新刊タイトル確定のお知らせ。
きょうの note は、完全な「おしらせ」としての更新です。
足かけ3年前にわたって取り組んできた〈ライターの教科書〉的な新刊の、正式なタイトルと発売日を発表させていただきたいと思います。本にとってタイトルは命。担当編集のカッキーこと柿内芳文氏とともに、さまざまな案を出し合い、却下し合い、また出し合い、そんなこんなのやりとりを延々と続けた挙句、たしか去年の秋くらいに「もう、これしかないだろう」と決定したタイトルが、こちらです。
ライターとして、あるいはライターズ・カンパニーを標榜するバトンズという会社として、これからどうしていこうかと悩んでいた時期に、「学校をつくるべきです」と直言してくれたのは、瀧本哲史さんでした。若くてポテンシャルの高いライターを一本釣りして育てていくのではなく、学校という場を設けて、まずはそこで「育つための芽」を育てていくべきだ。そして相思相愛になれる人と出会えたら、会社に迎え入れるなり、パートナーシップを結ぶなりしていけばいい。『ミライの授業』での取材先に向かう新幹線のなか、そんな感じでアドバイスしてくださったことを憶えています。
「うーん」。瀧本さんのおっしゃることはまったくそのとおりだと思いながらも、即座に同意できない自分がいました。学校をつくること、私塾のような場を設けることについて、どうしておれはこんなに抵抗してしまうのか。自問自答する日々がしばらく続きます。
そして数年後、自分なりの結論にたどり着きました。
よくある、お手軽なライター教室めいたものにつきまとう違和感は、「教科書の不在」だ。カリキュラムがあいまいで、教科書も存在しない、人脈づくりと思い出づくりの場になっていることが、おれはとてもいやなんだ。だったらもう、教科書をつくってしまおう。自分の考える〈ライターの教科書〉を、一冊の本としてつくり、それを出版してしまおう。学校のことを考えるのは、そのあとだ。
そんなふうに思い至り、教科書づくりをスタートさせたのが2018年。
かなり早い段階で決めたコンセプトは、「この本は『取材』と『執筆』と『推敲』の三部構成にしよう」でした。当時の仮タイトルは「TEXTBOOK FOR ALL WRITERS」。そこから3年近い紆余曲折ありながら、最初に決めた「取材・執筆・推敲の三部構成」というコンセプトが、ド直球そのままでタイトルになりました。
取材、執筆、推敲の全三部、ガイダンスまで含めると全10章からなる渾身の一冊です。目次はおおよそ以下のような感じになっています。
ガイダンス
ライターとはなにか
・ライターは「書く人」なのか
・書くのではなく、コンテンツをつくる
・ライターが「編集」するもの
……等
第1部 取材
第1章 すべては「読む」からはじまる
・一冊の本を読むように「世界」を読む
・なぜ、あなたの文章はつまらないのか
・情報をキャッチせず「ジャッジ」せよ
……等
第2章 なにを訊き、どう聴くのか
・なぜ取材はむずかしいのか
・取材を「面接」にしてはいけない
・質問力を鍛える「つなぎことば」
……等
第3章 調べること、考えること
・取材には3つの段階がある
・わかりにくい文章が生まれる理由
・その人固有の文体をつかむ
……等
第2部 執筆
第4章 文章の基本構造
・書くのではなく、翻訳する
・ことばにとっての遠近法
・論理を構成する3つの要素
……等
第5章 構成をどう考えるか
・構成力を鍛える絵本思考
・桃太郎を10枚の絵で説明する
・バスの行き先を提示せよ
……等
第6章 原稿のスタイルを知る
・本の構成① いかにして「体験」を設計するか
・インタビュー原稿① 情報よりも「人」を描く
・対談原稿① 対談とインタビューの違いとは
……等
第7章 原稿をつくる
・リズム② 「ふたつのB」を意識せよ
・レトリック① 想像力に補助線を引く
・ストーリー④ 起承転結は「承」で決まる
……等
第3部 推敲
第8章 推敲という名の取材
・推敲とは「自分への取材」である
・音読、異読、ペン読の3ステップを
・最強の読者を降臨させる
……等
第9章 原稿を「書き上げる」ために
・プロフェッショナルの条件
・フィードバックもまた取材である
・原稿はどこで書き上がるのか
……等
刊行予定日(搬入日)は、2021年4月6日。一般的な単行本(四六判)よりもひとまわり大きいA5判で、定価は本体3,000円+税です。
まだまだ刊行まで一か月半以上あり、カバーデザインも確定していないこの早すぎるタイミングでお知らせさせていただいたのは、来週からこの本に関する別のお知らせがいくつか続くから。今後もあたらしい動きがあるたび、さまざまな場所からお知らせさせていきたいと思います。
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版元ドットコム
はーっ。タイトルを発表するだけでこんなに緊張するんだから、実際に本が発売になったらどうするんだろ、おれ。