昼間のコンビニでビールだけ買うタスクの向こう側にあるもの
餃子にはビールでしょ。
たとえ、おっさんと言われようとそこは譲れないポイントなんです。これは妻も同じ。
「きょう餃子にする」
妻が宣言して朝から仕込んでました。うちの餃子は東京餃子通信謹製レシピ。どうつくっても美味しくしかならないので気に入ってます。
あ、でも、ビールないや。ストックが切れてる。ビールなしの餃子はちょっと考えられない。いや、そんなふたりとも酒豪ではないんですけどなんでだろう。
まあビールを買いに行けばいい話なんだけど、コンビニで昼間にビールを買うだけってなんかできないんですよね。
「どう思う?」
「どうも思わないけどね」
妻は学生のときコンビニバイトしてたので、そんなにいちいちお客さんが何買っていくかなんて気にしてないのがわかってます。
「朝からジャージでビールとコンドーム買ってく人いたよ」
「なんか思った?」
「とくには」
まあそんなものですよね。なんだけど、できない。でも餃子とビールは外せない。ビールだけ買おうとするから昼間から我慢できずに飲む人みたいな妄想になるので、他のものも一緒に買えばまるっと解決なんです。
「あれだよね。一緒にポテチの大きいのとか、スイーツとか買えば」
「人が来るんだなってなるけど。でもスイーツいらないよ」
「じゃあ、携帯で何か話しながら買うよ。いま、コンビニ来てるんだけどさ、他に何かいる? とか聞くテイで」
「小芝居いらないよね」
困った。あ、こういうときに便利なのが道の駅。田舎なのでそういうのがあるわけです。そこで買えば、観光客がおみやげに買うんだなって空気を醸し出せます。
なんだけど、今度はカモフラージュではなくてリアルに他の美味しそうなものが買いたくなってしまう。結局、なんだか希少品種のみかんが売ってたので一緒に買ってしまいました。
みかんとビールも変といえば変ですね。
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思ったのが、最近、お酒を買うのにちょっと余計な気を遣うようになってるのかなと言うこと。
年齢確認が厳格になったのはまあ海外のことを考えればいいとして(いまだに海外ではパスポート出せって言われるけど)、やっぱりお酒周りにいろんな意味で厳しい時代なのか。
この前、妻があるスーパーの女子トイレに入ったとき、個室の中に明らかにさっきここで飲んだとおぼしきチューハイの空き缶が置いてあって「ああ」と思ったそうです。
そこに誰にも見えずに流れている「物語」があったとして、そんなときのお酒は何を語ってるんだろう。