【振り返り】社会開発学の3クラス@アテネオ(その1)
6月下旬からスタートした、社会開発学のクラスの振り返りです。
・ プログラムのフェーズ2まできました!
APSの事務局からの資料によると、APSプログラムは6つのフェーズに分かれていて、これまでに投稿したもの(英語トレーニングプログラムの中級&上級)がフェーズ1。
今回のアテネオ・デ・マニラ大学(以下、アテネオ)での授業がフェーズ2に当たるみたいです。
(フェーズっていう呼び方がどこかの映画シリーズみたいで、なんとなく気に入ってます笑)
6月下旬から合計3つの授業をとっていたので、それらについて学んだこと、感じたことを以下に綴っておきます。
前提として、わたしが所属しているAPS15期は、マニラ(フィリピン)にあるアテネオ・デ・マニラ大学のSociology(社会学) & Anthlopoligy(人類学)という学部で、"Transdisciplinary Social Development"という修士号取得のために勉強をしています。
・Key Concepts and Critical Debates in Social, International, and Transdisciplinary Development
記念すべき1つ目のクラス。6月28日〜7月14日までの授業でした。このクラスからやっと、同期全員が同じタイミングで同じ授業を受けることになるので、少し新鮮な気持ちに。
基本的に日本時間の10:00〜13:00の1日3時間が1日置きにあり、そのほかの時間でグループワークやプレゼン作成をしていました。
このクラスではとにかく、「開発とはなんぞや」をひたすらインプット&同期からの意見のシェアで理解を深めました。
<扱った内容(シラバスから引用)>
・Meanings of Development
・Poverty, Inequality, and Development
・Transdisciplinary Development
・Spatial Justice
・Urban Inclusion
・Gender, Migration, and Development
・Human Development
・Sustainable Development
・Participation and Representation
・Co-production of Knowledge, Co-ownership of Benefits, Co-creation of Capacities
開発という学問を初めて学ぶわたしにとっては、使われる単語も概念もほとんどが新しく、雨というより滝のように降り注いでくる教授のレクチャーについていくのが必死でした。
今までわたしが出会ってきたラオスやマレーシアの村に住むみなさんや、フィリピンの村の子どもたち、インドネシアのお母さんたちなどの顔を思い浮かべながら。
世界のどんな構造が、格差や貧困を生み出してしまっているのか。
開発に携わる人間として、どんなマインドセットが必要になるのか。
現地の方々とともに、持続可能な価値を生み出していくには何が必要なのか。
経済的な豊かさの追求だけでなく、人々の人生がより豊かになるためにはどんなアプローチがあり得るのか。
この授業の教授は特にたくさんの問いを投げかけてくださるスタイルだったので、その都度自分の過去を振り返り、経験とリンクさせる機会がありました。
・Social Theory and Transdisciplinary Development
1 つ目の授業が終わった後、息つく暇もなく始まった2つ目の授業は、主に社会学の歴史と理論をがっつり学ぶ時間でした(7月15日〜30日)。
<扱った内容(シラバスから引用)>
・Development as a Transdisciplinary Issue: Experiences and Conceptualizations
・Development and Social Change: Marxist, Weberian, and Durkheimian perspectives
・Development and Underdevelopment, Modernity and Dependency
・Development, Democracy, and the Transnational Neoclassical Counterrevolution
・Parallel Developments, Counter-Developments
・Transformative Development: Perspectives and Possibilities
この授業を受けている期間は、寝ても覚めても何かしらの社会学理論が頭から離れない(汗)。そんな状況でした。
1つ目の授業とは同期型の頻度が異なり、平日の朝3時間は必ず、この授業からスタートする毎日。
マルクス、マックス・ヴェーバー、デュルケーム、現代主義、従属理論、民主主義、世界システム論などなど。
毎回の授業は録画&共有してくださるので、もう一度聴いておきたい部分は見直して復習(1.5倍速)、
毎日の予習の時間は、まずYoutubeでまとめを検索して日本語で概要をインプット(2倍速)、その後与えられているリーディングを読む、というサイクルでした。
個人的に、型にはまることに抵抗がある性格なので、セオリー(理論)と聞くと
「全てがその型にはまる訳じゃないし、例外もある。過去に解明されてきたものよりも、今、ここから作り出されるものの方が価値があるのでは」と、思ってきたのですが
「より価値があるものを生み出すためには、過去にどんな発見や研究がなされてきたのかを知る大切さも確かにある」と思うようになりました。
理論は、実践の積み重ね(=人々の行動の積み重ね)から発見されたものだから、理論と実践を切り離して考えるのではなく、両方が大切なんだ、という対話も授業内でありました。
*
<場づくりの話>
こう書き出してみると、とってもお堅い授業のように見えますが、個人的にこの授業が今までで一番、対話重視で、どんどん学びが深まっていく、じわじわとあったかい授業でした。
学生30名弱、場づくりという視点からみても、学ぶことが多かったです。
「みんなの知識や経験をわたしにも聞かせて欲しい」
「みんなからむしろ学びたい」
「正解・不正解はない」
という教授のあり方。
毎回の授業が、「前回の授業から学んだこと、感じたことをなんでも良いのでシェアしてみよう」といった形で始まり、
学生からのどんな共有に対しても、丁寧に拾い、新たな視点を付け加えて次の学生の声を聞いていく。
Zoomのブレイクアウトルーム機能は使わないスタイルだったので、ずっとメインルームで、ひたすら、沈黙から学生の声が出てくるのを待つ。
毎回3時間の授業のうち、2時間以上は学生の意見共有に費やしていたと思います。
おぉ。。こんな授業が大学院のオンライン授業で受けられるとは、と思いながら、毎回の授業があっという間に過ぎていきました。
*
<課題の話>
もう一つは課題作成時のお話です。
このクラスは評価基準となるグループワークの課題もユニークで、与えられたお題(現代主義とパンデミック)に関して、ただのレポートではなくインフォグラフィックとVlogという形でまとめる、という課題でした。
インフォグラフィックは、いわゆるポスターみたいにビジュアルで魅せるもの。Vlogは動画です。
本来なら授業を受けながら課題を進めていくスケジュールだったのですが、授業のボリュームが大きすぎて、実質授業が全て終わってから約1週間で、上記2つの課題を仕上げるという、これまたハードなスケジュール。
ただ、そんなハードな課題も、愉快なグループメンバーと一緒だと楽しみながら進められるのが、このプログラムの良いところなのかもしれません。
わたしの今回のグループはフィリピン人、スリランカ人、日本人3名の計5名でした。
課題が2つあったので、5人を2チームに分けて同時に作業を進めていたのですが、Vlogには必ず5人が登場しなければいけないということが途中で判明。
インフォグラフィックに取り組むメンバーがVlogにも登場しなければいけなくても、彼らの負担を少しでも減らしたいよね・・と話していると、
「じゃあ、インフォグラフィックをやってくれるメンバーは動画の最初の部分でちょっと踊ったりすれば、それで登場したってことになるんじゃない?!わははは」
と、いきなりジョークが飛んでくる。
グループメンバー、全員爆笑。
ジョークとはいえ、「踊る」という提案は斬新だな〜〜、
これが多国籍で取り組む楽しさだな〜、と、体感したのでした(^^)
*
*
書き出したら長くなってしまったので、一旦ここまでにします。
授業の感想は一個人の意見として受け取ってくださると嬉しいです。
次回は、今回の続きを書きますね。