『プラネットテラーinグラインドハウス』
ポールダンスで始まる映画は、私が持ってるBlu-rayのなかで「バーブワイヤー」とこの『プラネットテラーinグラインドハウス』だけなので、他にもあったら欲しいですね。
近未来な世界観で製作された「バーブワイヤー」と違って、『プラネットテラー』はアメリカの60〜70年代で主に存在したB級映画を2〜3本立てで上映する映画館グラインドハウス、で上映しているような世界観で製作されています(英語のWikipediaにグラインドハウスについて詳しく掲載されています)。
色褪せた傷がある風のフィルム映画っぽい映像に加えて、
フィルムが1巻紛失している作りになっているので、ヒロインのセックスシーンの途中で話が飛びます。
グラインドハウスでは実際に映画フィルムの紛失でこういうこともあったのでしょうね、たぶんですけど。いいところが紛失してますね。
この作品の後に映画化された「マチェーテ」の予告付きの、ロバート・ロドリゲス監督の『プラネットテラー』と2本立てになるべく製作されたのが、クエンティン・タランティーノ監督の「デスプルーフinグラインドハウス」なので、お家で2作続けて見るのも良いかもしれません。
謎の生物化学兵器のガスが流出してしまい、テキサスの田舎町の住民が凶暴なゾンビ化。恋人だったレイと帰宅途中にゾンビに襲われ片足を失ったゴーゴーダンサーのチェリーは、失った足にマシンガンを装着しゾンビに立ち向かうのだった。
ありえへんやろ、と思うような展開もB級映画inグラインドハウスという世界観が前提としてあることで、すんなりと寛容な気持ちで笑って観ることができます。むしろ、太ももに注射銃を装着したセクシーな女医とか、片足がマシンガンのヒロインとか、奇抜でキャラ立ちしてる登場人物が活躍できるエロ・グロ・ナンセンスな舞台になっております。
大都会のリッチなセレブリティが登場するファッショナブルでインテリジェンスな映画と違って敷居が低く、フィルムの紛失で話が飛んでるのでチェリーの彼氏の正体とかバーベキュー屋の爆発の前に何があったのかわからないし、内容は無いようなものだと思って鑑賞しても問題はないんじゃないでしょうか。
因みに私個人的に好きなのはヒロインのチェリーとレイの恋物語の部分です。
「君を信じてる 昔からな 君にはもっと優れた才能がある 俺よりずっと。本当の君になるんだ 力を見せろ」
そう言ってチェリーの足に恋人のレイがマシンガンを装着するシーンがありますが、映画の冒頭のテキサスの田舎町でゴーゴーダンスを踊って泣いてた頃からチェリーは変化を遂げることとなります。愛の力です。
勝手な推測から言うと、チェリーが突然レイの革ジャンを持って居なくなったのは愛情試し行為みたいなものかなと私は思っています。チェリーは恐らく愛情が不足した人生を送ってきていて、出会い方はどうあれレイのことが好きになり、レイがどれくらい自分を愛しているか測りたいしレイの愛情をもっと受けたいと思った動機が行動に現れてるんじゃないかと正直思っています。
レイと再会してもチェリーは連れない態度をとってしまいますが、しっかりレイの革ジャンを身につけているわけで、態度と裏腹な乙女心としては好意とか心配とかふれあいをして欲しいのに、レイが行っちゃいそうだからレイの車に同乗することを望んだんじゃないかなと私は思いながら観てました。泣いちゃうくらい寂しさと愛情に飢えてたんじゃないでしょうか。強がりさんですね。
チェリー・ダーリン(ローズ・マッゴーワン)
以前はバロミータと名乗っていたらしい。ミステリアスでアイラインが印象的なエヴァ・ガードナー似の美人。
ちょっと露出が多めな生業を選択したり、ステージで泣きながら踊ったり、毎週ダンサーを辞めると言ったり、恋人の革ジャンを着ていなくなったりするタイプの女。
エル・レイ(フレディ・ロドリゲス)
チェリーの恋人。身長はちょっと低そうだけど、愛情表現の形であり行動と意思の表れである婚約指輪という大技を繰り出したことが功を奏し、チェリーは愛情で満たされ自己肯定感を高めた。
ダコタ・マクグロウ・ブロック(マーリー・シェルトン)
医者。不倫しているのが夫にバレる。注射器を太ももに装着したり、美女の不倫相手がいたり、いい趣味をしている稀有な女で脇役なのがもったいないくらい面白い役で、こういう他では使い辛いような奇抜な役が出てくるのがこの映画の良いところ。
ウィリアム・ブロック(ジョシュ・ブローリン)
医者。ダコタの夫。嫉妬に狂う男。
タミー(ファーギー)
ダコタの不倫相手。すごく美人。
マルドゥーン(ブルース・ウィリス)
ビンラディンを殺った。圧倒的な存在感を放つ大物ぶり。
兵士(クェンティン・タランティーノ)
「デスプルーフ」の監督が出演してるだけでも面白いのに、役も面白いのずるいと思う。
出典:IMDB