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僕の書くものは土と菌で出来てるから
どんな仕事も長くちゃんと続けるにはアップデートが必要。きょうはなんとか時間を削り出して「土と菌」を2020年版にアップデートしてきた。藤井風くんを聴きながら移動して。
いったい何を言ってるのか。君の仕事はライターとか編集で、なんで「土」やら「菌」が出てくるのか。ヤギだからパピルスでもつくって食べるんだろうかと散々な言われようだけど、そういうことじゃない。
たしかに僕の仕事は原稿を書いたり、本やムックを編集したりすることらしいので、べつに「土」も「菌」も関係ない。直接には。
なんだけど、自分という人間の身体を使って仕事をするのには変わりない。いろんなツールを使ってるとはいっても、何をどう使ってどうつくるを「考えて」るのは生身の人間だ。
で、ここが大事なところなのだけど、生身の人間なのでエネルギーとして何か食べないといけない。しかも中身がヤギなので、まあまあ草(野菜)もたくさん摂取する。
夏野菜なんかはほぼほぼ畑で自給なので、シーズンは供給量に食べる量が追いつかない。まあ、いくらでも食べれてしまう。
つまり、僕の体や思考の何十パーセントかは「畑」でできてるのだ。
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その畑を主に構成してるのが「土と菌」で、彼らの状態がどうなってるかは、そのまま育つ野菜の健康とか強さ(生命力)に影響する。というか如実に表れる。
いまのうちの畑を本格的に土づくりはじめて3年目。有機と自然農の狭間を漂ってるのだけど、ようやく少し土の中の菌(微生物)を感じられるようになってきた。
端的にいうと、いくら土だけ柔らかく耕したとしても、土の中にさまざまな菌、真菌(糸状菌、酵母)、乳酸菌、放線菌などいろいろがちゃんといい感じで存在してないと野菜もいい感じに育たない。
んなことは、もちろん自分で畑やるまで知らなかった。知らないことすら知らないのがあたり前だし、べつにそれで困ることもなかったから。
でも、どうやらそうらしいと知ったというか、土から野菜を通して聞かされてからはそういうわけにはいかない。
しかも土の中、菌たちの活動は一定じゃない。いろんな要素が絡み合うようにして変化していく。そこに自分が追いつけるかというと、とてもまだそこまでではない。
だから、「土と菌」を学んで最新版にアップデートする時間が大切になってくる。この話するとだいたい長くなる。ほとんど興味持たれない話なのわかってるけど。
でも、自分が書くものはかなり直接に近い間接的に、自分の畑の土と菌を摂取してつくられてるのだから、そこは外せない。
時間がないからといって「土と菌」を学んでアップデートしないまま、なにかを書き続けても、たぶん「食べれるけど、それほど美味しくはない」ものになってしまうのだ。
それは、もしかしたら自分には、なにも書かないことよりも怖いかもしれない。
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