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かゆみの原因と対処方法

アレルギーとたたかう理学療法士
及川文宏 より




アトピー性皮膚炎は、皮膚バリアの破綻と免疫反応の亢進、かゆみや掻き壊しが重なって皮膚症状が生じている。

免疫反応の亢進に関しては

✅ 急性の病変ではTh2型の免疫反応が亢進

✅ 慢性の病変ではTh1型、Th17型のサイトカインも関与する


エンドセリン(EDN1)とアトピー性皮膚炎

エンドセリン:
・強力な血管収縮作用がある
・マウスやヒトにおいて末梢神経を直接刺激してかゆみを引き起こす
・血中のエンドセリン濃度は、アトピー性皮膚炎の重症度やかゆみの強さ、血中IgE濃度と相関している
・アトピー患者の病変部位では、エンドセリンの発現が亢進
・エンドセリンがケラチノサイトに作用するとTh2型の炎症を増強させる
・エンドセリンが樹状細胞に作用するとTh17やTh1の産生を亢進させる(慢性期の病態へ関与)
・表皮内の神経伸張を促しかゆみ過敏を生じさせる


アトピー性皮膚炎に対する治療手段

✅ かゆみに対する飲み薬

・抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬は、アトピー性皮膚炎においてはあくまでも補助的な治療。

・重症アトピー性皮膚炎では、シクロスポリンが用いられる。炎症を抑えるとともに、炎症に伴って産生されるかゆみを引き起こす物質の産生が抑制する。

かゆみに対する塗り薬

・ステロイド薬、タクロリムス軟膏
 皮膚炎に伴って産生されるかゆみを引き起す物質の産生を抑えられる。

・保湿薬
 皮膚の乾燥を防ぎ
 表皮内への神経伸張を抑える
 皮膚炎の炎症をある程度軽減する

・デルゴシチニブ軟膏(ヤヌスキナーゼ阻害薬):2020年1月に承認される
 免疫反応の過剰な活性化を抑制する働きを持つ薬。

✅ 紫外線治療
 抗炎症効果がある
 炎症に伴うかゆみを引き起す物質の産生を抑える
 表皮内への神経伸張を抑制する

✅ かゆみに対する生物学的製剤
 デュピルマブ(IL-4とIL-13の作用を抑制):2018年1月に承認される
 


ここまで、アトピー性皮膚炎におけるかゆみのメカニズムと薬などの治療手段についてお伝えしてきました。


かゆみが生じる原因には、内科疾患によるものもあります。

これらのかゆみの解消には、内科疾患の改善(内臓の問題の改善)が必要になってきます。

かゆみを伴う内臓疾患には以下のものがあります。


かゆみを伴う内科疾患

腎疾患:慢性腎不全、血液透析
肝・胆道系疾患:原発性胆汁性胆管炎、閉塞性胆道疾患、肝硬変、慢性肝炎      
内分泌・代謝疾患:甲状腺機能異常、糖尿病、妊娠、閉経後、痛風、副甲状腺機能異常
血液疾患:真性赤血球増多症、鉄欠乏性貧血、悪性リンパ腫、ヘモクロマトーシス
悪性腫瘍:悪性リンパ腫、慢性白血病、内臓悪性腫瘍
神経疾患:多発性硬化症、脳血管障害、脳腫瘍、脊髄ろう、進行麻痺
精神障害:心因性、寄生虫妄想、神経症
• その他:AIDS、寄生虫疾患


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参考文献)実験医学 Vol.39 No.3 2021 384-393


今回は、かゆみの原因と治療方法についてお伝えしました。

まだまだ、かゆみのメカニズムは分からない部分がありますが、様々な面で解明され、かゆみで辛い思いをされている方が1日でも早く笑顔になれることを願っています。


最後までご覧いただきありがとうございました。


アレルギーとたたかう理学療法士
及川文宏
より
日本アレルギーリハビリテーション協会
アレルコア
福のしま研究会
 YouTube(アレリハちゃんねる)noteでは、アレルギー疾患や自律神経に対する理学療法についてお伝えしています。

アレルギーや自律神経に対するリハビリテーションの講習会情報につきましては、以下のHPをご覧ください。

無料のLINEチャットでは、自律神経についての情報発信をしています。

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【今後の研修会予定】

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『今日からはじめる自律神経』

アーカイブ動画視聴:
✅ 9月20日〜10月4日まで配信講師
・内容
 『自律神経を整える』
 〜解剖・生理・運動学の視点より〜
  理学療法士 佐藤 慶太

 『ストレスと脳科学』
 〜瞑想が自律神経を整えるメカニズム〜
  理学療法士 寺島 佑

 『ツールを使ったセルフケア』
 〜メディカルアロマで考える自律神経ケア〜
  理学療法士 石井 りえ

 『自律神経と食事管理のポイント』
  管理栄養士 和田 宵湖

 『自律神経の不調とは?』
 〜自律神経の9つの分類方法〜
  理学療法士 及川 文宏

参加方法 
※資料はございません。ご了承ください。
※アーカイブ動画視聴:9月20日〜10月4日まで配信

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自律神経セラピストBasicコース
オンライン座学②

③-1「神経・筋膜の機能解剖」
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③-3「便秘の原因」
動画公開期間:7月26日〜9月26日まで。
上記の動画は3つ全て期間中ご覧になれます。

自律神経セラピストBasicコースの概要講座の内容につきましては、こちらからご確認ください。

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『アレルギー疾患と理学療法』

日時 10月8日(日) 10:00〜16:00
会場 東京都江東区(現地参加申込者には申込後に詳細をお伝えいたします)
講師 一般社団法人日本アレルギーリハビリテーション協会
   理学療法士 及川文宏

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主催:山形県理学療法士会

『自律神経に対する評価と介入』〜実技編〜

日時 11月11日(土) 10:00〜15:30
 ※対面のみ(アーカイブ無し)
会場 山形県立保健医療大学 
講師 及川文宏
内容 人々の身体は自律神経が大きく関与しており、女性の身体のみならず様々な患者様に対して、その評価と介入が重要となります。昨年度、及川文宏先生を講師に「自律神経に対する評価・介入」と題して、オンライン研修会を開催しました。好評につき今年度は実技編を企画し、実際に対面形式で実技を通し、臨床で活かせるような知識と技術を学べる研修会です。
申込
 第一次募集:9月21日まで
  「山形県士会員のみ」優先申込可
 
第二次募集:9月22日から
  「全国の会員」申込可
・セミナー番号 115507
・講義番号 242057

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