一方通行の仕事は行き止まりになる話
みんな仕事してるよね。
またこいつ何言ってんだと思われそうだ。ただでさえ忙しい師走なんだからあたり前に仕事してるよって。
そう。でも、だからこそ「仕事」を考えたくて。自分がやってる仕事はちゃんと「仕事」なんだろうか。
そもそも仕事とは何か。
【仕事】しごと――その人が生計を立てるために為している行為。やらなければならないこと。
ヤギ辞林にはそんなふうに載っている。まあたしかに。だけど、それだけだとなんとなく無機質。実も蓋もない感じがする。もう少し人っぽくリアリティをもたせるとこんな感じだと思う。
何かの役割を持って何かの解決をすること。たとえばお腹を空かしてる人に、お腹が満たされる食を提供する。そこに存在するのが仕事。
お店に食材を届ける人も仕事してるし、料理人もお店のスタッフも、厨房機器をメンテナンスする人も――と、いろんな人のいろんな仕事がある。
じゃあライターの仕事は何か。世の中の森羅万象のテーマがあって、そこに手を突っ込んで、何かごちゃついてるのを解き明かしてテキストにしたり、誰かの想いを言語化したり。
まあ、これもバリエーションはほぼ無限にある。けど、そういうイメージしやすい仕事の奥にも言語化されづらい仕事で大事なことがある。
noteでも仲良くさせてもらってるデザイナーこげちゃん(@Koge0_ozeki )の記事を読んで改めてそうだよなぁと。
どんな職業にも通じる仕事の本質が書かれてるので読むのお勧めなんだけど、仕事って一方通行じゃないんだってこと。
取引先でもエンドユーザーでも読者でも何でもそうなんだけど「相手」と一緒につくるのが仕事。こっちから(自分の職業的立ち位置から)一方的に相手と向き合うのではなく、相手と一緒に相手が見てるもの(世界)を見る。
どんな職業でもそこから仕事をスタートさせられる人は、いわゆる「仕事ができる人」の要素を持ってる気がする。
文字にするととくに何も言ってない感が凄いのだけど、うっかりすると、そこをおざなりにしてる気がして。自分もだよ。
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自分の役割はAだからAをちゃんとやればいいでしょというのは、一方通行な仕事。自分の側からしか見てない。
デザイナーなら頼まれたものをデザインすればいいとか、ライターなら取材して原稿を書けばいいとかではない。それだけだと相手と一緒につくるが抜けてる。
で、仕事を相手と一緒につくろうとすると、デザイナーならデザインスキル(狭義の)だけではなく、言語化スキルも必要になる。
相手と一緒に見たときに見えるものを言語化し、それに対してどんなことをすれば相手が見てる世界が実現したり、そこに近づけるのかを「相手が受け取れる言葉や表現」で伝える。
もしかしたら「あれ?」と思う人もいると思うけど、このスキルってデザイナーだけが持つべきものではなくて。
アパレルの店で働く人だって「このアイテムのどこがいいのか」を話すのも必要だけど、それ以上に、お客さんがそのアイテム(服でもバッグでも)を自分のものにしてどんな世界を見たいのかをつかむ。そこをちゃんと一緒になって言語化できると「これは自分に必要なアイテム。買わなきゃ」になる。
一方通行な仕事でも十分なものももちろんあって、でもそういうのはだんだん「人間じゃなくてもいいじゃん」になってきてる。実際、わりとその流れは速くなってるし。
そうではない仕事をするには、相手と一緒につくるスタイルになっていくし、そのために一方通行で仕事しないための「他のスキル」も必要。
自分の仕事なら、それは何だろうというのを結構考えてるよ。行き止まりにならないために。