止まらない新潟、オレンジと青の躍進
8勝2分け。開幕から10節を終えて未だ負けなし。今シーズンのアルビレックス新潟の序盤での成績を予想できたファンはどれほどいただろうか。初めてJリーグに参入した1999年以降、大型連休を前に、ここまでの躍進を続けているシーズンは初めてだ。
これまでの戦いの中で各ポジション、ほぼレギュラーが固定されてきており、その中でもチームの「核」として戦術の中心を担う選手が何人もいることが頼もしい。
今季から新潟に復帰した千葉和彦の存在感は絶大だ。DFラインに位置し、チーム全体をコントロールする「王様」を見事なまでに演じている。元々、中盤の選手だっただけに、ボールの散らしにも長けていて、長短のパスで決定的なシーンも作り出している他、開幕戦でのチーム初ゴールや、栃木戦のロスタイムでの同点弾など、劇的なゴールも挙げている。
中盤の高宇洋は背番号8を纏い、かつてのレオ・シルバを彷彿とさせる動きでミッドフィールドを支配している。対人でのボール奪取やスペースを消す動きなど、ズバ抜けたサッカーセンスを披露している。運動量を擁しながらも、中盤でスタメンフルタイム出場を続けている。また、受けたカードも10節終了時では「0枚」だ。
さらにフルタイム出場を続けるのはもう一人、2年目のGK阿部航斗だ。絶え間なく、最後尾までパスを繋ぐ戦術において、求められる役割をきっちりとこなしてきている。大げさではなく、セービングの場面よりもPAの外に出て、足元でボールを受けるシーンのほうが目立っている程だ。昨年の主力だった藤田一輝に競り勝ち、レギュラーを掴んだ事実も、成長度合いの大きさを感じさせる。
また、レギュラーメンバーのみならず、サブに控える選手たちがピッチに送り込まれても、それぞれが同じ働きが充分に出来ることも、今季のアルビを象徴する一面であることは間違いない。
前節では舞行龍ジェームズに代わり早川史哉が、島田譲のポジションには今季初スタメンのゴンサロ・ゴンザレスが入り、それぞれがレギュラーと変わらぬ動きで2-0の勝利に貢献、今季5度目のクリーンシートを演出している。第5節、7-0で快勝した対東京ヴェルディ戦のTV中継でのアン・ヨンハ氏のコメント「誰がピッチに立っても遜色ない」。まさに、顔触れが変わっても、同じクオリティを保ち続ける2021年のアルビを一言で表していた。
5月からは1日のジェフ千葉戦から始まり、大宮、松本と、J1経験クラブとの戦いが続く。後半には琉球、京都との連戦も控えており、さらに戦いは熱を帯びて行く。もう少しTVでの観戦が続きそうだが、それでも面白さは存分に伝わってくる。観ていて楽しい、心が躍る2021年のアルビレックス新潟のサッカー。オレンジと青の快進撃は、ここからまた、始まる。(佐藤文孝)