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【パウパー】戦慄予示で遊ぶ準備

本稿は主にパウパー環境における戦慄予示の活用方法の覚書になります。ルールの理解など、誤りがあれば逐次ご指摘ください。


戦慄予示の性質

戦慄予示とは

 戦慄予示とはダスクモーン:戦慄の館(以下、DSK)で登場する新メカニズムで、戦慄予示を指示されたプレイヤーは"自分のライブラリーの一番上にあるカード2枚を見る。それらのうち1枚を2/2のクリーチャーとして裏向きで戦場に出し、残りを自分の墓地に置く。それがクリーチャー・カードなら、それのマナコストで、いつでも表向きにしてよい"を行います。
戦場に出るクリーチャーの性質は既存のメカニズムである予示と同様、
・2/2で能力、マナコストを持たない。そのためマナ総量は0で無色である
・名前、クリーチャー・タイプをもたない
といった特性を持ちます。また、予示と同様、表にする操作はインスタントタイミングで可能であり、スタックを用いず即座に解決されます(マナ能力などと同様)。
 ちなみに、パウパーにも存在する両面カードを裏面で出す場合もやはり両面カードの裏側ではなく2/2のクリーチャーとして場に出ます。イメージとしては両面であるという特性を失って裏面で出るイメージになります。
参考:『ダスクモーン:戦慄の館』のメカニズム
 なお、DSKで戦慄予示を持つコモンカードは以下の8枚です。

《無害なネズミ》《裏の裏まで》が個人的推し

①ライブラリーの上から2枚を見ることができる

 予示と異なり2枚から予示するカードを選び、選ばなかった方が墓地に落ちます。予示したカードも多くの場合は墓地に置かれることになるでしょうから、実質的に時間のかかる切削2でもあります。
 予示したいカードを予示よりも2倍予示しやすく、予示されたカードがクリーチャーであれば、マナコストを支払い戦場に出ている状態にできるため、実質トップ2枚を見て生物を手札に加える濾過のようにも振舞えます(予示よりも2倍1ドローとみなしやすい予示ともいえるかもしれません)。

②戦場に出たとき能力(以下、ETB)が誘発しない

 ここからは予示と同様の特性になります。
 予示されたクリーチャーは裏向きで出て、そのマナコストを支払うことで表向きにすることができます。表向きにすることは戦場に出すことでないため、ETBは誘発しないし、「○○状態で戦場に出る」も参照されません。逆に、戦場を離れたときは、表面を公開し裏であったことは保持されません。
 表向きにすることは新たに戦場に出ることではないため、カウンターや装備品やオーラはそのままです。逆に、表向きにしたからと言って異なるオブジェクトになるわけではないため、相手の《喪心》をフィズらせることはできません(表面のクリーチャーが呪禁などを持っていた場合は不適切な対象となります)。

③表向きにするときはマナコストのみを支払う

 表面にする際に支払うコストに、唱えるための追加コストは不要です。また、変異・大変異・変装による「これを表向きにするコスト」を支払うことで表にすることも適正です(変異・大変異・変装で出した裏向きのクリーチャーをそのマナコストで裏返すことはできません)。もちろん唱えていないので打ち消されません。

他のメカニズム・戦術との相互作用

ほぼ予示との相互作用と同様です。

ブリンク、《超常的耐久力》系統

 一度戦場から離れて戦場に戻る場合、裏面であったことは失われるので表面で戦場に帰ってきます(②参照)。そのため《カザド=ドゥームのトロール》のような重量級パーマネントを一度予示し、ブリンクすることでより早期に、より低コストで戦場に出すことが期待できます。戦慄予示は予示より2倍この動きの準備がしやすく、コンボ性は上がったと言えるでしょう。予示されるカードがパーマネントであればなんでも戻ってこれるため、クリーチャーでなくても構いません。一方でインスタント・ソーサリーが表面の場合、ブリンクすると戦場に戻ることができず追放領域に置かれっぱなしになります。
 ただし、予示はETBを主体としたカードと相性が悪い一方でブリンクはETBを使いまわすことが主目的になります。そのため、ブリンクして嬉しいパーマネントは予示では全く嬉しくないという齟齬があります。例えば、《熟考漂い》はブリンクと相性が良いものの予示との相性が凄まじく悪いです。

デメリットの踏み倒し(消失・エコー・防衛・不都合なETB)

②ETBが誘発しない ことを利用し、一部のデメリットを踏み倒すことができます。
 消失X(このクリーチャーは時間カウンターがX個置かれた状態で戦場に出る。あなたのアップキープの開始時に、その上から時間カウンターを1個取り除く。最後の1個が取り除かれたとき、それを生け贄に捧げる。)は戦場に出たときに時間カウンターが置かれる常在能力が無視されるため予示との相性が良いです。生け贄に捧げるのは「最後の一つが取り除かれたとき」であるため誘発しません(厳密には「アップキープ開始時に時間カウンターを取り除く」という効果が誘発しません)。よく似た効果の消散Xは消散カウンターが乗っているかをまずチェックするため、生け贄に捧げる必要があります。
 エコー[コスト](あなたのアップキープの開始時に、もしあなたがこのパーマネントのコントロールを、あなたの直前のアップキープの開始時より後に得たのであれば、[コスト]を支払わない限りこれを生け贄に捧げる。)も予示した次以降のターンに表にした場合、コントロールを得たのは直前のアップキープより前であるためエコーコストを支払うことなく維持することができます。多くのエコークリーチャーはETBを持つため、それが活かせないという点で相性が悪いことはあります……。
 表向きにする操作はインスタントタイミングで行えるため、防衛持ちのクリーチャーも攻撃指定後に表向きにすれば1度だけ攻撃することができます。基本的にはマナコストの割にはパワーが高い壁を一度だけダメージソースとして使うような運用になります。手札に来た場合や予示以外で戦場に出した場合は通常の運用以外ができないため、取り回しに欠けます。
 パウパー範囲にも一部、ETBで追加コストを支払わないかぎり自身を生け贄に捧げるようなクリーチャーや、ETBで自身に枷をつけるような生物が存在します(ex.《はぐれ象》《キイェルドーの死者》《腐れる嫌悪者》)。予示から表にする場合、ETBが誘発しないことを利用しこれらのデメリットを踏み倒すことができます。ちなみに、言うまでもなくブリンクとの相性が最悪です。

