なぜか鉄道で外国人に試される件
なぜか駅、新幹線のホームで外国人にたずねられることがまあまあある。
なんだろう。見るからに忙しそうでピリッとした空気をまとってるビジネスパーソン風でもなく、学生でもなさそうだからちょうど声を掛けやすいのかもしれない。
でも、日本人にはおばあちゃんを除いてあまり話しかけられないので、僕が話しかけやすいのかどうかはわからないんだけど。
外国人に話しかけられるのは、だいたい突然だ。いかにも困ってて、誰か聞ける人を探してるところになんて英会話番組でよくありそうなシチュエーションは現実にあるんだろうか。あるんだろうけど。
個人的に駆け込み乗車や駆け込み飲食はしたくない派なので、だいたい発車時刻の少し前にはもうホームにいる。別にその時間、嫌じゃない。
目的地には向かってるのだけど、その間にぽかんと浮いたどこでもない時間はむしろ好き。飛行機でもトランジットを好まない人もいるけど。
10分、15分くらいの時間ならスマホで何か捗らせるわけでもなく(これから車内で数時間過ごすのだから、そこでは何か作業してるし)、ホームでぼんやり考え事をしてたり、人間観察してたりするからロックオンされたことにも気づかないことがほとんどだ。
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不意に「Excuse me,」と年上の外国人女性に声を掛けられる。だいたいカジュアルな格好をしてるから旅行客なんだろうなと瞬間的に思う。
「Excuse me, but is it right here to take this train?」
正確に聞き取れないけれど(英語、全然得意ではない)なんとなく、この列車に乗りたいんだけどここで待ってていいのか? と確認したいんだなというのは伝わってくる。
同じホームから次々、北海道・東北・秋田・山形・上越・北陸方面の各新幹線が出てるから日本人客でも確認したくなるので気持ちはわかる。たぶん、ただでさえ過剰に多い案内表示とカオスなプラットホーム運用で混乱気味なのだ。
チケットを見ないとなんとも言えないので「Do you have train tickets?」とたずねると(この言い方では詰問してる感じになってないか気になるけど)僕にチケットを見せて、列車番号を指差す。合ってる。
なのにまだ困惑してる。ん? と思ってると、彼女はさらに列車を指差すので「ああ」と思う。乗車の案内表示が出てるところに新幹線のドアがあるのだけど、そこは開かないドアなのでホームに赤いベルトが出されて乗れないようになっているのだ。
実際の乗車位置は案内表示の少し前方になる。そうか、それを伝えないと。だけどなんて言うんだ? 英語が思い浮かばない。
ここまでの流れで、なんとなくこの人教えてくれそうな空気になってる。海外に来て困惑してる人にすごく親切にしたくてたまらないわけではないけど、できることはしたい。
それに一応乗り物好きで鉄道好きの端くれとしての妙な正義感も出てくる。
「Oh, that's right」
なんかいきなりくだけてるなと思いつつ、それしか浮かばなかったのでとにかく伝えてみる。
「Boarding position.It is here,here it is」
正直、通じるかわからなかったので二度言ってみたのだ。それに、そもそも乗車位置がこんなに細かく指定されて表示されてるのも日本の鉄道独特な気がする。
列車に乗るために整列して待つ乗車位置なんて英語でなんて言えば通じるのかいまだに正解がわからないんだけど。
それでも、なんとか通じたらしく、彼女もわかりやすく笑顔になってくれてよかった。
だいたいいつも僕の英語なんてそんな感じだ。小田急線で経堂に行きたんだけどという外国人が快速急行に乗ってたときも、僕にこの電車でいいのか聞かれたので
「Oh,this train is not stop at kyodo-station.take the this train go to Shimokitazawa and transfer to local train or express get off kyodo.」
これは停まらないから下北沢で各駅停車か急行に乗り換えてとなんとか伝えて(たぶん60点ぐらいの英語?)ハッとした顔になってた。
いったい僕は鉄道で何を試されてるんだろう。これは英語やれってことなんだろうか。そうだとしたら僕が嫌いじゃない「鉄道」きっかけで「英語」に近づかせようとしてる神様最高では。
たびたびそういうことがあるので鉄道英語(そんなジャンルないけど)がもしあれば身につけたい気にだんだんなってきてるのだけど。