
はじめの一歩、横浜のガンダム
『しゃがまなきゃ飛べやしない・・・』
ふいに頭の中に流れてきたのは、King Gnu「どろん」のフレーズだった。
コマンドを得てスイッチが入り大きく足を一歩、二歩ふみ出したガンダム、だが不具合が生じて左足を曲げてゆっくりと膝をつく。
「異常なし」が確認されて、ガンダムは両手の拳を握り、再びゆっくりと立ち上がる。
そして、右手を大きく掲げ、人差し指で天をさす。
かっこいい。
「不具合」はもちろん演出上のことだが、それにより、高さ18メートルのこのガンダムが膝を曲げ、立ち上がるまでの一連の動きがつぶさに観察できる。
ひゃー!!!
すごーーー!!!
かっこいいーーー!!!!!
上を見上げ、ただただ口をぽっかりと開けたまま次に思ったのは、
美しい・・・
何よりもまずその足。動きの中心はもちろん膝にあるのだが、ただガクッと曲がればいいというわけではない。まず股関節から大腿部が持ち上がるのに合わせ膝が角度をつけ、膝下はその動きに引っ張られると足首が伸び踵が上がる。一連のしなやかな動きの、なんと美しいこと。
ふだん自分が動かしている足、歩くための動作がこれだけ複雑な動きをしているとはほとんど意識したこともなかった。見上げて目を見張りつつ、無意識に足を動かしてみる自分がいた。
その造形は、ミケランジェロやレオナルドのデッサンを見るようだった。
そしてもちろん、動きを見せるのは股関節から下だけではない。左足を持ち上げるために左股関節が開き、それに合わせ胴体にひねりが入る。肩が傾き、左腕が下がり右腕が上がる。もちろん腕もまた、肩から上腕部、肘、手首まで足と同じように細やかな動きを見せる。膝をつく際には一旦開いた拳を再び強く握り、立ち上がる。
美しい・・・。
とにもかくにも、かっこいい。
『高く飛びたきゃ膝を曲げるんだ
しゃがまなきゃ飛べやしないな・・・』
(King Gnu 「どろん」より)
41年前にガンダムをこの世に送り出した、富野由悠季監督の「ごめんなさい」という言葉が帰り際の壁に貼ってあった。もっと期待してたみなさんへ、今の日本の最新の技術と材料を駆使して、できたのはここまででした、と。どうかぜひ、次世代の動くガンダムを実現してください、と。
はじめの、だが大きな一歩。実現のために携わった全てのみなさんに最大の敬意を表したい。
GUNDAM FACTORY YOKOHAMA
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Fumie M. 01.11.2021