草は仕事をしてるのか
ときどき草むらでぼーーっとする。草たち、と言っても、ほとんど冬枯れしてるけど。
枯れた草といっても、よくみると地面に這いつくばるようにして冬を越してる多年草の草もある。踏まれても平気なタイプの草たち。そういうのをしゃがみこんで見るでもなく見てる。
そう、真冬でも。ずっと画面に向かってて、ときどき無性に「土」に近づきたくなるんだ。いや、さすがに昼間でも氷点下の日とか吹雪いてるときとかはしませんが。
人間ってふしぎなんだけど東京住みのときは、気温7℃とか「寒っ」と思ってたのが、こっち(信州)に移ってきたら「え、きょう7℃あるの?」とテンションが少し上がる。
晴れてて風がそんなに吹いてなければ、気温7℃なんてもう春だ。外でピクニック的に何か食べたくなる。個人の体感だけど晴れ・ほぼ無風・日当たりがいいの条件が揃えば気温0℃ぐらいまでは屋外でお弁当とか食べてても平気。
薪割りとか作業なんかしてたら7℃は「暑い」ので2~3℃ぐらいでちょうどいい。
まあでも、なかなかそんなに都合よく天気は応えてくれないし、すごい冬のピクニック日和のときに限って、仕事が雪崩起こしてたりするから。
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草むらでぼーーっとするとき、何考えてるのか。何考えてるんだろう。
ひとつわかってるのは仕事のときとは違って「考えよう」と思って考えてはない。ただ、なんとなく思い浮かぶことを泡のように考える。
傍目には「あいつ、なにやってんだ?」と思われるかもしれない。思ってくれてもくれなくてもいいんだけど。
なんか名前の知らない草があるなぁ。この草って仕事してるんだろうか、とか。
でも、基本的にここに生えてるってことは、ここで生きられてるから生えてるわけで。
草の種って、実は土の中に無数に蓄えられてて、ある種属の草が栄えてるときは別の種類の草の種は芽を出さずじっと眠ってる。何年でも。
他の草が席巻してるときにわざわざ芽を出してもうまく成長できずに淘汰されてしまうからだ。草って想像以上に賢い。
で、自然の変化や人が手を入れたりとかで、それまで繁栄してた草が減ったり枯れたりすると、それまで眠ってた草の種にスイッチが入って芽を出す。草たちにとってはそれが仕事なんだろうな。
そうか、君らも仕事してるのか。
ああ、そうだよ。嫌にならないの?
何が? 草であることが。
そんなの考えたこともないな。
わかってたけど、ちょっと聞きたかった。じゃ、僕も仕事に戻るよ。
ふーん。戻るって、あんたそのものが仕事じゃなかったのかい。