内川聖一、21年目の新シーズン。試合出場への強い想いと共に。


2月を迎え、キャンプの話題で賑わうプロ野球。今年は各球団とも無観客で行うなど、スタイルも例年とは異なる。それでも、見えてくるのはやはり選手たちの表情だ。新人、若手、中堅、ベテランと、チームを構成する多くのプレイヤーが、シーズンへ向けて体を鍛え上げていく。一方で、練習を通して、九つのポジションを我がものとするべく、ライバル達との競争も行われている。

今年のキャンプの話題の中で、ひと際、興味を惹くベテランがいる。38歳にして、新天地で戦うことを決意した東京ヤクルトスワローズの内川聖一だ。背番号「7」を纏い、一軍キャンプで汗を流している。

昨年、圧倒的な強さで日本一に輝いたソフトバンクホークスで出場機会を得られず、退団することを選んだ。自身が、シーズンを通して過ごすこととなったウエスタンリーグの最終戦後、自らの口から球団をさることをファンに告げている。ファンへの挨拶とともに、10年間所属したチーム、首脳陣への起用法への不満なども語るなど、異例の退団発表を行っている。だが「もう一度、一軍の打席を」と試合出場への強い想いも発せられており、未だ、トップレベルを維持していると信じる自身への誇りも感じさせていた。

プロでのキャリアをスタートさせた横浜ベイスターズ(現DeNA)でも主力として活躍を続け、2008年には首位打者、最多安打などの打撃タイトルを獲得。2011年にフリーエージェントでソフトバンクに移り、移籍1年目で自身2度目の首位打者に輝く活躍をみせている。ソフトバンクでも長くレギュラーに定着し、日本一にも貢献している。また、日本代表にも選出されており、ワールドベースボールクラシックには計3度、出場している(2009、2013、2017)。球界屈指の右打者としてセ・パ両リーグにおいて、高い実績を残し続けてきた。

「もう一花咲かせられるように、頑張りたい」
昨年秋のスワローズ入団会見で、新天地への意気込みを語った。
まずは、シーズンの幕開けとなる春季キャンプで、存在をアピールし続けなければならない。チーム内で競い合い、ポジションを掴んだ先において、村上、山田、青木らが並ぶ打撃陣に内川の名前が加われば、一気に打線の迫力が増すはずだ。豊富なキャリアを誇る背番号7の存在は、昨季、最下位に沈んだスワローズを低迷から引き上げる頼もしい力となり得るだろう。
何より、内川自身の一軍出場へかける想い、高いレベルで自らのポテンシャルを発揮することへの執念を強く感じられるようなシーズンとなる事を、期待したい。(佐藤文孝)

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