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映画 「Buffalo '66」私の青春にヴィンセント・ギャロ
映画「バッファロー’66」が20年ぶりに劇場で再上映されている。私の家の近くのミニシアターでも近々公開を予定しているらしく、先日訪れた映画館で思わずフライヤーを手にした。
私が大学生だった2000年代前半、おしゃれな友達の部屋には、だいたい「Buffalo '66」の映画ポスターが飾ってあった。
髪を撫でつけ、ひげを生やしたヴィンセント・ギャロと、ブルーのアイシャドウに綺麗な金髪姿のクリスティーナ・リッチの真顔がアップで映され、フィルムカメラで撮られたような質感に、かっこいいフォントで書かれた「Bufflao'66」というロゴ。
このお洒落でスモーキーな世界感に、あの頃の私は影響された。私の青春時代、ヴィンセント・ギャロは、ファッションアイコンみたいなものだった。
1998年 アメリカ(151分)
監督・脚本: ヴィンセント・ギャロ
音楽: ヴィンセント・ギャロ
出演:ヴィンセント・ギャロ、クリスティーナ・リッチ、アンジェリカ・ヒューストン他
愛に飢えて孤独に生きてきたと思わるビリー(ヴィンセント・ギャロ)は刑務所を出て故郷の街バッファローに帰ろうとしていたところ、偶然出会った少女レイラ(クリスティーナ・リッチ)を拉致し、両親に婚約者のふりをするよう命じることからストーリーが始まる。
とことんダメな男の人生を、独特な構図と斬新な俯瞰シーンを用いて描かれ、その映像だけでも見応えがある。
ボーリング場でクリスティーナ・リッチ演じるレイラが「moonchild」の曲に合わせて、一人タップをするシーンは最も好きなシーンだ。
公開当時の日本語のキャッチコピー「最悪の俺に、とびっきりの天使がやってきた」の通り、豊満でアンニュイなクリスティーナ・リッチの姿は、天使どころか妖精のようでもある。
この映画、ストーリーライン自体は正直そんなに好みではないのだが、「身勝手で弱くてどうしようもない人しか登場しない作品」に、この頃から私は弱いらしい。
ラストシーンを観て、エンドロールの「Sweetness」を聴いている頃には、この作品の全ての人間が憎みきれず、愛おしくなっている。
大学時代に付き合っていた人もヴィンセント・ギャロのような革ジャンを時々着ていたし、あんな風にダメな男だった気もする(笑)。そういえば、YESの「Heart of Sunrise」をはじめとするサウンドトラックも当時よく聴いたような。
今も、Buffalo'66のポスターを目にすると、あの、2000年代前半に東京の大学生だった頃のことを昨日のことのように思い出す。
もうあの頃に何度も観てしまって、だいたい頭に焼き付いているけれど、久しぶりにまた映画館でこの作品を味わってみようか。