気になる話には理由があって
分解するのが好きだ。といってもモノではなく言葉。何気なく見聞きした言葉や文章をつい分解してしまう。楽しい。
趣味って何ですか? と質問されるといつもすごく困るのだけど(どうでもいい情報)、じゃあ言葉や文章の分解が趣味なのかというとそうでもない。そんな趣味聞いたことがない。
なんだろう、習性? 猫が動くものを見つけたらつい猫手を繰り出してしまうように。わからない。けど言葉や文章で何か引っ掛かったときに、その引っ掛かりを分解したくなる.
この前、流れてきたツイートもそうだ。
離陸時のアナウンスで間違えて「皆様着陸いたします」と言っちゃったCAさんに「はや!」「上がってへんやん!」「秒で着いた!」など声が上がる大阪伊丹空港発飛行機内。さすが。
一瞬、ネタかな? と思ったけど、どうやら本当にあったことっぽい。ありそうだ。
で、なんでこの短いツイートが引っ掛かったのか気になって分解してしまう。
これたぶん、ネタ的におもしろいだけじゃないんだ。なんていうか、人が話を聞いて(読んで)おもしろいと感じる「構造」ってあるんだけど、そこにちゃんとはまってるから。
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まず、CAさんが離陸なのに着陸しますと間違えてアナウンスをしてしまった。ここが要素1=インプット。
たぶん、飛行機が空港でタキシングを終えて滑走路に入る直前、例の「ポーン♪」っていうチャイムが4回鳴るタイミング(機長が離陸1分前を知らせる合図)でCAさんが「皆様、離陸いたします」というところを「皆様着陸いたします」って間違ったんだろうね。
その「間違えちゃった情報」がインプットされ、「はや!」「上がってへんやん!」「秒で着いた!」というツッコミが被さる。要素2=スループット。
で、最後、そのツッコミの声が上がったのが「大阪伊丹空港発」の機内であることが示され、妙に納得感が醸し出されてる。要素3=アウトプット。
えーと、伝わってるんだろうか。若干不安だけど解説するとこういうことです。
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人って、何かの話、文章を見聞きしたとき、ただの事実情報だけだとそこまで興味がわかない。
さっきの話だと「要素1=インプット」部分。「CAさんが離陸のアナウンスを間違えた」だけの情報だと、で? ってなってしまう。なんならクレーム? と思われる。よくても「ふーん」で終わる。
そこに「要素2=スループット」として、「皆様着陸いたします」アナウンスに乗客の喰い気味の「はや!」「上がってへんやん!」「秒で着いた!」のツッコミ情報が入ることで、俄然興味が出てくる。なんだかおもしろそうだ。
そして、最後「要素3=アウトプット」として、大阪伊丹空港を離陸しようとしてる機内での出来事であることが明かされて「さすが」となる。
たったこれだけのことなのにカタルシスまで感じるからすごい。
これって、どんな文章を書くときも基本構造として同じなんだ。事実を言いっ放しだとおもしろくない。読み手が受け取れない。
そこにスループット、その場での「独自の処理」(この場合ならツッコミ要素)が加わって、アウトプットとして「大阪での出来事」のやっぱりな感でまるっと話が意味を持つようになる。
ということなんだよな、と仕事と作業の合間に独りでツイートを分解するなどしてます。
文章を書くとき、べつにいちいちそこまで考えなくてもいいんだけど、そういう「型」があるのもたまに思い出すと、また新鮮な気持ちで文章に向き合えるので。