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ライフ イズ ビューティフル

去年の年末だったか、年明けだったか。


夜、一緒にお布団に入っていたムスメが

「おかあにね、お店とか外で、マスクしてほしいの」

と、何やら神妙な様子で言いだした。

。。。


「あのね」

と、わたしが反論しようとしたらすぐに

「わかってるよ、マスクがいらないことは」

と言い、

「わかってるけど、でも、こわいの。おかあがだれかに怒られたら、どうしようって。」

「ふあんな気持ちになる」

と、しょんぼりと続けるものだから

「わかったよ〜!マスクするね!」

と、つとめて明るく答えたらほっとしたのか、そのまま寝た。



わたしの正しさよりも、ムスメがかわいい。うん。



ふだんから

「わたしがセキしたり鼻水出てたりするならマスクするけどさ、そうじゃないなら、ずーっとマスクしてる方がよっぽど身体にわるいよ」

と言い続けていたわたしに

「マスクしてほしい」

なんて、さぞ言いづらかったことだろうな、と思う。


だいたい、学校では「マスクしろ」と言われるのに
家に帰ったら母に「マスクなんかするな」と言われる。


ムスメもムスコも、「怒られるのがいや」だから、どちら側の言うこともその場では「ハイ」と従順に聞いている(フリをしている)。


子どもは「その場で怒られない」選択肢を選ぶしかない。



このことをずっと、一体、どうしたものかと思っていた。



もう、この世の中、嘘ばかりじゃないか!

って今おとなのわたしはそう思っている。
でもそれを、そのまま子どもに聞かせたくない。


いまだにサンタクロースのことも信じているようなムスメに、

この世界って『悪』なのだよ!!

と、言いたくない。


その頃、市内でも県内でも感染者もほとんどいないのに、
小学校ではまったく変わらず過剰な「感染対策』が続けられていた。


世の中のおかしさに
チッ!くだらねぇ!と悪態をつく一方で、
わたしのこの世界観、わたしの向き合い方がそのまま、小さな子どもに伝わることを危惧していた。



ムスメは
『知らない人には気をつけなさい』
と言われつつ
『いつも元気にあいさつしなさい』
と言われるようなことを
まったく消化できないタイプで、去年くらいまでずっと、たとえすぐ近所でもひとりで外を歩けなかった。



かなりの甘えん坊だと思っていたら、実は、
『保育園にある日、知らない男の人が来て園長先生と戦ったから、今でも保育園の前をひとりで通るのがこわい』

とつい最近になって、教えてくれた。
よっぽどおそろしかったらしい。

(強盗?が保育園に来て立て篭もる、というようなストーリーの避難訓練だったようなのだけれど、ムスメにとってはいまだに『訓練』ではなく、ただのこわかった出来事になっている。)



アルコール消毒も極力しないように言っている。

おててには「妖精さん」がいてね、わるい菌からムスメのことを守ってくれてるから大丈夫。でも妖精さんはね、アルコール消毒がだいきらいなの。お水遊びは好きだから、手を洗うのはいいよ。




アルコール消毒をしないといけないような場面では、かけたフリだけして、その場で手を『モミモミ』するだけでいいからね、と言っている。

エア消毒。

(でもこの前むすめが手袋をしたまままじめにモミモミしていて、笑った。)



ますます、おかしな方向にすすんでいる。



時々、『ライフ イズ ビューティフル』というむかしの映画のことを思い出す。


ナチスに強制収容所に送られたユダヤ人家族のお父さんが息子に『これはゲームだよ』と言うんだよね。



そう、どんな状況であっても
「それでもじぶんの世界をうつくしくすることができる」と笑うわたしでいたい。

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