ロックダウンをともに過ごした小さなお皿
コロナウイルスの感染者が出て、学部棟が閉鎖されてしまったその週の週末、
先行きが不安で、どうしたものかと思いつつ、
近所を散歩していて、ふと買ったものがある。
いよいよイギリスもロックダウンするかもしれない、という状況で、土曜日だったと思うけど、人影は少なかった。
なんか本当にお店閉まっちゃうかもしれないし、雑貨屋さんでも行こうか、と思った。
近所には小さな雑貨屋さんがちらほらある。素敵なのは、地元のアーティストの作品を扱っているお店が多いこと。
とある小さな雑貨屋さんで、小さなお皿を買った。直径10cmにみたない、小さなお皿。
地元のアーティストの作品だった。
太陽と、たこと、小さな鳥と、”Happy days"のことば。
ちょうど友達と会えなくなってしまったわたしは、
普通の日常、"Happy days"が恋しかった。
£7(約1000 円)、使えるかわからないし迷ったけど、買った。
この小さなお皿は、ロックダウンで家にいるしかない時、とても役に立った。
家にいると、どうしても食べすぎる。食べすぎると、体が重くなって、なんだか自己嫌悪に陥る。
だからこの小さなお皿に、フルーツや、手作りのグラノーラバーをのせて、紅茶と一緒に、なるべく大切に食べた。
すると、わたしはちゃんと楽しくやっている、そう思うことができた。
以前とはちょっと違うけど、わたしはわたしの"Happy days"を過ごしている、と。
そんな日々が、3ヶ月続いた。
イギリスのロックダウンは、もうだいぶ緩和されて、
カフェも雑貨屋さんも、ほとんど再開している。
そしてつい数日前、この小さなお皿を、落として割ってしまった。
きっかりロックダウンの期間を、一緒に過ごしてくれたようで、なんだか不思議な感じがした。
絵柄と"Happy days"はそのまま残ったから、よかった。
なんとなく捨てられなくて、今は花バサミ置き場になっている。
ロックダウンの間、助けてくれてありがとうね。