は、テレビ愛知発テレビ東京系列で放送中の乃木坂46・櫻坂46・日向坂46それぞれの冠番組『乃木坂工事中』、『そこ曲がったら、櫻坂?』、『日向坂で会いましょう』の数年来のファンである。
もとい、番組好きがこうじて各坂道グループのライトな追っかけでもある。
お笑い芸人がアイドルの天真爛漫な張り切りに困り果てたり、逆にアイドルに無茶を仕掛けたり、アイドル毎のキャラクターや個性が目に見えて形作られていったり(与田・弓木・いのりにはるはるのバラエティ覚醒や同郷久保のふるさと覇権掌握、林Mステセンター登場、「Actually…」の黒沢清MVの3人の怪演などはその最たるもの)、お笑い・バラエティの概念そのものを覆すような奇跡的な瞬間が放映されたり、だらだらしている子が目立ったり(良い意味で)、人気者があまりスタジオにいられなかったり、誰かが不祥事を起こした際の芸人たちの懐の深さが見え隠れしたり、本当に様々楽しめる点ばかりだ。
要するに、地上波で交錯する人間の欲望の数が、明らかに多い。

このnoteでは今後、登場の多いパートナー(妻)を「大黒様」と呼ぶことに決めたのだが、娘の爆誕も近付いた一昨年のこのころ、大黒様との何気ない会話が不気味な盛り上がりをみせた日があった。
当方男性、身長180cmの体重120kg、適応障害の他に高血圧症と高尿酸血症など生活習慣病を患う哀しい肥満体であると自負しているが、その中学時代、唯一痩せて周りより早く背も高くなった輝かしい時代の思い出は今も大事に胸にしまって生きている。ちなみに、大黒様は出会った頃から今も変わらず美しく活気に満ちており、生命力が濃く、様々な意味で当方と真逆の年の重ね方をしておられる。
しかしあの当時、ほんの少しだけ、勘違いかもしれないけれども、複数の異性に興味を持たれた時期があった気がするのだ。女友達へのメールの返信を取っ替え引っ替え眠りにつくまで何人とも続けていたような。毎日。改竄された記憶でなければ。
会話に出すのも情けない&恥ずかしい昔のことを蒸し返し、挙げ句、いわゆるモテ期が現在までもし続いたと仮定した上で(外見も当時のように色白スレンダーボディで→会話レベルも全盛期のコミュ力で→清潔感があってにきび跡は出来なかった人生として→何でもいいが何らかのカリスマ性を多少は帯びていて云々)、かつこのアイドルたちが一般社会に下りてきてたまたまプライベートで接することが可能な世界線が発生したとも仮定して、俺はこのアイドルたちとどんな色恋沙汰を催すことが出来ると思う…?と大黒様に何気なく尋ねたのである。
ちなみにこの時は北関東方面にドライブをした帰り道だった。鬼のような渋滞に巻き込まれて思考回路が麻痺していたのだと信じたい。大黒様は反吐が出るというような顔つきをしてくれる。話す意味も糞もないが無駄な時間を過ごさぬためにあえて話に乗ってやるという。こんな表情をされた方がむしろやりやすい、全てを棚に上げやすい。

ちなみに二十山の推しは、最初はハコ推しを名乗っていたが己の正直さを否定しているように思えて止めて、各グループ一人まで定めるものとするが2位の擁立は許して下さい、という非常に厳格な規律の中で以下のように決めている。
乃木坂46は遠藤さくら(次に筒井あやめ)、櫻坂46は森田ひかる(次に田村保乃)、日向坂46は山下葉留花(竹内希来里)。
はっきり言って、人気のある子を好きになる傾向があるのだ。

