サッカー日韓戦 日本の快勝も、「次戦」に向け、眠れる虎は牙を磨く
日韓戦。久しぶりに、その言葉の響きがサッカーファンの心を揺らした。
3月25日、日産スタジアムで国際親善試合、日本代表対韓国代表の試合が行われ、ホームの日本がおよそ10年ぶりとなったベスト(海外勢を含んだ)メンバー同士のAマッチを制した。
前半17分、フル代表初出場となった山根のゴールで先制すると、その10分後には鎌田大地、さらに後半38分にはセットプレーで遠藤航がゴールを決め、3-0で日本が勝利を手にした。
今回のゲームでキャプテンを務めた吉田麻也は「日韓戦はある意味、W杯よりも大事な試合」と語っていた。そして入場時からの険しい表情は、その言葉通り試合への決意が表れていた。
主力選手が試合後涙をみせたアメリカW杯アジア最終予選で勝利して以降、共にアジアのトップとして「互角のライバル」としての関係性が築かれてきたサッカー界においての日本、韓国の両国。通算80戦目となった今回のAマッチでの勝利により、より日本の優勢が印象付けられたかもしれない。だが、今回、さらには同じく海外勢もメンバー入りした10年前の札幌での勝利も、あくまでも親善試合だ。幾度となく強さを発揮してきた「タイトルマッチ」での韓国に勝利しない限り、手放しでは喜べないだろう。
思い出されるのは、今もなお、痛恨の歴史だ。
ドーハでの勝利の翌年、広島で開催されたアジア大会ではベスト8で両国がぶつかり、地元開催で優勝が至上命題となっていた日本を韓国が3-2で降している。また、フランス杯アジア最終予選でも、圧倒的に日本が有利とみられていたホームでの試合だったが逆転で韓国が勝利し、日本は屈辱を味わうとともに、予選突破への希望を一気に見失う結果に。
さらにA代表のみならず、五輪世代の戦いでも繰り返し、辛酸を舐めさせられている。前園、城、川口らの活躍で五輪切符を掴んだアトランタ五輪最終予選、決勝では接戦を演じるも1-2で韓国の前に屈している。また、記憶に新しい、2012年ロンドン五輪では3位決定戦を争い、ここでも0-2で力負けで涙をのみ、銅メダルをさらわれてしまった。3年前のジャカルタアジア大会でも、決勝で金メダルを争うも、ソン・フンミン、イ・ウンスといったオーバーエイジに率いられた韓国が勝利への執念をみせ、延長の末、2-1で勝利、ここでも頂点の座には韓国が君臨した。
大会や予選などを通しての極めて重要なゲームでは尽く、日本の前に立ちはだかってきた韓国代表。先日の敗戦は親善試合のワンマッチとはいえ、韓国国内でも大きく取り上げられていると伝えられている。だからこそ、隣国の「虎」はその牙をより鋭利に磨き始めているはずだ。無論、次の日本との対戦を見据えて。日本と韓国の次戦、可能性があるとするならば、2022年カタールW杯最終予選か。(佐藤文孝)