本書評内で「親を紹介する」って言いまくってるんですけど、親を紹介するってなんですか?親じゃないですよ。親ですけどね。

読書をはじめるきっかけの本ってありますか?
物心ついたときには本に触れていた、活字と共に育ったという方もいれば、とある時期を機に読書をするようになったという方もいると思います。
わたしは後者で、中学2年生のときに友人に面白いから読めと勧められたとある一冊がきっかけで読者をするようになりました。

その本は、いわば、「読書の親」です。
根っからのオタク気質なので、はじめて読んだ本を親だと錯覚し、いつまで経っても「結局この本が一番好きなんだよな〜」「結局この本に帰ってくるよな〜」と毎年言っています。親なので。

今日はそんなわたしの親をご紹介します!!!


ストーリー・セラー
有川浩
幻冬舎文庫

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この小説すごくないですか!?!!?!!?!?!!?!!?!?!?!!?!?!!?
はじめて読んだ日から今日に至るまで、ずっと言い続けています。すごくないですか?

ストーリー・セラーは前後半に分かれた二部作です。
前半のsideAと後半のsideBは対になっており、どちらもとある夫婦の話です。
同じ夫婦の話なのか、別の夫婦の話なのかは、読み手によって変わってくるかもしれません。

思考に脳を使えば使うほど脳が劣化し、死に至る奇病に罹った小説家の妻と、小説家としてデビューするきっかけになった「最初のファン」の夫。
小説を書くことは「思考」すること。「思考」することは、死に繋がること。
妻の生きがいである「書くこと」を奪って寿命を延ばしたとて、果たしてそれは妻を「生かしている」というのだろうか。
その二人の生活と、窮地と、愛を、繊細にそれでいて大胆に描いたsideAは、読み終わるころにはいつだってわたしの頬は濡れています。

しかし!sideBを読み始めると全てが覆ります!ここがまあすごいところ!!!すっげーーー!!!!!

sideBでは、夫が死の窮地に立ち、小説家の妻が、境遇や運命に抗おうと奮闘します。
これだけなら、ただの対の短編が一冊にまとまっただけです。
違うんです!!!!!!
sideBの冒頭で、sideAの解釈や見方ががらりと変わります。
どこからがネタバレになりますか!? わからないのでなにも言えません!!!
頼むよ〜〜お願いだから読んでくれよ〜〜読めばわかるんだよ〜〜〜ねえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜。

ストーリー・セラーの面白いところ、そしてこわいところは「どこまでが現実か分からなくなる」ところです。
これは本当に小説の中でのみ繰り広げられたのだろうか? 有川浩の実体験ではないのか?
はじめて読んだその日から、わたしはこのことを考え続けています。
登場人物がみんな、あまりに赤裸々に心中を吐露しているので、直接その言葉を自身に投げかけられたかのような錯覚を起こします。
感情移入しすぎてしまうタイプの方は、辛くなってしまうかもしれないし、より深く楽しめるかもしれない。読んでみてからのお楽しみです。

sideAを読めば感動が、sideBを読み始めれば驚きが、sideBを読み終えれば「静かなるどんでん返し」が味わえる。

一冊で何度も楽しめるストーリー・セラー。
自信を持っておすすめします!なぜならわたしの親なので!!!!!!!!!!!!

気づけば2020年も半分が過ぎたらしいですね。そんなわけあるか? 絶対に信じません。
時間ってなんで何もしなくても過ぎていくんですか? 世界の仕組みを恨む今日この頃です。何もしていない日は、時間も気を遣って流れるのを止めてくれたらいいのに! 時間のいけず! バーカバーカ!
大学3年生になりましたが、今後もこの調子で脳直な発言を繰り返していこうと思います。自分らしく♪♪♪♪♪
ハァ(クソデカため息)
それではまた会いましょう。

皇學館大学 ふみくら倶楽部 3年 夜泣き


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