咽頭全摘出8か月後の障がい状況

こんばんは。市井の咽頭全適者です。
今回は術後8か月を経たわたしの障がい状況について紹介します。

まとめ:発声できない以外にも、痛みによる行動制約など不自由があります

咽頭全摘出という体の改造では、発声できなくなることが最大の後遺症で間違いありませんが、それ以外にも改造の直接的影響や玉突き事故的な波及がいくつもあり、「話せない普通の人」には未だなれていません。

未だというのは術後の一時的な現象もあり、いずれは「話せない普通の人」になれる期待を込めてのことです。それではここから、抜けもれなく異状を挙げられるよう、おはようからおやすみまでを時系列でたどってみます。

◆起床
痛みと頻尿によって連続睡眠時間が短く、疲れが残った感じでスマホに起こされます。目が開けないほどの目ヤニに悩まされた時期もありましたが最近は治り、奥二重もぱっちり(?)目覚められます。
起き上がりは要注意です。手術の傷で首周りが慢性的にズキズキ痛いのと、腕の筋が違ったようにピキ!っと痛むからです。上体を勢いよく起こすと頭の慣性で首がさらに痛みますし、腕で体重を支えると声が出るほどの痛みが襲います。※実際には声は出ません
◆洗面
この2か所の痛みに細心の注意を払い、ゆっくり起き上がったら洗顔です。洗顔も痛みに注意が必要ですが、それに気を取られると鼻から水が入り、かつ抜けなくなってしまいます。
わたしの体は口鼻と肺がつながっていないので、息を吐きながら洗顔しても鼻から水が浸入してしまうのです。そして息を強く吐いても首の穴から虚しく息が漏れるだけで、鼻から排水することはできません。
鼻から呼吸しないので水が浸入して息苦しいことはないのですが、気持ち悪いのは気持ち悪い。仕事前にテンションが下がります。
こうして書き出してみると鼻栓で解決しそうと気が付きましたが、入院中のリハビリでも勧められませんでしたし、試してもいません。その代わりに最近はウェットティッシュなどで顔を拭うようになりました。
歯磨きは割と普通にできますが、のどのうがいは息を口に吐けないのでできません。上を向いても賑やかにガラガラ言わせられず、沈黙が洗面所を支配します。
ひげそりは頬からあごにかけて手術した傷に近いせいか、リンパ節を郭清したせいか未だ肌感覚が無い箇所があり、刃物をあてるのは怖いので電動シェーバーしか使えません。もっとも、感覚が無い箇所はひげも生えてこない(放射線治療の影響?)ですし、人前ではマスクすることが多いので以前のように毎日シェービングすることはなくなりました。
◆着替え
ズボンは普通に着替えられますが、上着は首と腕の痛みで支障があります。靴下を履くときなど上体をかがめるときは、胃の内容物が逆流しないよう気を遣います。食道と気道を切り替えるバルブのような器官がない分、胃袋から口まで抵抗なく内容物が行き来する感じで、特に食後はリバースし易いのです。ですから拾い物をするときも、できるだけ口の位置を高く保つためスクワット的な姿勢で腰を落とすようになりました。

◆痛みのレベルについて
未だ朝食にありついていませんが、時系列の状況報告はいったん終えて次回に持ち越します。
その代わりに、痛みについて触れているついでにその程度、レベル感について補足をしておきます。わたしが入院していた東京のがん研有明病院では、10段階で痛みを表現するよう指導されていました。
痛みのない状態がゼロで、もう我慢できない限界が10という具合です。もちろん10についてはバリバリ主観によりますが、説明してくれた看護師さんもそれは主観歓迎と言ってくれていました。
わたしの場合は一連の治療中最も痛かったICUで経験した痛みレベルを10と設定して、5くらいになるとナースコールして痛み止めをもらい、それ以下は我慢するようなモノサシで運用していました。
入院中にググった記憶ではこの方法はポピュラーらしく、病院によっては5段階だったりするものの、どこでも主観でランク付けするようです。考えてみれば痛みを定量化するのも難しそうですし、何かアクションを要求するのには結局我慢できるかできないかが判断基準になるので、妥当な方法なのかと思います。
手術から8か月を経たわたしの痛み度合いですが、最大で6くらいでしょうか。なんの前触れもなく突然襲われたら即119番コールするレベルなのですが、そこは8か月のお付き合いなので冷静に痛み止めを服用して寝るように対処しています。コールしてもお話できませんし(笑)

今回は以上です。
次回は朝食からの日常の異状を報告します。
総じて申しますと、「話せない不便に加えて痛みと付き合い、3割増しくらいの時間をかけて日常生活を送っている」といったところです。
精読ありがとうございました。

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