機械じゃないほうの人間のやること
「ちょっとまだ漠然としてるんだけど、打ち合わせできない?」
編集者やクライアントからそんな(表現はイメージです)声がかかることがあります。
これって、結構、人によって捉え方が違うみたいですね。
打ち合わせするのなら、ちゃんと要件を整理してからじゃないとお互い時間の無駄じゃないの? という人もいる。
何をどう打ち合わせて決めたいのか、事前に共有できるものは共有して、打ち合わせの場では「何を、いつまでに、どうやって進めるか、具体的なアクションとそのジャッジをどうするか」といったことをパパッと決めたい派の人とか。
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まあ、仕事の教科書的にはそっちが正解。僕も案件や状況によってはそのスタイルでやったほうがいいなと思うのだけど、絶対に「漠然とした打ち合わせ」がNGかというと、そうでもない。
もちろん「仕事」なのだから、ただ漠然とした時間を過ごすわけじゃないのは大前提。
ただ、なんだろう。あえて、相手の頭の中がまだ整理されてない状態から話が始まって、いろいろ「壁打ち」していく間に「これ、やっぱりいいね」というものがヒットする瞬間があって、そこを同じ空間時間の中で共有できるのが「漠然とした打ち合わせ」のいいところだと思うんですね。
これって、最初から相手がきちんと要件を整理して打ち合わせするときにはないことだから。
個人的には、そういう「ヒットする瞬間」をリアルに打ち合わせで共有した仕事って、いろいろうまくいったり、いい結果になるものが多い気がする。
あと、ライターだけど編集とか取材してテキストを書くだけじゃない部分でも「仕事」するのが好きだし、そういうところでも声をかけてもらえるのはうれしい。
まあ、漠然としたデータセットを投入しても、なんとななるし、当事者にも悪くない結果に持っていけるのが機械じゃないほうの人間の仕事なんだろうな。