長文禁止法案ついに可決成立へ ((;゚Д゚))
今日の新聞の見出しだ。ひっそりと小さく掲載されていたので気付かなかった人のほうが多いかもしれない。
正式名称は「国語長文の禁止及び国語競争力の確保に関する法律」。
例によっていかにも法律的な名称だが、第一章第一条の総則にはこう謳われている。
第一章第一条 総則
「国語における長大語及び冗長性の是正改善を促し国際競争力の促進に寄与することを目的とする」
まあ、要するに今の日本語の文章は長すぎるので短くすべしということらしい。
ソーシャルメディアで国民があらゆる文章を発信するようになった現在。
このままではただでさえ長ったらしく非論理的といわれる日本語のために、世界からますますガラパゴス化することを恐れた国が、ついに法律の縛りを設けたというわけだ。まじかよ。
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今後の日本が生き残るための日本語構造改革。長文によって貴重な時間資源を無駄にしてはならない。法案を後押しした議員はそう胸を張る。
ゲスな騒動や不倫議員、プロ野球界の賭け事や空前の経歴詐称ブームや謎の不倫謝罪の陰で超党派の議員が打ち出した法案がうっかり可決されようとしているのだろう。
たしかに、日本語は構造的にも助詞の使い方や動詞の変化で、端的なことを伝えるにも幾通りも長い文章ができてしまう。
少し専門的になるけど、僕たちが日本語の文章を伝えたり理解するときには、無意識にこんな作業を行っているのだ。
まず、1)文章を意味のある最小の単位に区切って品詞や内容を判断する形態素解析をする。
つぎに、2)どの単語がどの単語に掛かっているかの構文解析、つまり文法をみる。そして3)意味の通じる概念に沿って意味解析をしたのち、4)文脈解析すなわち複数の文につながる構文ツリーをつくって意味を解析する。
ざっと、これだけの作業を行わなくてはいけない。うへー。
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まとめるとこんな感じ。
例《カメラで食事する犬を追う》という文章について
カメラ(名詞)
で(格助詞)
食事する(非能格動詞)
犬(名詞)
を(格助詞)
追う(動詞)
「カメラ」「で」などの最低限の意味のある文に区切り、品詞や内容を判断し、修飾関係を見極め、「カメラを使って食事する犬」はいないという概念を引っ張り出して「カメラで犬の食事シーンを撮影しようとしている」という意味をようやく理解するわけだ。
長い。面倒くさすぎる。そこで長文禁止法では「犬写メる」としなければならない。なんだろうね、これ。
これからライターや作家は大変だよなぁと考え込んでいたら、こんな続報が入ってきた。
「長文禁止法は法律の条文そのものが法に違反していたため否決される見通し」
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