石ころを買うときドキドキが止まらない
小さな菓子店が好きだ。菓子店っていう言い方で合ってるのか。ちょっと不安になってきたけれど、こういう店です。
チェーンで展開してるお菓子専門店でもなく、読めないようなくずし字の暖簾がかかっている老舗の店でもなく、家族経営っぽい感じで製造小売りしている菓子の店。
並んでるのは、おまんじゅうとか、カステラとか、焼き菓子とか、ロールケーキとか。和菓子もあれば洋菓子もあって、そこにあまり境界線はない感じの店が好きだ。
基本的にそういう店は、どことなく雑然とした空気感をまとっている。コンセプトが明確な専門店とは違って、尖ってたり攻めてない。あるいは小洒落てない。なんだろう。お菓子の食堂的な感じ。
まあなんといっても入りやすいのだ。あと、そういった小さな菓子店には独特のネーミングのお菓子が売られてることも多い。
もちろん、それぞれのネーミングには想いや由来があったりなかったりするのだろうけど「なぜ、その名前?」と悩むものとの出会いも楽しい。これとか。
そのネーミングじゃなかったら、きっと買ってない。ということは、マーケティング的には成功してるのかもしれない。
お店の人に、ショーケースの中のこのお菓子をオーダーするときも少し戸惑う。
「石ころください」で本当にいいのか。そんなはずはないと思うけれど、もしかしたら笑われるんじゃないかという心配がちらっとよぎる。
本当は、べつの名前や呼び方があって(たまにないですか? お店でメニュー通りに言って頼んだのに、あ○○ですねと言い直されること)、石ころではない呼び方をするんじゃないかとか。
お店に隠し要素があるのはべつに嫌いじゃないんだけど、いい大人が「石ころください!」で「は?」ってなったら、さすがにせつない。
それでもなんともない風を装って「石ころください」と言ってみたら、ちゃんと通じた。よかった。
あと、あまりにも「石ころ」に気を取られすぎたので、中身がどんなお菓子なのか何も考えずに買ってしまった。
チーズまんじゅう。石ころ。キッチュすぎる(褒め言葉です)。