大黒様「お前の推しを知りたいと言った記憶はない」
二十山「僕と付き合ってくれる、せめて異性として興味を持ってくれる人は誰だと思いますか?僕の見た目は良いものと仮定して」
大黒様「あんたさあ、本当は与田祐希が一番好きじゃん」
二十山「え?なんで」
大黒様「エロくて童顔で少しイタめの変な子でタイプに直球すぎてさ、いつかくる別れを恐れて好きだと選ぶことも出来ねんだよ」
二十山「いやいや、えー?まあ、可愛いとは思いますね(ごまかしつつ心中はたしかにー!と叫んでいた気がする)」
大黒様「ジムで男性と6時間二人きり、のニュースはどう思った?」
二十山「大変だ、一気に人気が落ちそうだと思いました」
大黒様「ニュース見ながら繕っていたあんたの顔も見たが、あまりに痛ましくて見てられなかった」
二十山「僕の何が分かるっていうんですか」
大黒様「あんたはねえ、女が結婚したりスキャンダルが浮上するとすぐに離れる傾向がある」
二十山「…」
大黒様「シンプルに男っぽくていいじゃん別に、あんたあの時本当に失恋した顔してた」
二十山「話してて辛いからやめていい」
大黒様「なんでさ、本当に人気ある子の方に向いちゃうんだろうねえ」
二十山「さあ…」
大黒様「本当に普通の男なんだよなあ。あんたはさくちゃんに絶対興味持ってもらえない」
二十山「決めつけはいけない」
大黒様「いや分かる。あんたはああいう人を追いかけていつも仲良くなるまでは行くけど最後は親友だと思ってたとか言われてふられる」
二十山「同じミスはしない(してきた)」
大黒様「保乃ちゃんは優しくふってくれると思うけど。ちょっと真正面から告白してきなさいよ、ふられても友達だよって本気の本気で言ってくれそう。怖いタイプ。森田は、全然向こうがあんたを異性だと認識してくれない」
二十山「どうして!」
大黒様「趣味違いすぎ。ポケモンと動物をあんたは愛せない。背が低い人が皆大きい人を好きになると思ったら大間違い、気持ち悪い偏見は捨てろ」
二十山「こんな話になるはずじゃなかったんだが」
大黒様「小坂もぱるもあんたみたいな立ち回り方する人は対角線上に迂回しちゃう」
二十山「誰にもはまらない」
大黒様「かりんちゃんなら添い遂げてくれるかもワンチャン」
二十山「なんでな!」
大黒様「あんたの個性を少しだけ、若いうちだけ皆と違うと思ってくれそう。ウェス・アンダーソンの話をカメラ位置以外の話題で説明してあげるといいんじゃない」
二十山「それはかりんちゃんをシンプルに捉えすぎでは…でもなんかかりんちゃんを好きになってきた気がする」
大黒様「元々浮気性なのよあんた、すぐ飽きるでしょ人に」
二十山「大黒様と長く一緒にいる」
大黒様「今そんなこと思い出して楽しい?かっきーはあんたから逃げる、梅はもしかしたら少し好意を向けてくれるかもしれないけど絶対態度に出さないしあんたは気付けない。あんなにいい女の好意に卒業まで気付けない、飛鳥ちゃんもさくちゃんと同じ、結局身近にいる柴田に惑わされて柴田といちゃつくうちに本命を逃すの(反論の隙ももらえなかった)。林瑠奈は映画サークルにてお友だち止まり、もちろんひなのもおすしも厳しい、同じコミュニティにすら近付けないはずね」
二十山「あ、自信満々のアートカリスマ路線でいってもだめでしょうか」
大黒様「窪塚ぐらい顔面強くなきゃ成立しない」
二十山「ですよねえ、無理だやなあ」
大黒様「まだまだ話せるこれ、楽しいね」

こんな残酷なトークテーマ提案しなきゃよかったと落ち込んだ時点ではもう遅く、この後一時間以上、総勢何十人ものアイドルたちと当方の空想の関係性を説明され、アイデンティティが破壊されるまでこの話は続いた。よく男子同士では先輩・同級生・後輩の共通の知り合いの女の子を選んで付き合ったと仮定したらどんな幸せが待っているかという妄想話に華が咲くことがあるが(漫画『古見さんは、コミュ症です。』にこの雰囲気を完全再現した男子だけのトーク回が不定期で存在しどれも秀逸だ)、そう行った楽しい余韻に浸れる時間にはならなかった。アイドルそれぞれのビジュアル、癖、特徴をある程度把握した大黒様の想像する世界は説得力があり、幾度も彼女らにふられた気分に陥った。

それでも浮気性なファンは続けるつもりだ。運営の方針に対しあーだこーだ言いながら勝手なことを口にしたい。絶対に伝わらない彼女たちの内面のイメージに物語を感じたい。
完全に一人と決めて推しているファンたちは全員かっこいい。
いよいよコンサートに行くなりして、人生の遥か高い位置で毎日闘っている彼女たちに直接エールを送りに行ってみたいものだ。あなたたちに日々の辛さを取り除いてもらっている、何度も精神的に助けられたり勇気づけられたり、創作の意欲を復活させたりしてもらっていると。見えない心の負担も煌びやかさに押し隠すアイドルたちは憧れでもある。
「二人セゾン」「ごめんねFingers crossed」「無言の宇宙」「君しか勝たん」を何年も愛聴するいちファンより、感謝を込めて。

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