お品書きと小説サンプル
25ちゃん制作のお品書きができました!
1スペースに置く本としては、ものすごい種類です。お品書きもギュウギュウです。よくこれだけ詰めたなあ!
【5月4日】東6 み04a PepperBoxです。
よろしくお願いします!
さて。
25ちゃんに言われて気づいたのですが、私は「プチ巻ちゃんと100人のゆうしゅけ」のサンプルをUPしていませんでした。
なので、この機会に冒頭をご紹介します。
ちなみにこのお話、6月に出す予定のプチ巻ちゃん総集編にも載せるつもりです。
では何故この本を単独で出したか――。
それは「既刊を全部持っている(( ゚∀゚)ありがたや!)ので総集編は特に必要ない」かたのためだったりします。
総集編書き下ろし作と言うには、だいぶ長いですしねえ。
なのでこれはこれで別個で出しました。どうぞよろしくお願いします!
1
東巻村には、たくさんのお祭りがあります。
ぬいやもちたちは、面白いことや楽しいこと、そしておいしいものを食べることが大好きなので、みんながいろいろなお祭りを作っているのです。
「ごちそうを作る機会を、自分たちでいっぱい作っているショ」
もちろんプチ巻ちゃんも、お祭りがたくさんあることがいいことだと思っていました。
そんなプチ巻ちゃんにとって、大好きなお祭りの一つが「ゆうしゅけの日」です。
東巻村には元々「ゆうしゅけ」という名前の巻島ぬいがいました。
他の巻島ぬいと同様、緑の髪で少し困っているかのように眉尻が下がっています。
しかし他の巻島ぬいより髪の毛が短めで、幼い印象があります。いつも朗らかに笑っているので、東巻村のぬいたちみんなに愛されていました。
そのかわいらしさゆえなのか、他のぬいと大きく違うところがあります。ゆうしゅけには伴侶の代わりに「ママ」がいるのです。
プチ巻ちゃんには「ママ」が何者なのか、さっぱり分かりませんでした。しかし、ゆうしゅけはママが大好きで、ママもゆうしゅけが大好きで、一緒に幸せに暮らしていることは聞いています。
なので、ゆうしゅけは普段、東巻村にはいないのです。
ゆうしゅけの幸せは、東巻村みんなの幸せです。東巻村にいなくても、ゆうしゅけのことを思い出すと、みんな少し寂しいながらも、心が、ほっこりしました。
そんな東巻村のぬいたちの想いに気づいているのか、ゆうしゅけは一年に一回、東巻村に戻ってくるのです。
2
プチ巻ちゃんはカレンダーを見ながら、微笑みました。
明日はプチ巻ちゃんの大好きな「ゆうしゅけの日」です。「ママ」のところにいる、ゆうしゅけたちが東巻村に戻ってくる日でした。
「久しぶりに、ゆうしゅけに会えるショ」
プチ巻ちゃんは、ゆうしゅけのことが大好きです。
ゆうしゅけは心がやさしくて気前のいいぬいです。それだけでも好きなのですが、ゆうしゅけはプチ巻ちゃんのことを、年上として尊重してくれるのです。
身体の小さなプチ巻ちゃんは、普段東巻村では一番の末っ子扱いです。しかし、ゆうしゅけだけは例外でした。
「プチ巻は勇敢で頭がいいショ」
ゆうしゅけは、よくそう言っていました。
食い意地が張っているとも言っていた気もしますが、尊敬してくれていることには違いありません。
それに幼く見えるゆうしゅけがいると、自分が年上になった気がします。プチ巻ちゃんにとって、ゆうしゅけは大事な弟分なのです。
ゆうしゅけとの思い出に浸っていると、外に出ていたプチ堂が帰ってきました。
「プチ巻ちゃん、手伝って欲しいことがある」
「何ショ?」
「実は『おかえりなさい ゆうしゅけ』という横断幕を作りたいんだが、人手が足りない。協力してくれないか?」
プチ巻ちゃんは午後から、ゆうしゅけのために、他の巻島ぬいと一緒にクッキーを焼く予定でした。ですが、いまは手が空いています。
「もちろんOKショ」
気持ちよく返事したあと、ふと思い出します。
「オレは小さいから横断幕の係にならなかったショ。大きいぬいたちが担当だったはずだけど、人手が足りないほど大変なことになっているショ?」
プチ堂は普段にも増して、困ったような顔になります。
