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遠いロシアのあおい空。

もしもこれが自分の国だったなら、自分はどうなっていただろう。

きのうのサッカーW杯ロシア大会、ドイツ vs. 韓国の結果を受けて、いろいろ考えている。韓国の人たちに思いをめぐらすことは、たぶん簡単だ。グループリーグ敗退は残念でならないものの、不甲斐なさから石でもぶつけてやろうと手ぐすね引いて選手・監督らの帰国を待ちわびていたものの、最終決戦の場でドイツに勝ったのは、とんでもなくめでたい。不甲斐なかった今大会のすべてを帳消しにするほどの、歴史的勝利だ。なんならみんな、再放送を見ようよ。ぼくが韓国のサッカーファンだったら、シンプルにそうなると思う。

一方でドイツのサッカーファンはどうだろうか。

たとえばいまの日本のサッカーファンにとっては、W杯の本大会出場なんて、ほとんどあたりまえのことだろう。「メキシコの青い空」を夢見る自分たちに誇りを感じていた時代から遠く離れ、アジア予選ではなく本大会こそがW杯、とふつうに考えているだろう。

同様にドイツのサッカーファンにとっては、決勝トーナメント込みで「W杯」なのだろうし、グループリーグなんて調整段階の前哨戦に過ぎないのかもしれない。

そんな「まだはじまってもいないところ」で終わってしまったドイツの人たちは、これから続く数週間を、どんなふうに過ごすのだろう。だって、ぼくら日本人にはまだかろうじて「メキシコの青い空」の記憶もあるけれど、彼らドイツ人にはそんな経験まるでないわけだからね。たぶん、うれしいとか悲しいとか悔しいとか恥ずかしいとか、本人たちもよくわかんないんじゃないかなぁ。もしぼくがドイツ人だったら、この6月と7月をどう記憶するか、相当注意深く自分を観察すると思う。いや、きっと空の色とか風の匂いとか、ビールやポテトの味だとか、いろんなものが微妙に違っているはずだもの。


あ、「メキシコの青い空」というのは、1986年のW杯メキシコ大会に向けたアジア東地区最終予選、この試合に勝てば悲願の初出場が決まるという大事な大事な韓国戦の冒頭、NHKの山本浩アナウンサー語った有名なセリフです。もうね、これ大好きなんです、ぼくの世代以上のサッカーファンは。


「東京千駄ヶ谷の国立競技場の曇り空の向こうに、メキシコの青い空が近づいてきているような気がします」

さあ。きょうのポーランド戦。いったいなにがどうなって、ぼくはこれから数週間、どんな時間を過ごすのでしょう。車でやってきたフィンランドから、全力で応援します。