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【新年のご挨拶と今年の目標】国内完結型のプラスチックリサイクル実現へ

新年あけましておめでとうございます。竹下産業代表の竹下敏史です。

昨年は、北関東・甲信越地方を中心に特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可を取得し、サービスエリアを拡大いたしました。スタッフも30名に増えるなど、おかげさまで成長を感じられる一年だったと実感しています。

今年も従業員一同、皆様にご満足頂けるサービスを心がける所存でございますので、より一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

プラスチックリサイクルの仕組みづくりに注力する一年に

さて、90年以上にわたり廃棄物処理を行ってきた当社ですが、現在この業界は人材確保や、労働環境の改善、法令遵守、廃棄物発生量の減少―多岐にわたる課題に直面しています。

これらの課題の中でも特に重要だと考えているのが、環境問題。地球温暖化の抑制や循環型社会の実現、海洋環境の保護など、産業廃棄物を扱う企業として、真摯に向き合うべき社会的使命だと思っています。そこで、創業93年を迎える今年は、プラスチックリサイクルの仕組みづくりに注力していきたいと考えております。

まず、現在のプラスチックリサイクルには大きく分けて3つの方法があります。

  1. サーマルリサイクル:廃棄物を燃やすときに発生する熱エネルギーを回収して活用する方法

  2. ケミカルリサイクル:廃棄物を化学分解後に組成変換し再利用する方法

  3. マテリアルリサイクル:廃棄物を新たな製品の原料として再利用する方法

特に2022年4月に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ新法)」(※)以降は、地方自治体や消費者、事業者にも環境負荷を減らしリサイクルを促進する取り組みが求められるようになりました。

(※)日本国内で扱われるプラスチック製品に関する全プロセス(設計・製造・使用・再利用)で環境負荷を減らし、リサイクルを促進することを目的としたもの。

当社では、強みとしているOA機器の筐体からペットボトルのキャップ、文房具に至るまで、プラスチック廃棄物の収集・運搬から再資源化までをワンストップで提供しています。これまでは当社の工場で破砕処理を施し、焼却による発電を行う最終処分場に搬入するサーマルリサイクルに取り組んできましたが、近年はマテリアルリサイクルの強化に注力し、排出事業者側の負担を増やすことなくリサイクル率の向上をサポートしています。

万能説のような唯一の正解はないはず

他のリサイクルと比較してCO2排出量が削減できることや、天然資源の消費を抑制できることなどのメリットが挙げられるマテリアルリサイクル。そういった点からもプラ新法の施行以降、「マテリアルリサイクル=最善の方法」という風潮が強まっているように感じます

確かにこのアプローチは非常に有望で革新的な解決策だと言えるでしょう。しかし、私は万能説のような唯一の正解はないと考えているのです。正解とされている方法に対しても、多角的な視点から物事を捉え、長期的な地球の持続可能性を見据えることこそが重要だと思っています。

事実、サーマルリサイクルにも独自の利点があると考えています。例えば、輸送・作業の工数について。

サーマルリサイクルでは、お客様からお預かりした製品を当社の工場で選別・破砕した後、最終処分場に輸送して焼却する。

一方、マテリアルリサイクルは、製品を選別・洗浄・加工する工場へ輸送し、さらに加工した再生資源を中継拠点へ、そして最終的に再資源化する工場へ輸送するため、より複雑な物流プロセスを経ることになります。こうした点を踏まえると、一概にマテリアルリサイクルの方が良い、とは言えないかもしれません。

ゴミの「地産地消」を目指す

現在、日本のプラスチックごみ(「再生樹脂・その他利用+輸出」の合計)のリサイクルは有効利用率87%の内、62%以上がサーマルリサイクルで、残りのリサイクルは25%程度と言われています。さらに、国内で完結できている物はわずか1/3程度。当社でもリサイクルネットワークは構築できているものの、国内完結とまでは至っていないのが実情です。

[参考]
一般社団法人プラスチック循環利用協会「2022年廃プラスチック総排出量は823万t、有効利用率は87% 『プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(マテリアルフロー図)』を公表」
https://www.pwmi.or.jp/column/column-2358/
(参照2024年12月14日)

「地産地消」という言葉がありますがそれと同様、当社では国内で排出した廃棄物の処理を国内で完結させる「ゴミの地産地消」を進めていきます。この実現のためには、単一の解決策に固執するのではなく、環境負荷を抑えることを意識した上で最善の方法を選択することが必要だと考えています。

このように、当社は、OA機器に内蔵しているハードディスクをはじめとする記憶装置の処分にとどまらず、それを内蔵する機器の筐体などについても、環境への影響を最小限に抑えつつ、どのようにリサイクルしていくのか考えて活動していきます。

そして、「環境活動に取り組みたいけれども、何から始めて良いのか分からない」といった排出事業者様に対しても、ペットボトルのキャップやクリアファイルをはじめとする文房具、物流パレットなど、お客様にとって身近で取り組みやすいプラスチック類リサイクルのスキームを構築し、支援してまいります。 

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