「実は最大の戦力だった大きなもち堂ともち巻ちゃんが、『大きなもちの会』の手伝いに呼ばれてしまったんだ。残念ながら今年の『ゆうしゅけの日』は欠席らしい。なので『ゆうしゅけの日』企画委員会は、どんな綿の手も借りたいという状態だ」
「そいつは大変ショ」
ことの重大さを知り、プチ巻ちゃんは背中を伸ばしました。
「オレは高いところに飾ることはできねェけど、横断幕の文字を塗ることはできるショ。ゆうしゅけのために手伝いに行くショ」
「いまからがんばれば、午後までには終わるぞ、プチ巻ちゃん。そのあと一緒にお菓子を作ろう」
プチ巻ちゃんとプチ堂は一緒に駆け出しました。
明日は楽しい、ゆうしゅけの日です。久しぶりに会うゆうしゅけたちを、準備万端で迎え入れようと思っていました。
3
次の日――。
プチ巻ちゃんは朝早く目覚め、部屋の中を行ったり来たりしました。
プチ堂も、もちろん起きています。おそらく東巻村に住むぬいたちは、みんな落ち着かない気持ちでしょう。みんなゆうしゅけが戻ってくるのを楽しみにしているのです。
お昼前になり、遠くからさざ波のような声が聞こえてきました。
「ショ、ショ、ショ」
「ショ、ショ、ショ」
自分と似た、たくさんの声を聞き、プチ巻ちゃんは家を飛び出ました。
そして一緒に飛び出たプチ堂や他のぬいたちと、村の外へと走ります。
「ショ、ショ、ショ」
森の木々がよく見えるところで立ち止まり、プチ巻ちゃんは目をこらしました。
森の中から、帽子をかぶったぬいがたくさん見えてきました。
三列に並び、踊るような足取りでこちらに向かっています。
ゆうしゅけは他の東巻ぬいと違って、ママの想いの数だけゆうしゅけがいます。なので、驚くほどたくさんいるのです。
人数はちょうど百人。
一年に一度の、百人ゆうしゅけの里帰りです。
プチ巻ちゃんは短い手を、精一杯振ります。
「ゆうしゅけ――っ! 久しぶりショオォ」
「あっ、プチ巻ショ!」
前列のゆうしゅけが手を振り返します。
「元気だったショ?」
「プチ巻は相変わらず元気ショ」
「お土産持って帰ったショ! みんなで食べるショ」
「ぬい堂やビッグマザーも出迎えてくれてるショ!」
ゆうしゅけたちは東巻村を視界に捉えると、一斉に走り出しました。
そして出迎えに来たみんなに対して、順番にハイタッチしてゆきます。
ゆうしゅけたちは、東巻村の誰よりもおしゃれで素敵な服を着ていました。かぶっている帽子には、いろいろな形のブローチや花をつけています。
カラフルなシャツにサロペットのゆうしゅけもいれば、細かい目で編まれた鮮やかな色のセーターのゆうしゅけもいます。チェックのオーバーオールを着たゆうしゅけもいました。
「プチ巻にもお土産があるショ」
麦わら帽子にストロベリーとブルーベリーの飾りをつけたゆうしゅけが、小さな肩掛けかばんの中から、いちごキャンディを取り出しました。
「ママがくれたやつショ。二つ貰ったから、プチ巻にあげようと思って持ってきたショ」
「ありがとうショ」
プチ巻ちゃんは大事に受け取りました。
いまだに「ゆうしゅけのママ」に、プチ巻ちゃんは会ったことがありません。
どんなぬいなのか聞いても「ママはぬいじゃねえショ」と答えるので、ますます分からなくなります。
東巻村にはビッグマザーという大きな巻島ぬいがいるのですが、ゆうしゅけのママはビッグマザーにも似ていないらしいのです。
しかしゆうしゅけに綺麗でかわいい服を着せ、おやつもたくさんあげているママは、きっといいぬいなのでしょう。
プチ巻ちゃんは、いちごキャンディを食べました。
とろりと甘いミルクの味がする、いちごキャンディは、プチ巻ちゃんの好物の一つです。
「ゆうしゅけも、ゆうしゅけのママも気前がいいショ」
プチ巻ちゃんは幸せな気持ちで、ゆっくり味わいました。
《続きは本で……。イントロは、ほのぼのしていますが、プチ巻ちゃんシリーズなので、あとでえらいことが起きます。どうぞよろしくお願いします!》
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