その中の世界へ、「ピーター・ドイグ展」
足を一歩踏み入れると目の前に、大きな絵が2枚。
夜と、昼・・・だろうか、たっぷりと水をたたえた画面、その水面に木々や船や空が写り込んできらめいている。よく磨かれた床に、さらにその絵が映る。あ・・・好き!こういうの。
エジンバラ生まれのピーター・ドイグという作家については、ほぼ何も知らなかった。現代アート自体、毎年(いや、隔年だけど)ヴェネツィア・ビエンナーレに一生懸命通ってたわりにちっとも詳しくないし、そのビエンナーレにしたって絵画作品は多い方ではない。
絵本のような、幻想的な絵なのかなと、SNSの記事や公式サイトなどをみて想像していたのは、いい意味で裏切られた。色と光を丁寧に重ねたようなドイグの作品は、もっとスケールが大きくて、時に大胆に、時に丁寧に重ねられた色が何より美しい。そして絵の前に立つと、すうっとそのまま中に引き込まれて、自分がその物語の中にいつの間にか包まれているような、そんな不思議なあたたかさがある。
今はトリニダード・トバゴに暮らすというドイグが、自らのスタジオを解放して開催している映画祭の、告知用のドローイング、古今東西の名画を、ドイグがそれぞれ1枚の絵に納めているのだが、これがまたおもしろい。そして、こんな上映会はぜひのぞいてみたい・・・と、またここでもその世界に引き込まれてしまう。う〜ん、やられた!
大きな作品同士を、チラ見せでつないでいく展示も、物語から物語へと渡り歩いていくような感覚にさせられて、すてき。
ピーター・ドイグ展
Peter Doig
2020年2月26日〜10月11日
東京国立近代美術館
https://peterdoig-2020.jp
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Fumie M. 10.08.2020