2/2からマナコストを支払ってまで変身させたいか?という観点は必要

追加コストの踏み倒し

③の通り、表面にする際に支払うのはマナ・コストだけであるため、追加コストは支払う必要がありません。デメリット能力もちと異なりブリンクやリアニメイトと併用しやすい点でありがたい存在です。

2/2からマナコストを支払ってまで変身させたいか?という観点は必要(2度目)

墓地利用

 戦慄予示は戦場に出さなかったカードを墓地に置くため、当然墓地が肥えやすいです。そのためリアニメイトや脱出などの墓地利用ギミックとシナジーが見込めます。リアニメイトの場合、戦慄予示を生かす都合上低マナ域のデメリットクリーチャーが主戦力になるであろうため《発掘》《死体の運び屋》のようなマナ総量に制限がある代わりに軽量なものが使いやすいはずです。他にも探査・給餌・昂揚・スレッショルドや《闇の旋動》のようカードのように、墓地から追加でカードを追放するタイプの追加コストの供給先や墓地の枚数参照の補助として使えなくもありません(探査や墓地のカード枚数を参照したコスト軽減は、予示と相性が悪いことが多い)。

付録:関連カードリスト

リンクはそれぞれのカードのMTGwiki

予示したいカード

マナ・コストに対して優秀なクリーチャー
湿地帯のグロフ》:1G 5/4 追加コストで②かクリーチャー1体
キイェルドーの死者:B 3/1 B:再生 ETBで自身に布告
バルデュヴィアの大軍》:2RR 5/5 追加コストで手札1枚無作為
腐れる嫌悪者》:2(B/G)(B/G) 6/6 ETBで自身に-1/-1カウンター
オークの厄介者》:1R 3/2 RIPでプレイヤーに2点バーン エコーR
ケルドの匪賊》:1R 3/3 ETB,RIPでプレイヤーに1点バーン 消失2
命取りの幼虫》:2B 3/1 条件付きRIPで6/1被覆を出す 消失3
寄生牙のドレイク》:2U 3/4 飛行 ETBで自生物1体追放 RIPで戻す
湿地帯のグロフは特に《発掘》との相性がよい。
命取りの幼虫は予示経由で戦場に出た場合、6/1被覆を出す条件が整う。
寄生牙のドレイクは予示したパーマネントをブリンクで表にする手段としても使用可能。

イニストラードの追加で墓地からクリーチャーを1枚追放しないと唱えられないゾンビサイクルのコモン
その場しのぎのやっかいもの》:3U 4/5
首無しスカーブ》:2U 3/6 タップイン
縫い合わせのドレイク》:1UU 3/4 飛行
スカーブの大巨人》:5U 6/9 トランプル

自力で表になる能力と表になった時の誘発を持つカード
水深の予見者》:1U 1/3 変異-島2つバウンス 表向き2ドロー
無情な切り裂き魔》:B 1/1 接死 変異-黒手札を1枚公開 表向き相手2点ロス
皮を剥ぐ者》:1B 2/1 変異3BB 表向きで非黒生物破壊
泡の密輸者》:1U 2/1 変装5U 表向きで+1/+1カウンターを4個置く
予見者は2ドロー、切り裂き魔は2点ライフロスと本体が1/1接死かつ変異コストが0マナ、皮を剝ぐ者は黒でないクリーチャーの破壊。
《皮を剝ぐ者》・《泡の密輸者》は素出しで2/2/1バニラ。前者は変異経由だと③+③BBでクリーチャー1体の破壊とテンポロスが壊滅的だが予示さえできれば2マナでほぼ打ち消されないインスタントクリーチャー除去であるため生物絡みのコンボに対してハンデスすら効かない必殺技となる。後者は2/6/5とグロフもびっくりのいかれとんちきマナレシオになるロマンがある。どちらも積み込みをするほどかと言われると微妙だが……

戦慄予示デッキと相性のよさそうなカード

長いためそれぞれのカード詳細は省略。多分に主観が含まれる。

発掘
予示でまとめると主力生物のマナ総量が小さめになるはずなので、効果範囲が広い。多くがETBでデメリットを持つため採用クリーチャーは厳選したい。死亡時に予示・戦慄予示を行う《スゥルタイの使者》《無害なネズミ》自身も2マナの生物であるためこれらの再利用もでき色があっている点もよい。
渦まく知識》《時間の把握》《死の報い》《永遠の若さ
予示したいカードの積み込み手段各種。《回収》は流石に弱すぎる気もするため何かしらのおまけが欲しいところ。
こそこそサクサク
理想的には戦慄予示で落としたいが他にも、戦慄予示の有力候補である《無害なネズミ》《裏の裏まで》が死亡時誘発であるため自然と《命取りの論争》系カードが入るのも好相性。その他、積み込み手段や墓地肥やしを重視してルーティングを多めに入れるならデッキ単位で相性が良くなるかもしれない。

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